掃海艇
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掃海艇（そうかいてい）は、機雷を排除し、海域の安全を図るのを任務とする軍艦である。大型のものを掃海艦(Mine Sweeper Ocean)、小型のものを掃海艇(Mine Sweeper Coastal)と呼称することが多いが、厳密な区分基準がある訳ではない。
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[編集] 機雷の排除
掃海艇が機雷を排除する方法には、掃海具を曳航して機雷を処分する機雷掃海と、機雷探知機により機雷を捜索し、発見した機雷を処分する機雷掃討の二つの方法が有る。 このため、掃海艇は船体後部に機雷排除用の装備を各種搭載している。そのため、戦後旧大日本帝國海軍掃海部隊は、日米両軍の敷設した機雷除去のために残され、海上自衛隊の掃海部隊に引き継がれ、海上自衛隊の掃海技術はトップクラスといわれている。特別掃海隊の話は有名である。
[編集] 機雷掃海
機雷掃海用には係維機雷を掃海するための係維掃海具、感応機雷を掃海するための感応掃海具が有る。
- 係維掃海具は曳航する掃海具に取付けられた機械式もしくは火薬作動式のカッターにより係維機雷の係維索を切断するのに用いる。浮上した機雷は遼艇が機関砲などにより銃撃処分するほか、ヘリコプターから水中処分員（EOD）が降下し爆薬を設置して爆破処分することもある。
- 感応掃海具には、磁気掃海具と音響掃海具がある。前者は曳航した電線に電流を流すことで海中に磁界を発生させる装置で、これにより磁気機雷を作動させて処分する。後者はを発音体とその曳航装置からなり、発音体が発する船舶様の音波で音響機雷を作動させ処分する。
- 水圧機雷を効率的に掃海できる掃海具は未だ研究中である。
[編集] 機雷掃討
機雷掃討は掃海が困難な水圧機雷が出現した事により考案された。これは機雷探知機により捜索し、探知及び類別が行われて機雷と判断されるた場合には、処分用の爆雷もしくはカッターを目標の機雷に設置し、時限式もしくは掃海艇からのコマンド信号により作動させる処分方法である。初期には爆雷の設置を、掃海艇の誘導のもとディンギーと呼ばれる小型艇で行っていたが、ディンギーの乗員にとっては危険な作業だった。そこで現在は爆雷およびカッターの設置は自律形水中ロボットによって行われている。
[編集] 機雷探知機
機雷探知機は超音波により水中の機雷の捜索･種類の類別を行う装置である。目標の捜索および類別のために、異なるいくつかの周波数帯を使用する。小さな機雷の探知には高い周波数帯を使うが、そのぶん有効捜索距離は短くなる。探知機は当初は船体に装備または曳航されていたが、機雷が対潜水艦用に深深度化すると水面からは探知が困難となり、探知機を任意の深度に吊り下げ曳航するVDS方式が用いられるようになった。ホーミング機雷など危害範囲が格段に広い機雷が出現するようになると、探知機は船の前に出すことが必要になった。このため、近時は探知機に推進装置を付けたPVDS方式に移行しようとしている。
このPVDS方式の探知機に爆雷、カッターを装備した物も現れたが、そのような多機能化した処分具は非常に高価で、そのような処分具を目標とし攻撃できる機雷も出現したため問題となった。そこで、PVDS方式の探知機を出来るだけ簡略化し運用される方向にある。このため自走爆雷という一種の使い捨ての処分具も出現しておりドイツのSea-Foxが有名である。
[編集] 掃海艇の特殊性
掃海艇は機雷に接近しても機雷が作動しないよう工夫がされている。昔から掃海艇は係維式の触発機雷に触雷しないように喫水が浅くなっている。また、喫水が浅いため航行する事により発生する水圧変化が小さく、これが水圧機雷に対して有効な対抗手段となっている。
船が持つ磁気に反応する磁気機雷対策のために、掃海艇の船体は磁気を帯びない素材で作られるようになっている。船体の形状にもよるが、木や強化プラスチックなどが主に使われており、木材に強化プラスチックのコーティングを施すなどして、両方を組み合わせることもある。日本の海上自衛隊が装備する掃海艇の船体は木製である。ドイツは非磁性鋼を、それ以外のヨーロッパ諸国はFRP製であり、アメリカは木材にFRPのコーティングを施している。また、船体磁気を打ち消すため各種磁界に即した消磁コイルを装備している。最近では、軽くそして強度のあるカーボン製の船体が注目集めている。
音響機雷への対策としては主機、発電機等を防振ゴムの上に載せたり、天井から吊り下げた特殊な架台に載せたりして外部へ振動が伝わらないよう留意されている。
[編集] 艇内編成
海上自衛隊の掃海艇の艇内の編成は、「自衛艦の艦内の編制等に関する訓令」（昭和47年海上自衛隊訓令第17号）及び「自衛艦の艦内の編制等の細部に関する達」（昭和47年海上自衛隊達第32号）により、次の通りとなっている。幹部自衛官は、艇長・船務長・掃海長・処分士（水中処分員が乗り組んでいる艇に限る。）・機関長の5名が配属される。補給長は船務長（誰が兼務しても良い）が兼務しているのが、一般的であり、専門的業務は隊司令部に所属している隊補給が行っている。船体消磁については、電機員が担当しており、この関係で船務長ではなく機関科（長）が担当している。また、潜水は処分士が総括しており、処分士は掃海科に配置されている。このように下記の訓令などとは、かなりの相違があることに注意されたい。
- 艇長
- 船務科
- 掃海科
- 掃海、敷設、水中処分、射撃、照射、運用、発射及び水測に関することを所掌する。
- 機関科
- 主機関、補機、電気、応急、工作及び潜水に関することを所掌する。
- 補給科
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 航路啓開史編纂会『日本の掃海－航路啓開五十年の歩み』図書刊行会、1992年。ISBN 4336033579
