クリフジ
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1943年10月3日阪神競馬場 |
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性別 | 牝 |
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毛色 | 栗毛 |
品種 | サラブレッド |
生誕 | 1940年3月15日 |
死没 | 1964年9月10日 |
父 | トウルヌソル |
母 | 賢藤 |
生産 | 下総御料牧場 |
生国 | 日本(千葉県成田市) |
馬主 | 栗林友二 |
調教師 | 尾形藤吉(東京) |
競走成績 | 11戦11勝 |
獲得賞金 | 7万3200円 |
クリフジ(繁殖名年藤)は、戦前を代表する競走馬で、1984年に顕彰馬に選出された。また、馬主は栗林友二氏(栗林商船会長)で、子息の英雄氏も1990年代に当代きってのステイヤーとして活躍したライスシャワーのオーナーであるため、同じ勝負服である。
産まれたときに付けられた名は繁殖名と同じく「年藤」だった。2歳(旧3歳)のときセリに出され、そのセリにいた栗林友二が「顔を見た時、これはいい馬だと思った」と4万円で落札した。これは当時の東京優駿競走の1着賞金が1万円だったことを考えると、相当高額であったことがわかる。尾形厩舎に入厩する際、「クリフジ」と命名されデビューを目指していたが、脚元に不安があったため仕上がりが遅れ、1943年4月11日の横濱農林省賞典4歳呼馬には間に合わなかった。結局デビューしたのは5月16日の新呼馬競走であった。
その後は東京優駿競走(6馬身)、阪神優駿牝馬(10馬身)、京都農商省賞典4歳呼馬(大差)を勝ち変則クラシック三冠を達成した。ほかに横浜記念(10馬身)の勝鞍があり、出走した11戦全勝でしかもそのうち7戦が着差10馬身以上といったすさまじい成績であった。しかも、東京優駿競走はスタートで大きく出遅れて(鞍上の前田が体勢を立て直そうとして横に向けたときにスタートが切られてしまった)この結果というから驚きである。このとき鞍上の前田はゴール前で他馬の脚音が全く聞こえなくなったので、何かあったのではないかと気になり、何度も後ろを振り返った。デビュー戦を除けばクリフジに最も迫ったのは1歳上の菊花賞優勝馬でシンザンの母の父にあたるハヤタケの3馬身差であり殆どの馬はクリフジの影すら踏めなかった。他に比較的著名な馬との対戦はヒロサクラ(京都農商省賞典4歳呼馬でクリフジの大差2着)などがいる。ちなみに着差の最低はデビュー戦の1馬身だった。1944年、横浜記念を勝ったクリフジはちょうど3週間後の(春の)帝室御賞典に出走する予定だった。しかし、輸送の際に風邪を引き、現地に着いたら熱を出してしまい、回避せざるを得なくなってしまった。クリフジはそのまま引退、結果的に横浜記念が最後のレースとなってしまった。なお、この帝室御賞典を勝ったのは前述のヒロサクラである。
引退後も繁殖牝馬として活躍し、1964年に老衰により死亡、24歳であった。牝系子孫は現在も残っており函館3歳ステークスでナリタブライアン(6着)より先着(2着)したサムソンビッグ、安田記念とスワンステークスを制覇したシモフサホマレが代表格。
主戦騎手の前田長吉は20歳にしてクラシックを取った天才騎手で、他に中山4歳牝馬特別等に勝っている。その後徴兵され戦地に行くことになり、戦後はシベリアに抑留され強制労働により死亡した。戦争の混乱期にごく短期間競馬界に身を置いたため、その人物像の詳細の多くは謎に包まれていた。「競馬の神様」と呼ばれた故・大川慶次郎は生前、前田騎手の縁故者を探し続けたがついに見つかることはなかった。しかし、その後に前田の遺族である親族が今でも生家に住んでいることが分かり、また、シベリアでは前田の遺骨も発見され、遺骨は2006年7月に親族(甥)のもとへ帰された。
ある雑誌の企画で「日本競馬史上最強馬は?」というアンケートが競馬関係者に対して行われた。関係者からはシンザンやシンボリルドルフなど蒼々たる名馬が挙げられる中で、当のシンボリルドルフを管理していた野平祐二調教師は、迷わずクリフジの名を挙げていた。
目次 |
[編集] 競走成績
1943年(8戦8勝)
- 東京優駿競走、阪神優駿牝馬、京都農商省賞典4歳呼馬
1944年(3戦3勝)
- 横浜記念
[編集] 産駒
- ヤマイチ(繁殖名:朝藤) 桜花賞、優駿牝馬、史上初のオークス母仔制覇を達成
- イチジョウ クモハタ記念
- ホマレモン 金杯(東)
[編集] 兄弟
- リヨウゴク(全兄) 帝室御賞典(東京)、阪神記念、各古馬特ハン
- ハツピーマイト(全兄) 帝室御賞典(秋)
[編集] 血統表
クリフジの血統 (ゲインズバラ系)/4代内アウトブリード) | |||
父
*トウルヌソル Tournesol 1922 鹿毛 |
Gainsborough 1915 鹿毛 |
Bayardo | Bay Ronald |
Galicia | |||
Rosedrop | St.Frusquin | ||
Rosaline | |||
Soliste 1910 |
Prince William | Bill of Portland | |
La Vierge | |||
Sees | Chesterfield | ||
La Goulue | |||
母
賢藤 1926 栗毛 |
*チャペルブラムプトン Chapel Brampton 1912 栗毛 |
Beppo | Marco |
Pitti | |||
Mesquite | Sainfoin | ||
St.Silave | |||
種光 1919 栗毛 |
*ラシカッター Rushcutter |
Persimmon | |
Curtstone | |||
第二アストニシメント | *インタグリオー | ||
*アストニシメント F-No.7-c |
日本の三冠馬 |
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牡馬 |
セントライト | シンザン | ミスターシービー |
牝馬 |
クリフジ(変則) | メジロラモーヌ | スティルインラブ |
日本中央競馬会・顕彰馬 |
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クモハタ | セントライト | クリフジ | トキツカゼ | トサミドリ | トキノミノル | メイヂヒカリ | ハクチカラ | セイユウ | コダマ | シンザン | スピードシンボリ | タケシバオー | グランドマーチス | ハイセイコー | トウショウボーイ | テンポイント | マルゼンスキー | ミスターシービー | シンボリルドルフ | メジロラモーヌ | オグリキャップ | メジロマックイーン | トウカイテイオー | ナリタブライアン | タイキシャトル | テイエムオペラオー |