エリーザベト・シュヴァルツコップ
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エリーザベト・シュヴァルツコップ(Olga Maria Elisabeth Frederike Schwarzkopf , 1915年12月9日 - 2006年8月3日)ドイツのソプラノ歌手で、ドイツのオペラと歌曲における優れた歌唱で知られる。シュワルツコップ、シュヴァルツコプフとも書かれる。湾岸戦争の米中央軍司令官ノーマン・シュワルツコフ陸軍大将は、彼女の甥。
プロイセン(現ポーランド)の、現在ロック・フェスティヴァルで有名なヤロチン(Jarotschin, 現Jarocin)で生まれ、ベルリン音楽大学で学んだ。最初はコントラルトであったが、後に歌手で名教師のマリア・イヴォーギュンに師事し、ソプラノに転向した。1938年、ベルリン・ドイツオペラで『パルジファル』の花の乙女を歌い、デビューした。1943年にウィーン国立歌劇場と契約し、コロラトゥーラ・ソプラノとして活躍を始めた。
第二次大戦後、後に夫君となるHMV/EMI/英コロムビアレコードの名プロデューサーウォルター・レッグと出会った。彼は『セビリアの理髪師』のロジーナを歌うエリーザベトを聴き、即座にレコード録音の契約を申し出た。しかし、当時から完全主義者だった彼女がきちんとオーディションをするよう望むと、レッグは厳しいオーディションを行った。フーゴー・ヴォルフのキャラクター・ピース『誰がお前を呼んだのか』(Wer rief dich denn? : 『イタリア歌曲集』中の一曲)を繰り返し様々な表情で歌わせるというもので、これを1時間以上も続けたという。居合わせた指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンはあまりの執拗さに、レッグに対し「あなたは余りにもサディスティックだ。」と言い置いて立ち去った。しかし、シュヴァルツコップはレッグの要求以上の才能を見せ、2人はその夜EMIへの専属録音契約を交わした。それ以来レッグは彼女のマネージャーと音楽上のパートナーを勤め、1953年に2人は結婚した。
当時カール・ベームにも認められ、ブロントヒェン(『後宮からの誘拐』)やツェルビネッタ(『ナクソス島のアリアドネ』)などハイ・ソプラノの役を歌っていたが、レッグの勧めもあって、次第にリリックなレパートリー、すなわちアガーテ(『魔弾の射手』)や伯爵夫人(『フィガロの結婚』)などに移行していった。
彼女はバイロイト音楽祭やザルツブルク音楽祭にも出演し、カラヤンやフルトヴェングラーともしばしば共演した。1947年にはイギリスのコヴェントガーデン王立歌劇場に、1948年にはミラノ・スカラ座に、1964年にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場にデビューし、そのほか各地の歌劇場で歌い、あるいは歌曲のリサイタルを行った。 1952年には元帥夫人(『ばらの騎士』)をスカラ座で、カラヤンの指揮で歌い大成功とおさめた。以来、この役は彼女を代表する役柄として知られるようになった。
彼女は歌曲においても、その完璧なテクニックと、並外れて知性的な分析力で極めて優れた演奏を行った。モーツァルトやシューベルトでは、分析的過ぎて人工的になるという批判をする人もいたが、彼らもその演奏が並みの水準ではないことは認めた上での批評であることが多かった。シューマンやR.シュトラウス、マーラー、そして特にヴォルフでは殆どすべて高い評価を受けている。
完全主義者らしく他人を誉める事も少ないが、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウを「神のような存在」、白井光子とハルトムート・ヘルのリート・デュオを「世界最高の音楽家夫婦」と賛辞を送っている。また、ソプラノ歌手の小濱妙美は、彼女が才能を認め、絶賛した愛弟子である。
彼女は1976年に歌劇場での現役を退くとともに、歌曲リサイタル(1979年引退)と後進の指導に力をいれた。1992年、イギリス女王エリザベス2世は、彼女にDBE(Dame Commander of the Most Excellent Order of the British Empire)の称号(ナイト爵に相当し、女性に与えられる)を授与した。
2006年8月3日オーストリア西部のフォアアルルベルク州シュルンスの自宅で死去。死因は不明。90歳だった。
目次 |
[編集] シュヴァルツコップの代表的なレパートリー
[編集] オペラ
- モーツァルト : 『フィガロの結婚』の伯爵夫人、『ドン・ジョヴァンニ』のエルヴィーラ、『コジ・ファン・トゥッテ』のフィオルディリージ
- ヴェルディ : 『ファルスタッフ』のフォード夫人
- R.シュトラウス『ばらの騎士』の元帥夫人、『カプリッチョ』の伯爵夫人
[編集] 歌曲
(作曲者名のみ)
など
[編集] 参考文献
- 『レッグ&シュヴァルツコップ回想録 レコードうら・おもて』(原題 : On and Off the Records )シュヴァルツコップ著、河村錠一郎訳、1986年 音楽の友社 ISB4-276-20352-X C1073 \2800E 他