ウィリアム・ウォルトン
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サー・ウィリアム・ターナー・ウォルトン(Sir William Turner Walton,1902年3月29日-1983年3月8日)はイギリスの作曲家。ベンジャミン・ブリテン、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズと並ぶ20世紀のイギリス音楽を代表する存在である。
アンセルメやブゾーニの助言を受けたとされるが、ほぼ独学で作曲家となった。長寿に恵まれたにもかかわらず、作品数は必ずしも多くない。しかしながら、シベリウス、ストラヴィンスキーやプロコフィエフ、ヒンデミットやブリテンらの作品のほか、ジャズやラテン音楽など、同時代のさまざまな音楽をたくみに吸収・消化し、新鮮かつ大胆なリズム・和声を用いて表情豊かで親しみのある作品を生み出した。豊かな情感と壮大で雄渾多感な表現を好んだこと、明晰な調性感を好んだことから、新ロマン主義の作曲家とみなしうるが、客観的で端正な表現をよしとする、新古典主義音楽の発想にも洗礼を受けている。
目次 |
[編集] 略歴
- 1902年、ランカシャー州オールダムに生まれる。
- 1912年、10歳でオックスフォード聖歌隊学校に入学。
- 1916年、オックスフォード大学クライスト・チャーチ校に入学。在学中にサシェヴァレル・シットウェルやシグフリート・サッスーンと知り合い、親友となる。
- 1920年、退学してシットウェルの家に住み込み、作曲に専念する。
- 1922年、サシェヴァレルの姉イーディス・シットウェルの詩に基づく『ファサード』で成功を収める。『ファサード』は後にバレエ作品にもなる。
- 1923年、国際現代音楽協会ザルツブルク大会において、『弦楽四重奏曲』(後のイ短調作品とは別)が初演され、アルバン・ベルクに称賛される。
- 1929年、『ヴィオラ協奏曲』完成。
- 1931年、カンタータ『ベルシャザールの饗宴』完成。
- 1934年、最初の映画音楽『逃げちゃ嫌よ』。以後手がけた映画作品は14作にのぼる。
- 1935年、交響曲第1番(1932-)を完成。
- 1937年、ジョージ6世のために戴冠行進曲『王冠』を作曲。
- 1939年、『ヴァイオリン協奏曲』完成。
- 1944年、映画『ヘンリィ五世』の音楽を作曲。
- 1948年、イタリア・ナポリ湾に望むイスキア島に移る。
- 1951年、ナイトに叙せられる。
- 1953年、エリザベス2世のために戴冠行進曲『宝珠と王杖』、『テ・デウム』作曲。
- 1960年、交響曲第2番初演。
- 1969年、最後の映画音楽『三人姉妹』作曲。
- 1983年、自宅で死去。
[編集] 主な作品
[編集] 舞台作品
[編集] 管弦楽作品
- 交響曲第1番変ロ短調
- 交響曲第2番
- 交響曲第3番(未完成)
- 序曲『ポーツマス岬』(ポーツマス・ポイント)
- 『ファサード』第1組曲、第2組曲
- 喜劇的序曲『スカピーノ』
- 前奏曲とフーガ『スピットファイア』 (映画音楽からの改作)
- 戴冠式行進曲『王冠』 (ジョージ6世の戴冠式のために作曲)
- 戴冠式行進曲『宝珠と王杖』 (エリザベス2世の戴冠式のために作曲)
- 『ヘンリィ五世』から弦楽のための2つの小品 (映画音楽からの改作)
- ヨハネスブルク祝典序曲
- パルティータ
- ヒンデミットの主題による変奏曲
- ヴァリイ・カプリッチ (「5つのバガテル」をオーケストラ編曲)
- ベンジャミン・ブリテンの即興曲によるインプロヴィゼーション(ベンジャミン・ブリテンのピアノ協奏曲の第2楽章のテーマに基づく変奏曲)
- 序奏と幻想曲
- シエスタ
- 行進曲「英語国民の歴史」
[編集] 協奏曲
[編集] 室内楽作品
- 『ファサード』
- 『ファサード2』
- 弦楽四重奏曲 イ短調
- ピアノ四重奏曲
- ヴァイオリン・ソナタ
- 5つのバガテル(ギター独奏)
[編集] 合唱作品
- オラトリオ『ベルシャザールの饗宴』
- 『ロンドン市の栄光を称えて』
- テ・デウム
- グローリア
[編集] 映画音楽
[編集] シェイクスピア3部作
ローレンス・オリヴィエの制作・監督・主演による3作は映画史上も傑作とされる。音楽も、ウォルトン自身(上述)やミュア・マシーソン、クリストファー・パーマーなどによって演奏会用に編曲されている。
[編集] その他
- 『逃げチャ嫌よ』(Escape Me Never) 1935年
- 『御気に召すまま』(As You Like It) 1936年
- 『バーバラ少佐(メジャー・バーバラ)』(Major Barbara) 1941年
- 『スピットファイア』(The First of the Few / Spitfire) 1942年
- 『空軍大戦略』(Battle of Britain) 1969年
- コリン・マシューズ編による組曲あり。
- 『三人姉妹』(Three Sisters) 1970年
- テーマに「ラ・マルセイエーズ」を引用
- 『ウォー・タイム・スケッチブック(戦時のスケッチブック)』
- ウォルトンが第二次大戦中に作曲した、上記以外の映画3作の音楽、および『空軍大戦略』に作曲しながら採用されなかった音楽をクリストファー・パーマーが編曲した組曲。パーマーは、この他にも、ウォルトンの映画音楽の組曲版制作をいくつも手がけている。