ザクI
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ザクI(Zaku I)は、アニメ作品の「ガンダムシリーズ」のうち、宇宙世紀を世界観としたシリーズに登場する架空の兵器(型式番号:MS-05B)。最初に量産されたモビルスーツで、俗にザクといえば本機を改良したザクIIをさすことが多いため旧ザクとも呼ばれる。。主に藍色と濃緑色のカラーリング。なお、「ザクI」というネーミングは1981年発行のムック「ガンダムセンチュリー」が初出の非公式設定であったが、『機動戦士ガンダム MS IGLOO 一年戦争秘録』第3巻において初めてこの名で呼ばれ、四半世紀を経てようやくサンライズ公式の名称となった。
(注:「I」は、ローマ数字の1である)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
ザクI(旧ザク) | |
型式番号 | MS-05 |
所属 | ジオン公国軍 |
建造 | ジオニック社 |
頭頂高 | 17.5m |
本体重量 | 50.3t |
全備重量 | 65.0t |
ジェネレーター出力 | 899kw |
スラスター総推力 | 40,700kg |
センサー有効半径 | 2,900m |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
主な搭乗者 | ガデム ランバ・ラル 黒い三連星 ジオン公国軍一般兵他 |
武装 | 105mmマシンガン 240mmバズーカ ヒート・ホーク |
目次 |
[編集] 機体解説
ジオン公国軍が宇宙世紀0074年2月に試作完成、7月には初の量産化を成し遂げたモビルスーツ。後のザク系と同じくジオニック社による開発だった。搭乗員育成や戦技研究、各種試験に用いられ、モビルスーツという兵器体系を作り上げた機体となった。
しかし軍(特にキシリア・ザビ)はこの機体の性能と生産性をより向上させたタイプの開発を要求する。その結果完成したのが出力向上と冷却装置の強化、それに伴う性能全般の向上したMS-06ザクIIであり、こちらの方が主力として大量生産・配備されたため、ザクIは艦隊決戦後のコロニー内の制圧や、後に補給作業などのニ線級任務に回されることとなった。しかし、大戦後期になってもザクIを継続して愛用したベテランパイロットもまた多く、最終決戦の舞台となったア・バオア・クーでも新鋭機と共に配備され、実戦参加している。
なお、競争試作機としてツィマッド社のヅダも開発されたが、トライアル中に空中分解事故が発生、結果安定した性能を発揮したザクIが採用されている。なお、ヅダは後に実体の無い活躍を喧伝するプロパガンダ用の"ゴーストファイター"任務、最終的に試験隊の護衛機として限定使用されている。
[編集] 劇中での活躍
初登場は『機動戦士ガンダム』の第3話で、補給部隊の老兵ガデムが自分の補給艦(パプア)を護衛するためにこの機体に乗って出撃する。補給活動にも手を貸し、任務自体は成し遂げるも補給艦は沈没。そのまま手持ち武器を持たずに肩から突進するなど肉弾戦でアムロ・レイの乗るガンダムに攻撃を仕掛けるが、モビルスーツの操縦もろくに慣れていないはずのアムロに撃破されてしまう。ここは新旧のモビルスーツ、そしてパイロットの世代交代を思わせる場面でもある。また映画版でもア・バオア・クーにザク・マシンガンを持って立っているシーンが見られるため、旧式にもかかわらず一年戦争最後期まで使われていたことがわかる。
『機動戦士ガンダムΖΖ』では、タイガーバウムを支配するスタンパ・ハロイの民間払い下げMSコレクションの一つとして登場。内部は改造を施してあり、操縦系統は最新機に近くなっている。武装もザク・マシンガン改を装備していた。また、これとは別にスタンパの館の門には、まさに阿吽の像よろしくデコレーションされた2体の悪趣味なザクIがそびえ立っていた。
『機動戦士ガンダム第08MS小隊』作中では、第6話でのシロー・アマダの回想シーンにて、サイド2に乗り込み毒ガス弾を発射した機体がザクIである。また、第8話にてゲリラの村に迷い込むトップ小隊の隊長機もザクIであり、こちらの機体には隊長機を示す角も付けられている。
『MS IGLOO 1年戦争秘録』第2巻では地上の物資集積所の警備用として登場、『MS IGLOO 黙示録0079』第3巻では最初にア・バオア・クーに取り付いた2機のジムを攻撃、撃破するシーンがある。
[編集] 原型機
- MS-01 モビルスーツ(クラブ・マン)
- 史上初めての人型機動兵器として建造された機体。
- MS-04 プロトタイプザク
- MS-03の重量や出力不足等の問題を改良すべく作られた機体。この機体から核融合炉を搭載し、実用化に目処が付けられる事となる。
[編集] 派生型
- MS-05A ザクI(前期生産型)
- ザクIの初期型として生産された機体。訓練用に生産された。
- MS-05B ザクI
- 生産ラインに乗ったという意味での初の実戦型量産機。記事参照。
- MS-05L ザクI・スナイパータイプ
- 旧式化したザクIを長距離狙撃用に改修した機体。
詳細は『ハーモニー・オブ・ガンダム』 ザクI・スナイパータイプの項を参照。
- 旧式化したザクIを長距離狙撃用に改修した機体。
- MS-06 ザクII
- ザクIをより実戦向けにするため、改良を施された機体。
[編集] パーソナルカスタム機
- MS-05 ザクI(ランバ・ラル専用機)
- ランバ・ラルが開戦当初に乗っていた機体。青のカラーリング。
- MS-05 ザクI(黒い三連星専用機)
- のちの黒い三連星が開戦以前より愛機としていた機体。短い期間にダークグレー、ダークシーブルーなどの数回のカラーリング変更が確認できる。その後の彼らはMS-06C、MS-06Sと機体を乗り換えるが、開戦後の0079年3月の教導機動大隊の特別演習ではレストアされブラック、パープル、グレーに再塗装された機体で演習に参加している。
- MS-05 ザクI(ゲラート・シュマイザー専用機)
- 『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』に登場。
[編集] その他
ガンダム世界を舞台にした魔法少女漫画『魔法の少尉ブラスターマリ』(作:池田恵)には「1日ザク」(いちにちザク、愛称「1日号」)なる機体が登場。サイド3のとあるコロニーのジオン軍基地で戦力として数えられることなく格納庫にしまってあった機体だが、謎の女性士官ブラスターマリ少尉が搭乗し、数度にわたりコロニーの危機を救っている。胴体部がMS-06FZザクII改のボディになっているのが特徴。なお「1日~」の名称はブラスターマリの正体であるマリコ・スターマインが子供向けMS図鑑の「旧ザク」という記述を読み間違えたことに由来する。
登場した作品の性格上、オフィシャルにはなりえない荒唐無稽な機体ではあるが、そのネーミングの秀逸さから知名度は高い。
漫画版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』にも登場。高性能だがコスト高により採用が見送られたMS-04の代わりとして量産され、ミノフスキー博士の亡命を巡っての連邦モビルスーツ部隊との衝突「雨の海海戦」において、MS-04・1機を含む5機をもって、ガンキャノン初期型2個中隊を壊滅させる一方的大勝利を収めた。これは他の兵器を火力支援することを目的に設計されたガンキャノンに対し、同じモビルスーツを接近戦で駆逐することを目的したしたザクの設計思想の勝利でもあった(映像作品では逆で、むしろザクの方がモビルスーツ以外の敵と戦うことを想定して設計されている)。もっとも、ランバ・ラル、シャア・アズナブル、黒い三連星といった後のエースパイロットたちによって隊が編成されていたことも大きな勝因であったが。この後、MS-06の配備後もハッテ(サイド2)制圧・ブリティッシュ作戦やルウム戦役にも参加している。TVシリーズ同様ガデム少佐(TVでは大尉)も使用するがガンダムとの対決は無く、ガンキャノンを追い詰めるものの突然現れたガンタンクに撃たれ撃破される。また、ハモンたちラル隊残党を支援するため、情報部のタチ中尉が調達し自ら乗り込んだのもこのザクIであり、やはりガンタンクに撃たれ破壊された。
『∀ガンダム』にはボルジャーノン(ギャバン・グーニー専用機)として登場している。ルジャーナ・ミリシャによって発掘され、実戦に投入された機械人形の殆どはザクIIに似た形状をしていたが、1機だけ旧ザクに似た形状の機械人形も発掘され、ルジャーナ・ミリシャのスエサイド部隊の隊長であったギャバンの愛機として活躍している。