コイネー
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コイネー(Κοινὴ Ἑλληνική)とは、アッティカ・イオニアギリシア語方言を基盤として、ヘレニズム、すなわち、アレクサンドロス大王が採用した、マケドニア王国の共通語である。
アレクサンドロス大王が構築した汎ギリシア帝国の公用語で、これが後に新約聖書の言語として採用され、東ローマ区域の公用語且つ通商語として、東ローマ(ビザンティン)帝国にうけつがれ、現在の現代ギリシャ語の基盤となった共通語をいう。
したがって、後1世紀頃からはじまる音韻構造の移行を受け、現代ギリシア語の発音とその語彙形態素を、その特徴とするもので、ビザンティン帝国の宮廷で使用されていた言語と基本的に同一のもので、現代ギリシア語の母音・子音システムをすでに有しているもので、アオリスト形が現在にも引き継がれている。
現代ギリシア語の方言は、このコイネーから派生して、14世紀頃にも、 Le Livre Des Assisesのギリシア語訳(キプロス方言の古文献)の語彙・文体にその痕跡が多々みられる。コイネーは、このように中世ギリシア語を束ねて「共通化」した言語体であり、現代ギリシア語の諸方言の生みの親となっている。したがって、該「コイネー」の古アテナイ方言が、現代ギリシア標準語の基礎となっている。ギリシア語の基礎は、したがって、コイネーにあるということができる。
[編集] 通時言語学的な「コイネー」への変遷の音韻変化
- glotta(アッティカ方言)>glossa(koine:舌)(=現代ギリシア語)
- phulatto(アッティカ方言)>phulasso(koine:監視する)(=現代ギリシア語)
- tettares(アッティカ方言)>tessares(koine:四)(=現代ギリシア語)
- arren(アッティカ方言)>arsen(koine:雄)(=現代ギリシア語)
- elaa(アッティカ方言)>elaia(koine:オリーブ)(=現代ギリシア語)
- leos(アッティカ方言)>laos(koine:民)(=現代ギリシア語)
- neos(アッティカ方言)>naos(koine:宮/社)(=現代ギリシア語)
- leos(Accusativus:plアッティカ方言)>laous(Accusativus:pl:koine:民民を)(=現代ギリシア語)
- 音素結合-tt-(アッティカ方言)>-ss-(koine)(=現代ギリシア語)
- 音素結合-rr-(アッティカ方言)>-rs-(koine)(=現代ギリシア語)
- 音素結合-eos(アッティカ方言)>-aos(koine)(=現代ギリシア語)
[編集] 文献
- 現代ギリシア語への参考書:八木橋正雄著「現代ギリシャ語の基礎」大学書林1984刊