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ストップ (オルガン) - Wikipedia

ストップ (オルガン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ストップ(拡大)Weingarten
拡大
ストップ(拡大)Weingarten

オルガン(パイプオルガン)におけるストップとは、オルガンの音色選択機構である。操作部分そのものを称するばかりか、作動機構や、それによる音色そのものを指すことも一般的である。

奏者の手元や足元に設けられた風路系制御切換操作部により、鍵盤の段ごとに所属したパイプ群1種ずつへの風の供給を一括で入・切できるものとして実装される。ストップの違いによって、音楽的な音色の変化をもたらすだけでなく、鍵盤に対する発音高を違えることもでき、それによって、限られた各段の鍵盤数よりも広い音域を網羅できることとなる。

また、それを複数同時に作動させることによって、音の倍音構成を組立・混合することができ、実際に装備されている生のストップ音色にはない音色を多彩に生み出すことができる。これは、後の電子楽器シンセサイザーにおいて音色を作成するひとつの重要な手段と同じ発想であり、古来から倍音の組み合わせによって人工的に音色を様々に作成するという高度な作業が行われてきたことは、非常に先駆的な科学が芸術に生きてきたひとつの証と言える。

現代において一般的なオルガンは、3~4段手鍵盤で60~80ストップのものとなるが、例えば70ストップのオルガンにおいてカプラー(#機械ストップ一覧参照)も併用して音色の組み合わせで求めると、270-1、およそ1180591620兆7174億となる。但しこれは、あくまでも理論的な数字であって、これらの音色の全てが平等に表現として使用しやすいものであるかは別の話になるため、実際の音楽的な鉄則や伝統、習慣などを踏まえると、かなりその組み合わせの可能性は狭まるが、それでも、オルガンにおけるストップの組み合わせの可能性は、ストップ数が増えれば増えるほど膨大な色彩をもたらすこととなる。

オルガンの醍醐味のひとつは、この組み合わせの妙技こそにあるとされてきており、オルガニストやオルガン曲を手がける作曲家にとって、その広い表現の可能性を操ることが大切な使命となっている。


目次

[編集] 呼称の由来

日本において一般に使用されるストップという呼称は英語に由来する外来語として普及したものであり、英語において正式には"organ stop"[オーガン・ストップ]、簡易的には単純に"stop"[ストップ]と称する。これを操作することにより、各種一連のパイプ群へ送風を供給するのを遮断したりそれを解除したりするものであるため、塞閉器ほどの意味合いで"stop"と呼ぶようになった。日本においては、これによって風路にをして送風の供給を止めることから、「音栓」とも訳されている。

この「ストップ」のひとつの大きな特徴として、鍵盤に対する発音高の様々な種類が用意されているのが一般的なものであり、それによって、各段の鍵盤が網羅する音域が変化することになる。そこから、音域という意味の語をこの名称に使用したのがドイツやイタリアなどであり、ドイツ語では"Register"[レギスター]、イタリア語では"registro"[レジストロ]と呼ぶ。

ストップはひとつの種類のパイプ群によっていることから、フランスではひと揃い一組一式という意味の"jeu"[ジュ]という語が使用されている。これを正式に称す際には"jeu d'orgue"[ジュ・トルグ]と呼ぶ。

[編集] ストップ数の目安

1つのオルガンに所属する全ストップ数は、様々な要素によって決定づけられるが、その中でも最も重要な要素は設置場所の空間容積である。その次に、設置場所の音響を考慮に入れるべきである。それらに反して、予算やストップの好みに傾倒して設計することはできない。ホールと楽器の全体のバランスを配慮したストップの設定はオルガン建造家に求められる基本的技量のひとつである。

手鍵盤の数は、一般的な演奏を前提にすれば、少なくとも2段、理想的には3段あれば随分と多くの作品に対応できる。ただ、鍵盤の段数は楽器の総ストップ数に応じて設計されるべき要素である。

特に、日本のようにホールに設置されることが多い場合には、例えば座席数を目安に、必要なオルガンのおおよその規模を想定することができる。但し、天井があまりにも高い場合や低い場合、残響があまりにもあり過ぎる場合やなさ過ぎる場合などには、様子が異なってくることを考え含める必要がある。

建物の総座席数 設置オルガンの総ストップ数目安
250席 20ストップ
500席 40ストップ
1000席 60ストップ
2000席 80ストップ
4000席 100ストップ

[編集] ストップ(操作部)の形状

[編集] タブレット形

電子的な機能が取り込まれるようになってから現れた形状のもので、近年ではパイプ・オルガンに設置される機会が非常に減ったものの、特に電子オルガンにおいては現在最も見られる型である。一般的には、幾分斜め向きに設置されており、上部と下部とを指で押すことによって入・切が切り替わるが、その際に、タブレットの奥に仕込まれている電球が点灯してプラスチック製のタブレットそのものが光ったり、LEDが付いていることによって、教会などの暗闇でも目視確認がしやすいようになっていることが多い。現代に新しく設置されるパイプ・オルガンにおいては、もはや採用されることはかなりなくなった。

[編集] タンブラー(舌)形

電子的な機能が取り込まれるようになってから現れた形状のもので、近年ではパイプ・オルガンに設置される機会が非常に減ったものの、旧式の電子オルガンにおいてはよく見られた型である。斜めに突き出て並んでいる舌状スイッチの下部を指で下げたり上げたりすることによって入・切が切り替わるものである。上部などにLEDが付いていることによって、教会などの暗闇でも目視確認がしやすいようになっていることもある。現代に新しく設置されるパイプ・オルガンにおいては、もはや採用されることはかなりなくなった。

[編集] 点灯押しボタン形

電子的な機能が取り込まれるようになってから現れた形状のもので、近年ではパイプ・オルガンに設置される機会が非常に減ったものの、旧式の電子オルガンにおいてはよく見られた型である。一度指で押すと入になり、もう一度押すと切になるようにできている。目視確認のため、特に電球やLEDが付いていることが必須となっている。現代に新しく設置されるパイプ・オルガンにおいては、もはや採用されることはかなりなくなった。

[編集] ドロー・ノブ形

伝統的な引き出し式のノブによるもので、正統派のパイプ・オルガンにおいては最も採用されてきているものである。間違えて触れただけで作動しないよう、意図的に引き出さないと作動しないようになっており、使用をやめる場合には奥に押し込む。現在のセッター式でコンビネーションを切り換えると、目視でその全体を認識するには慣れが必要とされる。先端の中に仕込まれている電球が点灯して、教会などの暗闇でも目視確認がしやすいようになっているものもあるが、伝統的な仕様のものにはそのような近代的機能は好まれない傾向として定着している。電子的な機能が演奏台に取り込まれるようになってからは、上記の3種は電子オルガンだけでなくパイプ・オルガンにも多く取り込まれてきたが、近年においては、その動作の信頼性もあってこの伝統的なドロー・ノブが再評価され、現代に新しく設置されるパイプ・オルガンにおいては、その殆どにドロー・ノブが採用されるようになっている。

また、電子オルガンに採用されることは、コストの面から敬遠されている。しかしながら、教会向けを意識した電子オルガンには視覚的な効果から必ずドロー・ノブが装備されているものの、その殆どは残念ながらプラスチック製であり、バネと電球とを使用した簡易的なものとなる。木製のものが電子オルガンに搭載されるのは稀なものとなるが、どちらにしても、コンビネーションを切り換えても自動で出入りすることがないのが普通である(例:ヴァイカウント「Cuntics」シリーズ,コンテント「Pastorale」シリーズ)。稀な例として、アーレン社の電子オルガンに採用されているドローノブは木製で、コンビネーションを切り替えると実際に出入りするという、珍しく本格的なものとなっている。

実際のパイプ・オルガンにおいても、コンビネーションを切り換えても自動で出入りしないものもあったが、特に昨今の新しいパイプ・オルガンにおいては、コンビネーションの切り換えによって実際にドロー・ノブも一緒に自動で出入りすることにより、目視確認ができる仕様が一般的となっている。それは、TuttiボタンやCancelボタンを押した時や、クレッシェンド・ペダルを踏んだ時においても同様のことが言える。但し、一度に大量のノブが自動で出入りする際に発生する音は演奏の支障となり、それを嫌う演奏家が多いため、その音が静かなものほど優秀な演奏台とされている。騒がしい音の発生する演奏台を使用する際に、実際には、特に静かな楽句においては手動で助手などにコンビネーション操作をしてもらった方が好ましいことが多い。

ちなみに、古いものは鞴からの風を利用して自動で出入りしていたが、新しいものは磁石とコイルとによって動作するようになっているものが一般的である。

[編集] ストップ(操作部)の位置

  • ストップ類
ストップの操作部は、ストップそのものの形状や演奏台の外形に左右され、また、国によっての傾向や、時代によって変遷したきたところや、製作者や製造メーカーによる特徴・方針なども見られるところがあるが、以下に、一般的に見られる3種を例に挙げる。
  • タブレット形・タンブラー(舌)形・点灯押しボタン形の場合
これらのものは、そのものの場所がかさばらないという点と、スライダーと物理的に連結されている必要がなく、電気的に指令を送るだけでよいため、寄せ集めて横並びに配置されることが一般的である。実際には、手鍵盤最上段の上や、手鍵盤の両脇に配される。
  • ドロー・ノブの場合
  • 横列方式
各段の鍵盤ごとに、その所属ストップのドロー・ノブを各横一列に並べて配置したもの。手鍵盤の両脇に配置されるため、自ずと演奏台の両脇の設計が大きくなってしまうという欠点がある。また、ストップ数があまりに多い場合には採用されにくい。
  • 縦列方式
とくにストップ数の多い場合に採用される方式である。一般的な演奏台においては、ドロー・ノブが手鍵盤の両脇に分割されて縦に数列ずつ配置されている。その場合、多くの場合には、左側から低い鍵盤のストップ群が以下の例のように並べられる。
例:足鍵盤→第I鍵盤→第II鍵盤→第III鍵盤→第IV鍵盤
例:足鍵盤→主鍵盤→ポジティフ鍵盤→スウェル鍵盤→第IV鍵盤
また、各鍵盤のストップ群の中では上から順に低いフィート律に並べられ、以下のような配置の目安がある。
例:フルー管→ミクスチュア族→唸音ストップ→リード管→トレムラント
カプラーやペダル・カプラーは別列にまとめて配されていることが一般的である。


  • コンビネーション(音栓操作記憶装置)3種類
  • 1)フリー・コンビネーション(自由記憶制御装置)
それぞれのストップの横に、記憶セットするための別個のストップ(スイッチ)が数列配置される。鍵盤下などに、多くはローマ数字のI、 II、 III、 IV などと表記された、記憶選択スイッチが並ぶのが普通。記憶機能は少ないが、演奏途中で簡単に自由変更可能。また、記憶状態が可視される。
  • 2)ゼッツアー・コンビネーション(前置記憶制御装置)
前記の装置とは異なり、記憶させるには予め、ストップを選択し、記憶セットスイッチ(S)と記憶番号スイッチと同時に押す。それぞれの記憶番号には選択されたストップが記憶される。記憶解除には記憶番号スイッチと解除スイッチ(C)を同時に押す。オルガンによっては、セットスイッチを押す度に選択番号は自動的に割り振られる。順次記憶呼出スイッチによって記憶順にストップが選択される。逆順選択スイッチも設置された機種もある。0(ゼロ)スイッチは全てのストップを元に戻す。Tスイッチは Tutti 、全ストップではなく、オルガン最大音量。Pスイッチは Pleno 、プリンチパル系のストップに組まれた音色にセットされる。記憶機能は多いが、演奏途中の記憶変更は不可。記憶状態は不可視。現在の大型オルガンに多く設置されている。
  • 3)フェステ・コンビネーション(固定記憶制御装置)
予め選択されたストップが記憶されている。pp、mp、mf、f、ff などと表記された記憶選択スイッチが並ぶ。技術者が記憶を組み替えれば変更は可能だが、奏者によって記憶の変更は不可。


  • 以下の解説はゼッツアー・コンビネーションです。
  • フリー・コンビネーション類
  • 手元ボタン
近代の演奏台において、予めコンビネーションを記憶させたり、それを記憶させて準備するためのボタン類は、多くが手鍵盤の直下に横一列に並んでいることが多い。但し、そこだけの場合は、演奏中に助手が手を伸ばすには支障が大きいため、優れた設計の演奏台においては、手鍵盤の脇にも用意されている。また、各手鍵盤の間にも横一列にボタン類が並べられているものも見られるが、奏者が演奏中に触れてしまうという事故が頻繁に発生するため、多くのオルガニスト達からそれらはひどく敬遠されており、配慮高い設計者は手鍵盤と手鍵盤との間にはボタンを配さないこととしている。
多くは、記憶させたコンビネーション番号を指定するための数字ボタンと、順送り(例:→)・順戻し(例:←)ボタン、そして、セットする際のSボタン、キャンセルする際のCまたはO(ZERO)ボタン、そしてトゥッティ用のTボタンがある。
  • 足ピストン
両手が演奏で塞がっている際には、足によってストップ操作がなされるように配慮されて、足ピストンが足鍵盤の上部壁に設置されている。一般的にそれは、操作上の制限からもあり、2列に留められている。
これは、残念ながら、手鍵盤周辺のように全ストップを個別に操作するためのものは用意されていない。主にフリー・コンビネーションの切り換え用であり、記憶させたコンビネーション番号を指定するための数字ボタンと、順送り(例:→)・順戻し(例:←)ボタン、そして、セットする際のSボタン、キャンセルする際のCまたはO(ZERO)ボタン、そしてトゥッティ用のTボタンがあり、その他カプラーとペダル・カプラーのものも一般的に設置されている。
尚、電子オルガンにおいてよく見かけるHRボタンは、フリー・コンビネーションによらず手動コンビネーションで奏することを意味し、ドイツ語で"Hand Register"[ハント・レギスター]の略である。

[編集] 分類

オルガンにある数多くのストップは様々な面から分類され得る。


[編集] フィート律によるストップ分類

オルガンには、どのストップ名にも必ず数字が添えられている。これは、演奏した鍵盤に対して、記譜上規定どおりの音高の音が鳴るストップの他に、規定どおりの音でない、つまり記譜音と平行関係にある音の鳴るストップがあり、そのことを理解するための表示となる。この、高さが違う音の鳴るストップを複数使用すると、1つの鍵盤を押しただけで複数の音高のストップが同時に鳴ることになる。


[編集] 倍音

複数のストップを混合させて音色を作り出す論理は、大きく分けて2つの面から見ることができる。1つは、異なった音色の混合によって生み出されるものであり、そしてもう1つは、異なった音高の混合によって生み出されるものである。この後者のものは、音色の特徴としての倍音構成を複数の音高のパイプ群を組み合わせることで人工的に生み出し、様々な特徴を持つ音色を作成するという考えによっており、ストップの使用の中で非常に大きな表現である。

楽音の「音色」としての特徴を決定する大切な要素のひとつとして、中心的な存在を示す「基音」に付随して響いている様々な周波数の「倍音」の存在が挙げられる。この倍音の発生には法則があり、最低の基音の周波数の整数倍の周波数の音が順に混合されるものとされている。この混合の具合によって、音の特徴の大きな部分が決定されている。以下の図においては、黒い音符に同時に含まれる倍音群が灰色で上部に複数散らばっているが、これには一定の音高距離の法則性があり、現代の我々が広く使用している12平均率における近似値を下記音符群が代弁している。

12平均律による倍音列の近似値音
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12平均律による倍音列の近似値音


時報の音に代表される原始的な電子音は1つの周波数しか有さないが、我々が耳にする音の殆どは、基本となる周波数音(基音)の上に倍音を多数含み、その倍音の含まれ具合によって音色としての特徴が形成されている。基音に対して、何番目の倍音がどれだけ含まれているかという特徴によって、音色は多彩に変化する。オルガンにおいては、その組み合わせを複数の音高のパイプ群によって人工的に行う。つまり、鍵盤に対して音高の異なる複数のストップを併用することにより、1つの鍵を押した時に様々な音高が同時に発生するのである。


[編集] フィート律表記と音高

一般的には、数字の横に「 ' (プライム)」が添えられ、ヤード・ポンド法における長さ単位としてのフィート(以下フィートはプライムで表記)を意味する。手鍵盤の左端のC音は足鍵盤の左端のC音と一致しており、これはヘ音記号における下第二線上の"C"音となるが、この実音を出すための通常のパイプ長は8'必要である。オルガンのストップにおけるフィート律表記では、この鍵盤の最低音のパイプの長さを表記することによっている。1フィート=約3分の1メートルとされ、現在は正確に1フィート=0.3048メートルと規定されているので、これによると、8'=2.4384mとなる。


フィート律表記の異なる様々なストップを使用した場合における 記音・鍵盤と実音との違い
ストップのフィート律表記 鍵盤左端の"C"音を奏した場合
実際に発音されるパイプの長さ 実際に発音される音
ヤード・ポンド法 メートル法 記音・鍵盤と実音との関係 音名 周波数
1/4'ストップを使用した場合 0.25ft 0.08m 7.62cm 記音・鍵盤に対して5オクターヴ上の音 c4 2048Hz
1/2'ストップを使用した場合 0.50ft 0.15m 15.24cm 記音・鍵盤に対して4オクターヴ上の音 c3 1024Hz
1'ストップを使用した場合 1.00ft 0.30m 30.48cm 記音・鍵盤に対して3オクターヴ上の音 c2 512Hz
2'ストップを使用した場合 2.00ft 0.61m 60.96cm 記音・鍵盤に対して2オクターヴ上の音 c1 256Hz
4'ストップを使用した場合 4.00ft 1.22m 121.92cm 記音・鍵盤に対して1オクターヴ上の音 c 128Hz
8'ストップを使用した場合 8.00ft 2.44m 243.84cm 記音・鍵盤と同音 C 64Hz
16'ストップを使用した場合 16.00ft 4.88m 487.68cm 記音・鍵盤に対して1オクターヴ下の音 C1 32Hz
32'ストップを使用した場合 32.00ft 9.75m 975.36cm 記音・鍵盤に対して2オクターヴ下の音 C2 16Hz
64'ストップを使用した場合 64.00ft 19.51m 1950.71cm 記音・鍵盤に対して3オクターヴ下の音 C3 8Hz


パイプの長さをN分の1にすると、音波周波数は元のN倍になり、人間の耳には、高さの違う同じ音として響き、これがオクターヴである。オクターヴとは、周波数の中で法則的に現れる複数の音のことで、人の耳には明るさ(高さ)の異なった「同じ音」として認識される。そもそも、周波数の異なる音が「同じ音」として認識されるという現象自体が感覚の不思議とされているが、オクターヴについてのこれ以上の詳細はオクターヴのページに譲ることとする。

オルガンにおいて、まず、鍵盤どおりの音高が発音されるストップ、すなわち、記音(記譜音)と実音とが一致するストップは8'である。これは前述のとおり、手鍵盤の左端のC音、または足鍵盤の左端のC音、すなわちヘ音記号における下第二線上の"C"音を出すためのパイプ長が8'あるということを、「基準」として示している数値であって、全ての音のパイプ長が8'という意味では決してない。変わって、奏した鍵盤の丁度1オクターヴ上の音高が発音されるストップ、すなわち、記音の1オクターヴ上の音が出るストップは8'の2分の1倍長で4'、奏した鍵盤の丁度2オクターヴ上の音高が発音されるストップ、すなわち、記音の2オクターヴ上の音が出るストップは8'の2×2=4分の1倍長の2'、奏した鍵盤の丁度3オクターヴ上の音高が発音されるストップ、すなわち、記音の3オクターヴ上の音が出るストップは8'の2×2×2=8分の1倍長の1'、奏した鍵盤の丁度4オクターヴ上の音高が発音されるストップ、すなわち、記音の4オクターヴ上の音が出るストップは8'の2×2×2×2=16分の1倍長の1/2'となる。どれも、鍵盤の最低音のパイプ長を基準として示していることを念頭に理解する必要がある。

逆に、記音の1オクターヴ下の音が出るストップは8'の2倍長で16'、記音の2オクターヴ下の音が出るストップは8'の2×2=4倍長の32'、記音の3オクターヴ下の音が出るストップは8'の2×2×2=8倍長の64'となる。一般的なオルガンには、少なくとも16'のストップが必ず用意されており、一般的な大オルガンの前面に見られる巨大なパイプは32'(9.7536m)のストップである。世界一の規模を誇るアトランティック・シティー・コンヴェンション・ホール(アメリカ)には、一般的な32'のストップ(参考写真)よりも遥かに巨大な珍しい64'(19.5072m)のストップ(参考写真)が存在する。64'パイプの最低音C3周波数は8Hzとなり、ヒトが聴覚器官で音として認識できる周波数帯域は一般に20Hz~20kHz程度であるとされていることから考えると、8Hzでは凡そ耳には音として聞こえず、皮膚から空気の振動として感知する程度の音波となる。

音高(実音)とパイプ長との関係
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音高(実音)とパイプ長との関係


更に、オルガンのストップにおいて非常に興味深いこととして、鍵盤・記音に対してオクターヴ違いの音を出せるだけでなく、様々な音程分離れた音が発生するストップも多数備えていることである。これらは、組み合わせることで、本来聞かせたい音の倍音を人工的に強めることによって、音色の特徴を作成するという意図で設けられたストップである。


オクターヴ以外の様々な倍音も発生させる種々のストップ
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オクターヴ以外の様々な倍音も発生させる種々のストップ



例えば、鍵盤と同じ音高が発生する8'ストップの音色を、その倍音群を追加することによって特徴づける場合には、8'+ 4'+ 2 2/3'+ 2'+ 1 3/5'+ 1 1/3'+ 1 1/7'+ 1'+ 8/9'+ 4/5'+ 8/11'+ 2/3'+ 4/7'+ 1/2' ……と混合していくことによって達成される。ただし、これら全てを順に混合しなければならないわけではなく、生み出したい表現の必要性に応じて基音に組み合わせられる。また、基音を強めるために、低いオクターヴを重ねることもよく見られる。

ここでひとつ注意を呈しておかなくてはならない。実際のパイプにおいては、音高に対して様々なパイプ長が採られており、例えば、閉管(ゲダクト)の場合には円筒開管の2分の1の長さで同じ音高が出るのに対し、リード管においては、本来の長さの2~4倍もの長さの共鳴管を有しているものまである。但し、上記フィート律表記は、一般的な円筒開管の場合のサイズであり、同じ音高が出るパイプでも長さの違うストップにおいても、誤解を防ぐために、実際の音高で数字は揃えて表記されている。つまり、どんな場合であっても、実際に発音される音と同じ音高が出る標準的な円筒開管のパイプ長に合わせてフィート律は表記するという鉄則が、歴史の途中から定着してきた。

上図の中で、倍音を構成するには低い余分な音も含まれるが、低い5度音系のストップは標準的なものではなく、一般に差音効果を生み出すためのものである。差音(英:Resultant,独:Resultante,仏:Résultante,伊:Suono risultante)とは、オルガニストの間で経験的に古くから認められ、利用されてきた現象であるが、18世紀にゾルケやタルティーニらによって原理が発見され、ラモーが初めて理論化した現象である。主に低音域の開管フルー管を完全5度の音程関係で2本同時に鳴らすと、低い方のパイプよりも1オクターヴ下の音が擬似的に耳に聞こえるという聴覚現象のことを指す。これは、完全5度が倍音列における第2部分音と第3部分音として認識され、全く存在しないその下にあるはずの基音を聴覚的に体験してしまうものとなり、測定上は検出されず、人間の感覚上の現象とされる。

この差音の特性を利用した5度音系のストップは、19世紀のシンフォニック様式のオルガンで非常に流行し、設置場所に充分な高さを必要とする長大な低音パイプに対して、設置スペースを節約するための一つの解消法ともなっている。例えば、32'ストップが設置する空間が確保できないような場合、16'に10 2/3'を同時に鳴らすことで32'の低音を擬似的に得ることができてしまう。アトランティック・シティー・コンヴェンション・ホールのオルガンでは、驚くべきことに、64'に対して42 2/3'まで用意されており、これを組み合わせることで、実質128'に等しい差音が理論上は発生することとなるが、そもそもの64'さえも最低音域においてそれが音として認識される可能性は低い非可聴領域であるため、この擬似的な128'も残念ながら、随分と高い音域まで鍵盤を上がらないと音として認識され得ないものではある。

[編集] 倍音の混合法

一般的には、記音と実音とが一致する8'ストップを基音とみなし、それに対する倍音に該当する音高のストップ群を選んで混合する。また、基音を強めるために、基音のオクターヴ下の16'ストップや32'ストップ、かなり稀な64'ストップを追加することもある。これまでが標準的な混合法であるが、別の場合には、基音を8'でなく4'ストップや16'ストップ、また2'ストップや32'ストップを基音とみなして倍音ストップの混合がなされることもある。特に足鍵盤での場合は16'ストップを基音とみなし、それに基づいて倍音ストップの混合がなされるのが標準的な様式となる。これらの場合、基音が記音と実音と一致しなくなるため、鍵盤の音域が段ごと1オクターヴや2オクターヴ移高したような結果をもたらす。

ストップの混合によって、1つずつの倍音をストップによって積み重ねていく方法の他に、ミクスチュア・ストップを使用する方法もある。ミクスチュアは、1ストップだけで複数の倍音群を発音するストップであり、楽器や製作者によって、その構成音の設計の仕方は一律でないが、どの場合でも共通することとして、1ストップで複数列のパイプを用意したものとなる。またこのミクスチュアは、時代や国などによっても傾向や呼称が異なり、奏者は常にそのことを理解して使用する必要がある。特に、ミクスチュアによって、8'ストップの倍音群を構成するものでなく、16'ストップや4'ストップを基音とみなした場合の倍音群を構成するものもあるため、その使用を間違えるとおかしな効果が発生してしまうので注意が必要である。

下記表は、倍音を混合する際に、基音を8'ストップとみなして構成する以外の例も挙げたものである。最下部から順に上へと縦に読むことによって、倍音のフィート律を知ることができる。

各設定基音上に混合され得る近似倍音の組み合わせ表
倍音 度数 近似音 フィート律 ストップ名の例
第64倍音 43度音 C 1' 1/2' 1/4' 1/8' 1/16' 1/32' 1/64'
第48倍音 40度音 G 1 1/3' 2/3' 1/3' 1/6' 1/12' 1/24' 1/48' Quadragesima:羅
第32倍音 36度音 C 2' 1' 1/2' 1/4' 1/8' 1/16' 1/32'
第31倍音 2 2/31' 1 1/31' 16/31' 8/31' 4/31' 2/31' 1/31'
第30倍音 35度音 B 2 2/15' 1 1/15' 8/15' 4/15' 2/15' 1/15' 1/30'
第29倍音 2 6/29' 1 3/29' 16/29' 8/29' 4/29' 2/29' 1/29' Vigesima nona:古伊
第28倍音 Bb 2 2/7' 1 1/7' 4/7' 2/7' 1/7' 1/14' 1/28'
第27倍音 2 10/27' 1 5/27' 16/27' 8/27' 4/27' 2/27' 1/27'
第26倍音 34度音 A 2 6/13 1 3/13' 8/13' 4/13' 2/13' 1/13' 1/26' Vigesima sesta:古伊
第25倍音 G# 2 14/25' 1 7/25' 16/25' 8/25' 4/25' 2/25' 1/25'
第24倍音 33度音 G 2 2/3' 1 1/3' 2/3' 1/3' 1/6' 1/12' 1/24'
第23倍音 F# 2 18/23' 1 9/23' 16/23' 8/23' 4/23' 2/23' 1/23'
第22倍音 32度音 F 2 10/11' 1 5/11' 8/11' 4/11' 2/11' 1/11' 1/22' Vigesima seconda:古伊
第21倍音 3 1/21' 1 11/21' 16/21' 8/21' 4/21' 2/21' 1/21' 稀にmixtureに含まれる
第20倍音 31度音 E 3 1/5' 1 3/5' 4/5' 2/5' 1/5' 1/10' 1/20'
第19倍音 Eb 3 7/19' 1 13/19' 16/19' 8/19' 4/19' 2/19' 1/19' Mollterz:独(短3度音)
第18倍音 30度音 D 3 5/9' 1 7/9' 8/9' 4/9' 2/9' 1/9' 1/18'
第17倍音 Db 3 13/17' 1 15/17' 16/17' 8/17' 4/17' 2/17' 1/17' 稀にmixtureに含まれる
第16倍音 29度音 C 4' 2' 1' 1/2' 1/4' 1/8' 1/16'
第15倍音 28度音 B 4 4/15' 2 2/15' 1 1/15' 8/15' 4/15' 2/15' 1/15'
第14倍音 Bb 4 4/7' 2 2/7' 1 1/7' 4/7' 2/7' 1/7' 1/14'
第13倍音 27度音 A 4 12/13' 2 6/13' 1 3/13' 8/13' 4/13' 2/13' 1/13' Tredicesima(第13音)
第12倍音 26度音 G 5 1/3' 2 2/3' 1 1/3' 2/3' 1/3' 1/6' 1/12'
第11倍音 25度音 F# 5 13/23' 2 18/23' 1 9/23' 16/23' 8/23' 4/23' 2/23'
F 5 9/11' 2 10/11' 1 5/11' 8/11' 4/11' 2/11' 1/11'
第10倍音 24度音 E 6 2/5' 3 1/5' 1 3/5' 4/5' 2/5' 1/5' 1/10'
第9倍音 23度音 D 7 1/9' 3 5/9' 1 7/9' 8/9' 4/9' 2/9' 1/9' None(第9音)
第8倍音 22度音 C 8' 4' 2' 1' 1/2' 1/4' 1/8'
第7倍音 Bb 9 1/7' 4 4/7' 2 2/7' 1 1/7' 4/7' 2/7' 1/7' Septiéme:仏(第7音)
第6倍音 19度音 G 10 2/3' 5 1/3' 2 2/3' 1 1/3' 2/3' 1/3' 1/6'
第5倍音 17度音 E 12 4/5' 6 2/5' 3 1/5' 1 3/5' 4/5' 2/5' 1/5' "Tierce:仏,Terz:独(第3音)"
第4倍音 15度音 C 16' 8' 4' 2' 1' 1/2' 1/4'
第3倍音 12度音 G 21 1/3' 10 2/3' 5 1/3' 2 2/3' 1 1/3' 2/3' 1/3' "Nasard,Nasat"
第2倍音 8度音 C 32' 16' 8' 4' 2' 1' 1/2'
基音 元音 C 64' 32' 16' 8' 4' 2' 1'

[編集] 基音ストップ

鍵盤に対し、同度もしくは数オクターヴ上下の音のもの。通常、8'を基音として倍音構成を組み合わせるが、場合によっては16'や4'、たまに32'などを基音として組み合わせることもある。

[編集] 倍音(ミューテーション)ストップ

オクターヴ違いのものも含む基音ストップ群以外で、鍵盤とは数度離れた音が鳴るもの。一般的には、Quinte(5度音)がまず使用され、それに次いでTerz(長3度音)が使用されるが、それ以外のものは標準的にどのオルガンにおいても装備されているものではなく、個性的な仕様となる。勿論、この5度音や3度音はオクターヴ違いのものも含むが、倍音列にそぐわない低い位置のものを使用することは標準的な使用において避けられる。尚、当然ながらこれらを使用する際には、基音が想定されて混合されているのが前提であり、これらだけで使用することは現代曲などにおける稀な使用法である。

ラヴェル作曲の管弦楽作品「ボレロ」において見られる並行する旋律は、オルガンのストップによる倍音の効果を採り入れたものと言われているが、実際にオルガンのストップによって同じ効果を生み出すコンビネーションを、ストップによる発音の効果を理解するための例として以下に示す。

画像:Bolero001.png

複数のストップを組み合わせると、単音を弾くだけで倍音群をまとめて同時に発音することができるが、上例の場合には、ホルンの実音が基音とみなされ、それに対して第2倍音をチェレスタが、第3倍音をピッコロが、第4倍音をチェレスタが、第5倍音をピッコロが、それぞれの楽器の実音によって重ねられ、強められることによって、特徴的で輝かしい音色が生み出されている。旋律の"Oktav"を骨格として、倍音ストップの中でも一般的に使用される"Quinte(5度音)"と"Terz(長3度音)"を使用した場合と全く同じ効果が狙われている。

画像:Bolero002.png


上例においては様子が異なり、音群を倍音として捉えた場合に基音は実在せず、架空の基音上に響く倍音群だけを取り出した姿になっている。これによって不思議な音響ができあがっており、非常に鋭敏な耳の持ち主においては、実在しないはずの架空上の基音が連想されるという現象も起きることがある。


[編集] 単列倍音管

Mutation,Aliquot,Oberton などと呼ばれる。


[編集] 多列倍音管(Gemischte Stimme)

倍音を発生させる複数列によるストップ。つまり、このストップを1つ作動させるだけで、複数の倍音ストップを同時に使用したかのようにいくつもの音高パイプを同時に発音させることができる。これらには、その同時発音数を知るために、何列のパイプが装備されたものかをローマ数字にて併記することが通常となっている。その際、「列」を意味する次の各語、独語:Fach(ファハ),仏語:rang(ラング),英語:rank(ランク),伊語:fila(フィラ)によって呼ばれる。[ドイツ仕様の例、ローマ数字での表記も一般化しているが、伝統的にMixtur 4f. 1 1/3' などと書かれる場合もある。これはミクスチュアで、1 1/3’(8’の第6倍音)を元に4列で構成されているとの意味。f.をフィートと混同している人もいる。仕様表ではReiheは使わないが、風箱上のパイプの並び、列の意味としてこの言葉は使われる。イタリアの古いスタイルでは、ミクスチュアの様な多列に組まれた倍音管はないが、それぞれの単倍音管を奏者自身が組み合わせ、ミクスチュアとして使用する。この組み合わせ方法をRipieno(リピエーノ)と呼ぶ。]

大きく次の2系統に分類され、使用方法は異なる。これらには諸問題が含まれており、現在も様々な論議が続いているため、全てを明確に定義づけするのは難しい。製作者や国、地域、時代などによって、常に厳密な定義に基づいて製作されてはこなかったため、我々は、古い記録や現存している当時の楽器などごく限られた資料からそれらを帰納して推測するしかないところも多い。


  • 混合管(Mixtur)
多くの偶数倍音管を含む。主にPleno,Plein jeu での演奏時に加える。
Hintersatz
Mixtur
Scharf
Zimbel
  • 複合管(Imitator)
多くの奇数倍音管を含む。ソロやGrand jeu での演奏時に加える。多列倍音管に属するが、ミクスチュアとは呼ばない。
Sesquialter
Cornet

[編集] パイプの発音方式によるストップ分類

[編集] フルー管(唇管)

フルー(英:Flue,独:Lippenpfeifen,)とは、エアリード発声機構の管群。発声原理的にはフルートリコーダーに等しい。一台のオルガンに所属する全パイプの中でも、その約85%はフルー管のものである。

  • ストリング系(狭径管)
  • プリンシパル系(中径管)
  • フルート系(広径管)
  • ハーモニック
形状は狭径管だが、管体中央に小穴があり、オーバーブローする。パイプの音色は強いフルート系に属する。
  • その他特殊管系


[編集] リード管(舌管)

リード管(独:Zungenpfeife)とは、リードによる発声機構の管群。打簧管のクラリネットやサックスホーンなどの発声原理的な種類が多く含まれる。また、リードオルガンアコーディオンハーモニカなど自由簧管(フリー・リード)の種類もわずかに使用される。

  • 長円錐管系
共鳴管の実長はフルー開管の実長と同様、呼称に近く自然に共鳴し、フルー管との融合性がある。
  • コーラス・リード系
  • ソロ・リード系
  • 中円筒管系
共鳴管の実長はフルー閉管の実長と同様、呼称の半分に近い。フルー管との融合性は中庸。
  • コーラス・リード系
  • ソロ・リード系
  • 短共鳴管系
共鳴管は短く、呼称とは無関係で独自の形状を有する物が多い。音色は個性的でソロ演奏に適する。
  • ソロ・リード系
  • 自由簧管系
ロマンチック時代に導入され、柔らかい音色で弱音。
  • ソロ・リード系


[編集] ダイヤホーン(震弁管)

リード管とは異なり、発音原理的には金管楽器(トランペットやトロンボーン等)に似ている。革を貼った弁が振動源、共鳴管で調律する。低音用の特殊な管でR.Hope-Jonesが発明した。


[編集] 共鳴管の形状によるストップ分類

[編集] 円筒管

[編集] 円錐管

円筒管よりも低い音が出る性質があるため、パイプ長は円筒管よりも幾分短く設計される。

[編集] パイプの形状によるストップ分類

  • 開管
  • 閉管
  • 半閉管
  • オーヴァー・ブロー管
  • 直角曲げを施したストップ:スペース節約に使用される方法でもある。曲げても、総パイプ長の音が出る。
  • チムニー付きのストップ

[編集] パイプの幅(スケール)によるストップ分類

[編集] 狭スケール管

倍音が強くなり基音は少なくなる。

[編集] 中幅スケール管

[編集] 広スケール管

基音が強くなり倍音は少なくなる。

[編集] パイプの材質によるストップ分類

  • 含有量23%:広スケール閉管、フルート管などに使用される。
  • 含有量51%鋳造模様が発生する混合度であることから、斑入りメタル管に使用。
  • 含有量60%:プリンシパル・コーラス管などに使用される。
  • 含有量75%:リード管、ストリング系、Quintade、前面陳列管などに使用される。
  • :稀なもの。
  • 木製


[編集] 所属鍵盤によるストップ分類

録音されたオルガンの音色に比べて、実際に聴くオルガンの音色は所属鍵盤によって大幅に違う。それは、パイプの設置位置の違いに起因するところが大きく、音の鮮明さの違いや立体的な変化を確かめることができる。ストップによって、慣習的にどの鍵盤に所属するものかほぼ決まっているものもあり、それによって更に、ストップの特徴が決定づけられる要素ともなっている。

[編集] 主鍵盤の特徴

3段手鍵盤の場合、一般的には中段のものとなる。それ以上の数の手鍵盤がある場合には、一般的に3段よりも上に追加されていくと考えられ、下の3段が標準的な3段鍵盤として見なされる。奏者が3段の手鍵盤を行き来する際にその高低差が負担になりにくいよう、主鍵盤を真ん中に設置し、椅子の高さは中段鍵盤を奏する際に最適に調整する。但し、フランス式の3段手鍵盤では、最下段が主鍵盤とされる傾向があり、奏者の座り方も変わってきてしまう。主鍵盤のパイプ群は、本来そこにスウェル・シャッターが設置されないものとして音楽の中では機能するが、現代のオルガンの中には、全鍵盤に個別のスウェル・シャッターが設置されており、独立して強弱が表現できという設計のものも見られる。

[編集] ポジティフ鍵盤の特徴

主鍵盤とは違った音場からの対比的効果を意図したパイプ群が所属するものとなる。現代のオルガンの場合には、これにもスウェル・シャッターが設置されて、独立して強弱が表現できという設計のものも見られる。

[編集] スウェル(レシ)鍵盤の特徴

スウェル・シャッターによる強弱表現のできるパイプ群の所属する手鍵盤。元々スウェル・シャッターは、この鍵盤特有の仕様であったが、後にその表現性が重視され、演奏上に不可欠のものとなり、現代のオルガンの中には、全鍵盤に個別のスウェル・シャッターが設置されて、独立して強弱が表現できという設計のものも見られるようになってしまった。

[編集] リュック・ポジティフ鍵盤の特徴

ポジティフ鍵盤に所属するパイプ群が、演奏台の更に背後に設置されて、音場の違いが更に意図されたもの。その数はそれほど多くはなかったが、その魅力は現代でも認められており、現代においてもリュック・ポジティフを有するパイプ・オルガンが建造されることは、特別珍しいことでもない。


[編集] 水平管鍵盤の特徴

4段手鍵盤以上のオルガンでは鍵盤の役割に様々なアイデアが見られ、そのあり方は一様ではない。縦ではなく横向きに真っ直ぐ設置された水平管は、それ専用の手鍵盤が用意されていることがある。トランペット、クレロン、コルネなどが水平管としての大きな効果を持って一般に設置される。 また、フランスでは特にトランペット系のリード管を多く設置して壮大な音楽を生み出す傾向があったが、それらによって多くの風を消費して他のストップに風が不足してしまうような事態を防ぐため、トランペット系専用の別の風箱を用意したものもよく見られた。その場合、専用の鍵盤をBombarde鍵盤と呼んだ。

長く飛び出たパイプ郡は、地震の多い日本において幾分か敬遠されがちである。例:サントリー・ホールのオルガンにおける例(東京)

[編集] 配置場所によるストップ分類

[編集] 前面陳列のストップ

Montreは前面陳列管と訳されるが、まさに前面に並んで見えるパイプ群である。楽器の主要な音色を担当するPrincipalがそれに該当するが、前面に配置されることを意識して、より美しい金属色を持つような金属配分で、すなわち含有量75%という配分が好ましいとされ、磨きの作業は特に念入りになされる。当然ながら、これらは聴衆に最も直接的に聞こえるフルー管となり、スウェル効果は持っていない。


[編集] トレモロ効果

音を震わせるトレモロの効果を発生させることができる。大きく分けて以下の2種によるものが存在する。

[編集] トレムラント(震音装置)

楽器ごとの程度の差こそあれ、送り込む空気の干渉作用によって、音の強弱が発生する。震えの速さは共通していないが、例えば1分間に120回ほどの震えを発生させたりする。一般的には、楽器全体のうち一箇所の鍵盤だけを操作して音楽に使用する。一般的には楽器設計者が決めた速さが固定式になっているものの、現代では奏者の操作によって速さを変えられる可変式のトレムラントもある。電気装置のない時代から存在したが、振動の周期が均一なため、機械的に聞こえてしまうという短所がある。

[編集] 唸音(てんおん)ストップ

僅かに調律を違えたストップによって、他のストップの音との間に発生する干渉の作用を利用した効果を持つストップ。楽器全体に共通するピッチよりも僅か高く、あるいは低く調律して設計するが、そのずれが5~6Hzの範囲にある時によく耳に認識され、これを離れると干渉による唸りは認識されなくなる。オルガンの仲間であるアコーディオンに見られる特有の音色は、このストップを用いることによって得られている。僅かに間隔の異なる2種の波の間に発生する周期的なうなりは、下記画像を参照。

100本の赤線に本数を違えた青線を重ねた際に発生する干渉の例
拡大
100本の赤線に本数を違えた青線を重ねた際に発生する干渉の例


ピッチのずれの程度によって、唸りの周期が決まるという性質を使用して、同じ楽器中にある数種の唸音ストップごとに周期を違えるとか、一つの唸音ストップの音域によって周期に変化をもたらすなどの設計も可能である。

多くはシュヴェーブンク(独:Schwebung=唸り)と呼ばれ、ロマンティック・オルガン時代に発展した。イタリアではルネサンス時代に既にこの種のストップは知られていた。他の対になるストップと同時に使用するが、その選択を間違えると響きの良さは現れず、単独で使用するストップではない。特に、ロマンティック・スタイルが組み込まれる弦音管(狭径)用として、中規模以上のオルガンには有用とされる。現在ではこの種のストップは、用途が限定されているため、あまり多用されない。

参考:Encyclopedia of Organ Stops

    • ヴォーチ・ウマーネ(伊:voci umane=人の声):16世紀イタリアで使用されていた、唸音のプリンシパルのこと。特にフランスにおいては、指示がなくともトレムラントと共に使用することが伝統とされてきた。
同種としてPiffaro、Fiffaroなどがあり、トレモロでは表現出来ない、イタリア・オルガン特有の嘆美な響きを醸し出す。注)同名ストップとして、Vox Humana(羅)、Voix humain(仏)などがあるが、これは別種のソロ・リード管(短共鳴管系)で、全く異なる音色。フランス・オルガン(主鍵盤)ではリード管が一般には多く設置されている。
    • ウンダ・マリス(羅:unda maris=海の波):ジルバーマン製作によるヴォーチ・ウマーネのこと。カヴァイユェ=コル製作によるものの場合には、唸音のサリショナルである。
    • ヴォワ・セレステ(仏:voix céleste=天の声):19世紀フランスで使用された、唸音のヴィオラ・ダ・ガンバのこと。
    • ヴォワ・エオリアンヌ(仏:voix éolienne=風の声):カヴァイユェ=コル製作による唸音の閉管(ゲダクト)ストップのこと。


これら唸音ストップは、トレモロ効果を求めていない時には混合すべきではない。特に、トゥッティの際に含めてはいけないものとされている。

単独では用いられず、他の対になるストップと併用しなければならいなど、この種のストップ使用には注意がいる。また演奏台では誤用防止のため、ストップの並びを工夫し、主ストップとしてではなく、補助ストップ列などに、あるいは対になるストップの横に並べるなどの配慮が求められる。

[編集] 実動ストップ一覧

どのオルガンにおいても、全ストップをまとめて並べた一覧表が作成されている。日本語では、「ストップ一覧(表)」、「ストップ・リスト」、「ディスポジション」、「音栓一覧(表)」などと呼ぶが、各言語においては以下のように呼ばれる。

  • 英語:"stoplist"・"stop-list"[ストップ・リスト],"specification"[スペスィフィケイション]
  • 独語:Disposition[ディスポズィツィオーン]
  • 仏語:"composition(de l'orgue)"[コンポズィシオン・ドゥ・ロルグ],"disposition"[ディスポズィシオン]
  • 伊語:"disposizione"[ディスポズィツィオーネ],"composizione"[コンポズィツィオーネ]

その内容は、鍵盤ごと、そして低い順に並べられるが、リード管は分けられてフルー管の後に低い順で並べられ、ミクスチュア族はフルー管の後、すなわちリード管との間に配置される。ストップノブには管理用の通し番号が振られていて、多くはその番号も一覧に添えられている。操作時には、ストップ名を読まなくとも、番号だけでもすぐに認識できるように配慮されている。また一覧には、楽器に装備されているカプラーの種類や、機構方式、鍵盤数、足ペダルの種類と数(スウェル・ペダル、クレッシェンド・ペダル)、コンビネーション・メモリの保存セット数なども判るように書き添えられている。

表記言語は、楽器の様式に則っていたり、建造家や製造メーカーの現地語で表記されるかによっていることが殆どである。そういう意味で、オルガニストはどの言語によるストップ名でもなじみがなくてはいけない。また、時代や様式によって、同じストップを意味するものでも音色が違うことが多いため、一概に特定はできず、演奏する際には現地に行って音を出してみるまでは判らないことも多い。

オルガンのストップ名は、日本語で見かけることは少なく、その多くはドイツ語かフランス語によっていることから、その必要性に応じて以下の表では、ドイツ語(独)、フランス語(仏)、英語(英)、日本語を併記することとする。

ストップ名の付け方は様々であるが、以下の6種より例を挙げる。

  • 形状や素材に由来するもの
:Gedeckt=閉管["decken(蓋をする)"より転じた]
Krummhorn=湾曲型ホルン
Apfelregal=りんご蓋Regal
Holzregal=木製Regal
  • 実際的な事象に由来するもの
:Montre=前面陳列管
:Hintersatz=背後管
:Utersatz=低位管
:Mixture=混合管
:Flûte harmonique=倍音フルート
  • 音高に由来するもの
:Octave=8度(上)
:Quintadecima=15度(上)
:Vegisima nona=29度(上)
  • 音色の表情に由来するもの
:Nasard="nasarder(鼻声)"より転じた
:Scharfe="sharp(甲高い)"より転じた
:Dolce="dolce(柔和な)"に由来
  • 連想させる楽器に由来するもの
:Flûte traversière=縦笛
:Clairon=ラッパ
:Viole de Gambe=ヴィオラ・ダ・ガンバ
  • 連想させるものに例えたもの
:Voix-Céleste=天の声(音色)
:Voix-Humaine=人の声(音色)
:Bourdon="burdones(巡礼者の長い杖)"より転じた(パイプ)
代表的なストップ一覧
ストップ名 詳細
Äoline(共通)

エオリーネ・エオリーヌ

風の神アイオロスに由来する。

①非常に細い狭幅管で、倍音を多く含みつつ、柔らかい弦楽音がするストップである。

②音の大きなリード管ストップ。

Apfelregal(独)

アプフェルリーガル

◎Regalは極端に短い共鳴管を持つリード管であるが、Apfel(独)とはりんごのことで、ここではりんご型の共鳴管を持つストップを指す。
Blockflöte(独)

ブロックフローテ

◎4'の広幅管で、倍音が少なく基音を多く含む柔らかいフルート管である。時に2'のこともある。
Basson(仏)

バッソン

Basson-Hautbois(仏)

バッソンオーボワ

Bombarde(仏)

ボンバルドゥ

◎Trompette 16'またはPosaune 16'のこと。
Bourdon(仏)

ブルドン

◎四角柱型の閉管で、低い音域は木板である。Gedeckt 16'や8'と同じ。
Carillon
Clairon
Clairon en Chamade
Clairon Harmonique
Contre-Bombarde
Cor de Nuit
Cornet
Cornet Harmonique en Chamade
Cromorne
Cymbale
Diapason
Doublette
Flûte
Flûte a Cheminée
Flûte Douce
Flûte Harmonique
Flûte Octaviante
Flûte ouverte
Fourniture
Gambe
Grand-Cornet
Grande Flûte
Gros-Nasard
Grosse Tierce
Larigot
Montre
Nasard
Octavin
Piccolo
Plein-Jeu
Prestant
Principal
Quarte de Nasard
Quintaton 
Quinte
Rohrflöte(独)

ロールフローテ

◎半閉管ストップ。キャップ部にチムニーが付けられており、音の立ち上がりの際にだけそこから非和声音が鳴る特徴がある。管幅は一定していない。=Chimneyflute(英):チムニーフルート
Salicional
Tierce
TIRASSE
TREMBLANT
Trompette
Trompette en Chamade
Trompette Harmonique
Unda-Maris
Viole de Gambe
Violoncelle
Voix-Céleste
Voix-Humaine

[編集] 機械ストップ一覧

[編集] カプラー(手鍵盤)

独語:Manualkoppel[マヌアールコッペル]

仏語:accouplement(manuel)[アカップルマン(マニュエル)]

英語:manual coupler[マニュアル・カプラー]

[編集] ペダル・カプラー

独語:Pedalkoppel[ペダールコッペル]

仏語:tirasse[ティラス(実際の発音は「チラス」に近い)]

英語:pedal coupler[ペダル・カプラー]

[編集] オクターヴ・カプラー

独語:Oktavkoppel[オクターフコッペル]

仏語:accouplement à l'octave [アカップルマン・タ・ロクターヴ]

英語:octave coupler[オクターヴ・カプラー]

[編集] サブ・オクターヴ・カプラー

独語:Suboktavkoppel[ズプオクターフコッペル]

仏語:octave grave [オクターヴ・グラーヴ]

英語:sub-octave coupler[サブオクターヴ・カプラー]

[編集] 固定・自由コンビネーション

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  • アペル

[編集] セッター・システム

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[編集] トレムラント

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[編集] オルガンにおける音色の開発史と時代の流行

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[編集] バロック時代のストップ

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[編集] ロマン派のストップ

<stub>

[編集] その他

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[編集] 地域音楽文化による音色嗜好傾向

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[編集] ドイツ流オルガンのストップ

<stub>

[編集] フランス流オルガンのストップ

<stub>

[編集] イタリア流オルガンのストップ

<stub>

[編集] イギリス流オルガンのストップ

<stub>


[編集] 参考外部リンク

[編集] 参考文献

  • Hans KLOTZ,"Das Buch von der Orgel",Bärenreiter-Verlag,1988
  • Stephan D.SMITH,"Atlantic city's musical masterpiece-The story of the world's largest pipe organ-",Peter E.Randall Publisher,2002
  • George Ashdown AUDSLEY,"Organ-stops and their artistic registration",H.W.Gray Co.,1921
  • "The IAO Millennium Book",Paule Hale,2000
  • "The cambridge companion to the Organ",Cambridge,1990
  • 秋元道雄,「パイプオルガンの書」,東京音楽社,1982
  • Wilfried PRAET,「Organ dictionary」,CEOS v.z.w.,1989
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