タイの違法産業
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タイの違法産業(タイのいほうさんぎょう)は、特に麻薬産業、賭博産業、売春産業での分野が活発で、細かいところではアダルトビデオや脱税タバコの販売などが上げられる。これらの産業は警察、政治家などによって不法に保護されている場合があり、その撲滅には困難がつきまとっている。
[編集] 麻薬産業
麻薬、特に阿片はアユタヤ王朝から輸入・生産がなされていた。むろん歴代王はこれを堅く禁じた。興味深いことに当時、阿片を処理するための仏教儀式が行われていたと言うことである。
後にチャクリー王朝時代に入ると華人が大量に移住、重労働に耐えるため阿片の吸飲をするという習慣が広く行われた。後に阿片窟の運営は国家の独占産業となり莫大な収入となっていたためなかなか絶つことが出来なかった。
特に阿片がタイで完全に非合法化されるのはサリット・タナラット首相の時代である。ところが隣国ミャンマーでは、内政が安定せず、クンサーやシャン族などが自分の解放区を作り麻薬の原料であるケシの栽培を行った。特にタイ・ラオス・ミャンマーの国境付近は黄金の三角地帯とよばれ、ケシの栽培・交易が盛んに行われた。収入の少ない山間部の少数民族にとっては大きな収入源になっていた上、喫煙を重労働の後に楽しむ習慣があったこと、地元の警察に不法に保護されていたことなどから、中央から派遣された警察が取り締まっても違法栽培は後を断たなかった。
またとくにチエンマイ県はその集散地とも言われた。むろんタイ国内での消費のみならず先進諸国にも輸出が行われ消費された。近年ではクンサーの軍が解散し、シャン族も覚醒剤やエクスタシーなどの生産に切り替えたために、この傾向は減少した。
代わって登場した覚醒剤などの薬物はとくに若者の間でのファッションとなり、1990年代後半以降社会問題化した。2003年、首相・タクシン・チナワットは麻薬一掃作戦を行いこれに対抗したが、逮捕されたうち中核的人物と見られている人物などは即座に釈放となり大した成果を上げることが出来なかった。
また、現在ではマリファナの吸飲も盛んに行われている。これらはタイ各地で見つからぬよう小規模に、かつ広く生産されており、当局の意識が麻薬一掃作戦で覚醒剤に向けられたためその認識は非常に低い。安価で手に入りやすいことから年齢、職業に関係なく広く吸飲されている。