ウクライナ国海軍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
ウクライナ国海軍(ウクライナ語:Український державний військoвий флoтウクライィーンスィクィイ・デルジャーヴヌィイ・ヴィイスィコーヴィイ・フロート)は1918年にドイツ帝国の軍事力を背景に建設されたウクライナ国(1918年4月29日 - 同年12月14日)の海軍である。
目次 |
[編集] 成立と終焉
ウクライナ国海軍は、ウクライナ国に先立つウクライナ国民共和国海軍艦隊を受け継ぐ形で建設された。1918年4月30日にドイツ帝国軍がセヴァストーポリをボリシェヴィキーから奪回すると、同地を根拠地としていた旧ロシア帝国の黒海艦隊の艦艇の大部分を赤軍より手中に収めた。これらの艦艇はウクライナ国海軍に編入されたが、実質的にはドイツ帝国海軍地中海艦隊に組み込まれていた。とはいえ、これらの艦艇の上には史上初のウクライナ海軍旗が翻り、ウクライナ国海軍艦隊は一時強大な勢力を誇った。
その後も同軍は赤軍などから艦艇を奪取するなどしてその勢力を増していった。ウクライナ国政権はウクライナ人にたいへん評判が悪かったため、人気取りの一環として海軍艦艇の名称の「ウクライナ化」を実行することとなり、9月17日、まず初めに砲艦クバーニェツ(Kубанец:ロシアのクバン・コサックのこと)がザポロージェツィ(Запoрoжець:ウクライナのザポロージエ・シーチのコサックのこと)に改称された。
しかしながら、同年12月にドイツ軍が本国の敗戦によりウクライナから撤退すると、実質的唯一の後ろ盾を失ったウクライナ国の元首パーヴェル・ペトローヴィチ・スコロパーツキイは亡命、ウクライナ国は遙かに装備に優れ戦術的にも勝るウクライナ民族主義者シモン・ヴァシーリエヴィチ・ペトリューラ率いるドィレクトーリヤ軍を前にして一夜にして崩壊、一方黒海にあったウクライナ国艦隊はイギリス・フランス連合の反革命干渉軍に接収された。それらの艦艇は一時イギリス海軍に編入されたが、のちに多くは南ロシア軍)に引き渡された。
[編集] 主な艦艇
※ロシア語に沿った表記、但し一部ウクライナ語。
[編集] 弩級戦艦
- ヴォーリャ(旧アリェクサーンドル・トリェーチイ、のちギェニェラール・アリェクスィェーイェフ)
- スヴォボードナ・ロスィーヤ(旧イェカチェリーナ・フトラーヤ、旧イムピェラトリーツァ・イェカチェリーナ・ヴィェリーカヤ)
- デモクラーチヤ(旧イムピェラートル・ニコラーイ・ピェールヴィイ)
- セヴァストーポリ
[編集] 前弩級戦艦
- ボレーツィ・ザ・スヴォボードゥ(旧クニャースィ・ポチョームキン＝タヴリーチェスキイ、旧パンチェリェーイモン)
- チェスマー
- スィノープ
- ヘオールヒイ・ポビドノーセツィ
- エフスターフィイ
- イオアーン・ズラトウースト
- ロスチスラーフ
- ドヴィェナーッツァチ・アポーストロフ(ブロークシフ№8(第8号繋留廃艦)として使用中))
- トリー・スヴャチーチェリャ
[編集] 巡洋艦
- パーミヤチ・メルクーリヤ(旧カグール、ウクライナ国における改称後ヘーチマン・イヴァーン・マゼーパ、のちコミンチェールン)
- オチャーキウ(旧カグール、のちギェニェラール・コルニーロフ)
- プルート(旧オスマン帝国海軍アブデュル・メジド)
- イムペラートル・トラヤーン
- アルマーズ
[編集] その他
駆逐艦、水雷艇、潜水艦、機雷敷設艦、砲艦、河川用砲艦、掃海艇、曳船など多数
