オルガ・モロゾワ

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オルガ・モロゾワ（Olga Morozova, Ольга Васильевна Морозова,外国人名の日本語表記に即したより正確な読みは、オーリガ・マローゾワ 1949年 2月22日 - ）は、旧ソ連（現在はロシア）・モスクワ出身の元女子テニス選手。旧ソ連において、テニス競技の草分けに大きく貢献した名選手である。1974年の全仏オープンとウィンブルドンの2大会連続で、4大大会に準優勝した。モロゾワの経歴を通じて「ソビエト連邦出身のテニス選手として史上初」の業績は多い。現役生活でシングルス20勝、ダブルス10勝を挙げた。

1965年のウィンブルドン女子ジュニア部門に16歳で優勝。1968年に、ソ連出身の選手として初のウィンブルドン・混合ダブルス部門の決勝に進出する。1969年に「モスクワ国際選手権」で初優勝。1970年にはソ連国内のトーナメントで5勝したほかに「ヨーロッパ・アマチュア選手権」でも初優勝。この大会では1971年に2連覇を達成している。モロゾワは徐々にソ連国外にも活動を広げ、1972年の「イタリアン・オープン」で初めて女子テニスツアー大会の決勝に進出した。同年の全米オープンで、モロゾワは4大大会に初出場を果たす。この時の2回戦で日本の沢松和子を 6-4, 6-4 で破ったが、準々決勝でクリス・エバートに 6-3, 3-6, 6-7 の逆転で敗れた。これがモロゾワとエバートの初対戦で、現役生活で「13戦全敗」の厚い壁にぶつかることになる。2回戦は“草分け選手”どうしの対戦だったが、この対戦カードは1度だけだった。

1974年、オルガ・モロゾワはソ連出身の選手として初の4大大会決勝進出の偉業を成し遂げる。それも全仏オープンとウィンブルドンの2大会連続であったが、どちらもクリス・エバートにストレートで敗れて準優勝になった。（スコア：全仏オープン決勝は 1-6, 2-6 / ウィンブルドン決勝は 0-6, 4-6）モロゾワの公式なシングルス・キャリアは1977年で終わっているが、これは当時のテニス・トーナメント数が（現在に比べて）少なかったことに加えて、ソ連を取り巻く情勢の悪化のため、同年の冬には女子プロテニスツアーへの出場が不可能になったためでもある。モロゾワはまた、女子国別対抗戦・フェドカップ（当時の名称は「フェデレーション・カップ」）にソ連代表選手が出場する道も開いた。

モロゾワはテニス・コーチのビクトル・ルベノフ（Victor Rubenov）と結婚し、モスクワ市内に「スパルタクラブ」というスポーツ選手育成クラブを創設した。このクラブから多くの選手が育ち、アンナ・クルニコワ、アナスタシア・ミスキナ、エレナ・デメンティエワ、マラト・サフィンなどが世界へ巣立った。2004年の全仏オープン女子シングルス決勝で、ミスキナとデメンティエワによるテニス史上初の「ロシア対決」が実現し、ミスキナがロシア出身の女子テニス選手として最初の4大大会優勝者に輝き、モロゾワが30年前に果たせなかった夢を実現させた。