クロフネ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クロフネ(2001年5月6日、東京競馬場) |
|
性別 | 牡 |
---|---|
毛色 | 芦毛 |
品種 | サラブレッド |
生誕 | 1998年3月31日 |
死没 | (現役種牡馬) |
父 | フレンチデピュティ |
母 | ブルーアヴェニュー |
生産 | ニコラス M. ロッツ |
生国 | アメリカ |
馬主 | 金子真人 |
調教師 | 松田国英(栗東) |
競走成績 | 10戦6勝 |
獲得賞金 | 3億7023万5000円 |
クロフネ(1998年 - )は日本の競走馬。アメリカ合衆国で生まれ、日本で調教された外国産馬である。2001年に、NHKマイルカップとジャパンカップダートで優勝した。現在は種牡馬。
馬名は、江戸時代末期に浦賀沖に来航した、マシュー・ペリー率いるアメリカ艦隊に代表される欧米列強の蒸気船の通称(黒船)に由来する。これには、2001年から東京優駿(日本ダービー)が外国産馬に開放されるという背景があった。しかし、名前とは裏腹に同馬は芦毛である。デビュー時からかなり白っぽい馬体であった。
目次 |
[編集] 戦績
初戦の2000年10月14日の新馬戦はエイシンスペンサーの2着に敗れたが、2戦目の新馬戦、続く3戦目の500万下条件のエリカ賞をレコードタイムで勝つ。続くラジオたんぱ杯3歳ステークスではアグネスタキオン・ジャングルポケットといった内国産の評判馬を押さえて単勝1.4倍の1番人気に推されたが、その2頭に及ばず3着に敗れた。
年が明けて初戦の毎日杯では、2着のコイントスに5馬身の差をつけて勝利。NHKマイルカップでは、単勝1.2倍の圧倒的1番人気に推され、最後方から逃げるグラスエイコウオーを1/2馬身差でかわして初GI勝利。しかし大目標の東京優駿(日本ダービー)では、ジャングルポケットに次ぐ2番人気に推されながら5着に敗れた。
その後、夏場の休養を経て神戸新聞杯に出走するも、エアエミネムの3着。さらに、予定していた天皇賞(秋)にはアグネスデジタルが急遽、出走登録したため、当時の外国産馬出走規定で除外対象となり、出走できなくなるという憂き目を見る。そのため、天皇賞と同じ週の土曜のメインレースである武蔵野ステークスに出走することとなった。松田調教師はこの時の経緯について「せっかく仕上げたのに走らせないのはもったいないから」と語っている。この件に関しては競馬ファンの間で様々な議論があり、アグネスデジタル陣営に対して「アグネスの出走を辞退しろ、そしてクロフネを走らせろ」などの声も上がった。しかし、アグネスデジタルが当時圧倒的な強さを誇っていた1番人気のテイエムオペラオーを破って優勝したことで、「クロフネ陣営も天皇賞に出走できなくなった件については納得しているだろう」という見方もあった。
ダート競走初戦となったその武蔵野ステークスでは、ダート1600mの日本レコード1分33秒3を記録して、2着のイーグルカフェに9馬身差の勝利。続くジャパンカップダートでも、ダート2100mの世界レコード2分5秒9のタイムで、前年度の同競走の優勝馬ウイングアローに7馬身差(同馬の走破タイムの2分7秒0は前年の自己レコードタイムより速い)をつけ圧勝した。その圧倒的な強さから「日本にはクロフネという名の、白いセクレタリアトがいる」とまで言われた。これはクロフネが記録したジャパンカップダートのタイムのペースで2400mを走れば、伝説の「セクレタリアトのベルモントステークス」のタイムに迫るものがあると言われるためだった。ドバイワールドカップ等の、海外ダートGIでの活躍が期待されたが、同年12月26日、右前浅屈腱炎のため引退、種牡馬入りすることとなった。ダートでの圧勝劇から2001年のJRA賞で最優秀ダートホースに選出された。
[編集] 競走成績
年月日 | レース名 | オッズ | 着順 | 距離 | タイム(上り) | 着差 | 騎手 | 勝ち馬/(2着馬) | |||
2000 | 10. | 14 | 京都 | 2歳新馬 | 6.9(3人) | 2着 | 1600(良) | 1:35.7(34.2) | クビ | 松永幹夫 | エイシンスペンサー |
10. | 28 | 京都 | 2歳新馬 | 1.3(1人) | 1着 | 2000(良) | R2:00.7(34.8) | 2馬身 | 松永幹夫 | (マイネルエスケープ) | |
12. | 3 | 阪神 | エリカ賞 | 1.3(1人) | 1着 | 2000(良) | R2:01.2(35.1) | 3 1/2 | 松永幹夫 | (ダイイチダンヒル) | |
12. | 23 | 阪神 | ラジオたんぱ杯3歳S(GIII) | 1.4(1人) | 3着 | 2000(良) | 2:01.4(34.8) | 3 3/4 | 松永幹夫 | アグネスタキオン | |
2001 | 3. | 24 | 阪神 | 毎日杯(GIII) | 1.3(1人) | 1着 | 2000(良) | 1:58.6(34.5) | 5馬身 | 四位洋文 | (コイントス) |
5. | 6 | 東京 | NHKマイルC(GI) | 1.2(1人) | 1着 | 1600(良) | 1:33.0(34.3) | 1/2 | 武豊 | (グラスエイコウオー) | |
5. | 27 | 東京 | 東京優駿(GI) | 3.0(2人) | 5着 | 2400(重) | 2:27.9(36.7) | 6馬身 | 武豊 | ジャングルポケット | |
9. | 23 | 京都 | 神戸新聞杯(GII) | 4.4(2人) | 3着 | 2000(良) | 1:59.6(34.2) | 1/2 | 蛯名正義 | エアエミネム | |
10. | 27 | 東京 | 武蔵野S(GIII) | 2.3(1人) | 1着 | ダ1600(良) | R1:33.3(35.6) | 9馬身 | 武豊 | (イーグルカフェ) | |
11. | 24 | 東京 | ジャパンCダート(GI) | 1.7(1人) | 1着 | ダ2100(良) | R2:05.9(35.8) | 7馬身 | 武豊 | (ウイングアロー) |
[編集] 引退後
引退後は社台ファームにて種牡馬入り。種牡馬としては初年度の種付け時に性器に異常を起こして種付けを中断するなどのアクシデントがあったが、産駒は早くから地方競馬・中央競馬両方で勝ち上がりを見せており、フサイチリシャールが東京スポーツ杯2歳ステークスでJRA重賞初勝利を挙げ、その後朝日杯フューチュリティーステークスにも勝利し、初年度からGI優勝馬を輩出するなど好調な出だしとなった。
[編集] 主な産駒
2003年生まれ
- フサイチリシャール : 朝日杯フューチュリティーステークス、阪神カップ、東京スポーツ杯2歳ステークス
- シェルズレイ : ローズステークス2着、チューリップ賞2着
- フラムドパシオン : UAEダービー3着、ヒヤシンスステークス
- プラチナローズ:福島2歳ステークス
[編集] 血統
[編集] 血統背景
父フレンチデピュティ、母ブルーアヴェニューは共に、2001年に日本に輸入されたが、これは同馬の活躍によるところが大であった。兄弟の主な活躍馬として、全妹のBella Bellucciがアメリカで重賞を2勝している。また、Northern Dancerの父系からなる同馬は一般的にノーザンダンサー系と呼ばれるが、その発展・細分化に伴い、デピュティミニスター系と呼ばれることもある。
当馬の全弟になる2006年2月11日に生まれた当歳馬の牡馬が同年7月11日に行われたセレクトセールの2日目(当歳馬初日)に上場番号215番で上場され、3億円でダーレー・ジャパン・レーシングに落札された。
[編集] 血統表
クロフネの血統 (ノーザンダンサー系)/Nearctic5.5×5.4=15.63) | |||
父
*フレンチデピュティ French Deputy 1992 栗毛 アメリカ |
Deputy Minister 1979 黒鹿毛 アメリカ |
Vice Regent | Northern Dancer |
Victoria Regina | |||
Mint Copy | Bunty's Flight | ||
Shakney | |||
Mitterand 1981 鹿毛 |
Hold Your Peace | Speak John | |
Blue Moon | |||
Laredo Lass | Bold Ruler | ||
Fortunate Isle | |||
母
*ブルーアヴェニュー Blue Avenue 1990 芦毛 アメリカ |
Classic Go Go 1978 鹿毛 |
Pago Pago | Matrice |
Pompilia | |||
Classic Perfection | Never Bend | ||
Mira Femme | |||
Eliza Blue 1983 芦毛 |
Icecapade | Nearctic | |
Shenanigans | |||
*コレラ Corella | Roberto | ||
Catania F-No.2-r |
カテゴリ: 1998年生 (競走馬) | サラブレッド | アメリカ合衆国生産の競走馬 | 日本調教の競走馬