エレクトロニック・スポーツ
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エレクトロニック・スポーツ(Electronic sports)は、複数のプレイヤーで対戦されるコンピュータゲーム、ビデオゲームをスポーツ競技として捉える際の名称。実際はeスポーツ(e-Sports)と省略した形で使われることのほうが多い。
主にファーストパーソン・シューティングゲーム、リアルタイムストラテジー、スポーツゲームを使用して競い合う。世界的な規模の大会も存在し、アマチュアからプロフェッショナルまで競技が行われている。
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[編集] eスポーツをプレイする
[編集] インターネット経由でのプレイ
eスポーツをプレイするためのもっとも簡単な方法はインターネットを経由することである。厳密に勝敗を決するにはチート行為に対処する方法や、ネットワーク遅延の問題はあるものの、娯楽、あるいは練習のためにこの簡便な方法は良く使われる。
参加者(あるいはクランと呼ばれる集まり)は連絡手段が必要となる。IRCはクラン、リーグ、その他のゲームに関連した集まりごとにチャンネルを作成することができ、簡単にそれを見つけることが出来るため良く使用されている。en:Quakenetは元々ファーストパーソンシューティングゲームQuakeのオンラインプレイのために作成されたが現在では他のゲームのためにも使用されており、現在ではもっとも大きなIRCネットワークとなっている。そこから各チームのサーバでそれぞれのルールに従って競技が行われる。
著名なオンラインeスポーツリーグには en:Cyberathlete Amateur League, en:CyberEvolution, ClanBase, en:Electronic Sports League が存在する。
[編集] ローカルエリアネットワークでのプレイ
ローカルエリアネットワーク(LAN)上でのプレイには「インターネット経由よりもより良い状態でゲームをプレイできる」「同じ建物内の狭い環境なら見知らぬ人のチート行為が行いにくい(特にプロフェッショナルなプレイが行われるイベントでは公正なプレイのために管理者が置かれる)」といった長所が存在する。そしてそれは同時に社交的交流の場ともなり、大規模な競技会ではLANパーティー、LANセンターといった集まりが組織される。
[編集] プロフェッショナルeスポーツ
[編集] プロフェッショナルeスポーツの歴史
プロフェッショナルイベントとしてのeスポーツは1997年に最初の競技会が行われたあと急速に発展していった。この年の5月に'Red Annihilation'と題した競技会が行われ、Quakeの副クリエイターであるジョン・カーマックが所有していた'フェラーリ 328GTS convertible'を競技会の優勝者に贈呈すると約束した。同年6月、en:Angel Munozがコンピュータゲーマーのための最初のプロフェッショナルリーグ「Cyberathlete Professional League(CPL)」を立ち上げた。
それ以来、参加者と会場のサイズは規模を拡大し、優勝決定戦になると多数の観戦者がインターネット越しに観戦するようになった。同時に勝者への賞金も膨大な物になり、2005年のCPLでは総計現金150万米ドルに達している。
CPLはeスポーツの開拓者としての精神を保ちながら、2005年にはワールドツアー方式に移行、2005年のツアーではペインキラーの一対一のデスマッチに焦点を当て、これに100万米ドルの賞金を当てた。CPLのグランドフィナーレイべントでは、Johnathan "Fatal1ty" Wendelがeスポーツ史上最高賞金額となる15万米ドルを獲得した。
プロフェッショナルeスポーツの競技会として広く認められている物には、Cyberathlete Professional League、World Series of Video Games、World Cyber Games、World e-Sports Games、Electronic Sports World Cupが存在する。これらの大会で用意される賞金は大きなコンピュータ技術系企業がスポンサーとして提供しているものが多い。またこれらの企業は同時に多くのeスポーツチームのスポンサーも行っており、大会への旅費、その会社の製品の提供などを賄っている。現在では主流新聞などもこういったイベントの記事を掲載することが普通になっている。
[編集] プロチームとプレイヤーの間の契約
eスポーツにおいて、旧来の社交的なゲームプレイヤーの組織としてのクランだったものが、フットボールチームに近いプロフェッショナル選手の組織として成長している例も存在する。プレイヤーとスポンサーの契約を扱いプレイヤーにとってその契約を容易にすることで、eスポーツとそのファンにとって存在意義が生まれている。多くのクラブが多くのゲームのための複数のチームとプレイヤーの契約を扱い、チャンスと名声を上げる仲介をしている。また彼らによりプレーヤーは管理事務から解き放たれ、ゲームのプレイに集中することが出来るのである。
2003年2月1日、SK GamingがFPSのプレイヤーとクランを結びつける最初のクラブとなった。契約条件などは明らかにされていないが、インタビューでは給与製であり、給与額は多くはないもののプレイヤーは賞金を分配して受け取ることができる。
また、SK Gamingは契約についてもう一つの先例を作っている。2003年5月19日、SK Gaming所属のノルウェーのプレイヤー Ola "elemeNt-" Moum をライバルチームであるFPS最古のチームの一つである"NoA"に移籍させ、契約金を受け取ったのである。
この移籍契約の後、多くのクラブがゲームプレイ関連商品や衣類等のグッズ販売を開始した。業界の急速な発展はクラブの収入源となり、世界中の競技会にチームが送り込まれることになった。
[編集] 主なeスポーツのタイトル
伝統的に、各競技会はそれぞれのジャンルごとに特定のゲームを採用している。これらの採用されるゲームは年度ごとに変更される事が多い。eスポーツの競技として過去に採用された主なゲームは以下のような物がある。
[編集] 2006
- カウンターストライク - チーム戦術 FPS (5vs5, PC)
- Quake 4 - デスマッチ FPS (1vs1, PC)
- Warcraft III: The Frozen Throne - リアルタイムストラテジー (1vs1, PC)
- FIFA 06 - サッカーゲーム (1vs1, PC)
- Project Gotham Racing 3 - レーシングゲーム (1vs1, Xbox 360)
- Dead or Alive 4 - 格闘ゲーム (1vs1, Xbox 360)
[編集] 2005
- カウンターストライク - チーム戦術FPS (5vs5, PC)
- ペインキラー - デスマッチFPS (1vs1, PC)
- Warcraft III: The Frozen Throne - リアルタイムストラテジー(1vs1, PC)
- FIFA Football 2005 - サッカーゲーム (1vs1, PC)
- Need for Speed: Underground 2 - レーシングゲーム (1vs1, PC)
- Dead or Alive Ultimate - 格闘ゲーム (1vs1, Xbox)
[編集] 2004
- カウンターストライク - チーム戦術FPS (5vs5, PC)
- Unreal Tournament 2004 - デスマッチFPS (1vs1, PC)
- Warcraft III: The Frozen Throne - リアルタイムストラテジー (1vs1, PC)
- FIFA Football 2004 - サッカーゲーム (1vs1, PC)
- Project Gotham Racing 2 - レーシングゲーム (1vs1, Xbox)