ジャッカルの日
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ジャッカルの日(じゃっかるのひ、The Day of the Jackal)はフレデリック・フォーサイスの小説作品。
1960年代始めのフランスでシャルル・ド・ゴール暗殺を企てるテロリストグループ・OASが接触した、プロフェッショナル暗殺者についてのスリラー小説である。フォーサイスは1960年代初頭にフランスに特派員として駐在しており、多くの情報源から様々な情報を得てこの小説を執筆したとされ、実在の組織や人物が入り乱れたこの小説がどこまで真実なのかはいまだ明らかではない。
1973年にユニヴァーサル映画製作、フレッド・ジンネマン監督、エドワード・フォックス主演で映画化された。
1997年にリチャード・ギア、ブルース・ウィリス主演で『ジャッカル』としてリメイクされるがストーリーはほとんど別物であり、かつ評判は良くない。
[編集] ストーリー
ドゴール大統領の暗殺を目論む右翼組織OAS(秘密軍事機構)に雇われたプロの殺し屋と、暗殺を阻止しようとする警察の、息詰まる攻防戦を描く。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
- 小説版ストーリー
1954年に始まったアルジェリア戦争は泥沼状態に陥った。「フランスのアルジェリア」を信じて戦う現地駐留軍やフランス人入植者の末裔(コロン、またはピエ・ノワール)らは、フランスの栄光を願う右派世論を味方に付けてアルジェリア民族解放戦線(FLN)やアルジェリア人の村落を殲滅するが、相次ぐFLNの爆弾テロや残虐になる一方の戦争で厭戦世論も広がり世論は分裂した。1958年、政府の弱腰に業を煮やした現地駐留軍の決起によってフランス第四共和政は崩壊し、フランスの栄光を体現するシャルル・ド・ゴールが大統領に就任したことにより第五共和政が開始された。アルジェリアの軍人やコロンたちは、ドゴールがフランス固有の国土のための戦争に一層力を入れてくれると期待したが、ドゴールは戦費拡大による破綻寸前の財政などを鑑み9月にアルジェリアの民族自決の支持を発表した。1961年の国民投票の過半数もそれを支持し、1962年に戦争は終結してしまった。
現地軍人やコロンらは大混乱のうちにフランスに引き揚げた。彼らは戦争中にOAS(「秘密軍事組織」)を結成してアルジェリアで破壊活動を続けており、フランスでも政府転覆を狙って対ドゴールのテロ活動を行ったが、ジャン=マリー・バスチャン=チリーなど現役のエリート軍人らによるドゴール暗殺計画はことごとく失敗し、組織の優秀な軍人達は逮捕され処刑された。組織にはフランス官憲のスパイが浸透した上、コルシカ・マフィア(ユニオン・コルス)まで投入した捜査の結果、秘密だった筈のメンバーや活動もほとんど判明してしまい、表の政治組織もフランス官憲の実行部隊により容赦なく壊滅させられるに至って、支援者だった企業オーナーらも離れていった。(ここまでは史実)
1963年、残るOAS幹部のうちトップ3人はオーストリアの潜伏先で、もはや組織内のドゴール暗殺の動きが全て察知されてしまうため、組織外のプロ暗殺者を雇うことを決める。やがて最適の人物として選ばれた、本名も年齢も不詳だが若々しい、狙撃が超一流の長身のイギリス人男性が暗殺を請け負う。彼は「ジャッカル」のコードネームで呼ばれることを望み、プロとして法外な報酬を要求した。OASが組織を挙げてフランス各地で銀行などを襲い資金を集める間、ジャッカルは図書館でドゴールの資料を徹底的に調査し、一年のうちに一度だけ、ドゴールが絶対に群衆の前に姿を見せる日があることを発見してそれを決行日と決めた。ジャッカルはパリのいくつかの候補地から決行地点を選び、全ヨーロッパを移動しながら必要な特注の狙撃銃、偽造の身分、パスポート、衣装、入出国経路などを抜かりなく用意する。
一方、OASの銀行襲撃の嵐や、ローマに移動し潜伏し動きを全く見せないOAS幹部たちに不審な気配を感じたフランス官憲は、実行部隊を使いローマからOAS幹部のボディガードを拉致し拷問、意味不明のあえぎ声の中からOASが外部の暗殺者を雇ったこと、それが「ジャッカル」と呼ばれていることを知る。ドゴールの死は第五共和政とフランスの崩壊を意味する。国家の各治安組織の官僚のトップたちが対策会議を開き、捜査は実績の高いルベル警視という老刑事に一任された。ルベル警視には与えられる限りの権限が与えられたが、定期的に治安組織の官僚のトップに捜査報告を行うことを求められ、権力者達の政治的思惑の波をかぶりつつも、ジャッカルを追い始める。
ルベル警視は、その個人的な伝手も用いて、ジャッカルの正体を洗うべく世界中の警察に問い合わせを行い、どうやらあるイギリス人らしいことを知った。イギリス警察は怪しい偽造戸籍を発見し、そこから捜査で容貌や暮らしぶりなどが判明したのである。その情報を元に、ルベル警視はフランス全土の警察・憲兵らを指揮し不審者の入国を阻止しようとするが、ジャッカルは巧妙に車に銃を隠し、偽造パスポートで南仏から侵入したあとだった。
全国の国境やホテルから毎日届けられる入国者・宿泊者リストを洗い、南仏一帯で何度もジャッカルらしき者を追い詰めるが、そのたびジャッカルは寸前で逃げ、何度も偽造パスポートを取り替えて変装を変え、その途上においては、ホテル以外の宿泊場所を巧みに得るなどして、時間を稼ぎながらパリを目指す。ルベル警視はおそらく、ジャッカルがOASの極秘の連絡網を利用して、治安トップの報告会の内容やルベル警視たちの対策を全て知っているのではないかと疑い、治安官僚の中から内通者を調べ始める。また、ドゴール暗殺の決行日がいつであるかを直感する。
捜査もむなしく、ジャッカルはパリに入り、意外な姿に変装して忍びながらその日を待った。パリでは全国の警察力とユニオン・コルスまで総動員し、裏町の隅から隅まで情け容赦ない大ローラー作戦を行うが、ジャッカルは見つからない。ドゴール大統領は、暗殺の危険を訴える側近の声に耳を貸さず、例年通りパリ市内で行われるある式典に出発した。ジャッカルとルベル警視の対決は、ドゴール大統領が姿を現すその時間、その場所にまでもつれこむ。
[編集] 関連項目
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