アホロートル
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アホロートル | |||||||||||||||||||||||||||
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アホロートル |
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Ambystoma mexicanum (Shaw et Nodder, 1798) |
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||
メキシコサラマンダー/ メキシコサンショウウオ |
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英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Axolotl |
一般に言うアホロートル(Axolotl)とは、両生綱イモリ目(有尾目)イモリ亜目アンビストマ(マルクチサラマンダー、トラフサンショウウオ)科マルクチサラマンダー属の一種。和名はメキシコサラマンダーあるいはメキシコサンショウウオ。アルビノ個体は特にウーパールーパーとも呼ばれるが種を表す正しい名称ではない。アホロートル(Axolotl)とは、本来アンビストマ科の幼形成熟個体の総称。
目次 |
[編集] 特徴
18~24ヶ月かけて成熟し、全長は150~450mmだが平均は230mmで300mmを越えるものは稀である。左右三つずつのシダの葉状になった鰓を持つ。色は野生型とされる褐色(ワイルド)の個体から白色(ホワイト)や黄色(ゴールド)のアルビノ、灰色(マーブル)や黒(ブラック)までもみられる。白い体で黒い目のリューシスティック(Leucistic)のアホロートルはすべてフランスパリのジャルダン・デ・プラントの一匹の変異体の雄に由来し、野生のものは滅多に白くない。実験動物やペットとして一般的なアルビノは1950年代にアメリカで野生のタイガーサラマンダー(トラフサンショウウオ)のアルビノとの掛け合わせで生まれたものである。今日、野生のアホロートルを売買の目的で捕獲することはで禁じられており、国際的な取引はワシントン条約(サイテス)で制限されているため、ペットのアホロートルのほとんどは同じ祖先を持っている。
野生のものはメキシコ中央部のソチミルコ湖やチャルコ湖に生息しておりメキシコシティーの成長に伴い食用として乱獲され、個体数が減少し絶滅危惧種となってしまった。
再生能力が非常に強く、脳の一部分を再生した例もある。前方から見ると、丸顔で小さな目、ぽかんと口を開け、えらが顔の両側にはみ出した姿が愛らしく、短い手足をばたつかせながら水中を溺れるドンくさい様子が印象的である。日本には、1980年代半ばに、アルビノのものがウーパールーパーの名称でマスコミを通じて広く紹介され、一躍有名になった。
[編集] 幼形成熟
幼形成熟(ネオテニー)の形態をとる種として知られる。一般に、イモリ目(有尾目)の幼生は、頚部の両側にえらがはみ出した「外鰓(がいさい)」をもち、水中でえら呼吸で生活する。その後、成体になるときに変態し、外鰓が消失して肺呼吸を行うようになる。しかし、メキシコサラマンダーを含むマルクチサラマンダー (Ambystoma) 属では、変態をしないまま成体になる個体(幼生型)が少なくない。幼形成熟型の成体は、性成熟しても、えらが消失せずえら呼吸をし続ける。これらの種では、肺呼吸をする成体型に変態する個体は通常まれにしか現れない。近年メキシコサラマンダーを変態させるコツが解明され、水位を下げると比較的簡単に変態することがわかった。
この幼形成熟はアホロートルの寿命を延ばす要因となっており、彼らの寿命は平均10~15年(パリの個体に25年の記録がある)だが、変態する場合はその寿命は5年程で、再生能力も減退する、というようなことも言われていたが、変態する個体が多くなると、寿命に関してはそう変わらないと言われている。
[編集] 飼育に関して
肉食性で小さな虫や魚を餌食としている。飼育下では魚の身やミミズも食べるが、牛肉などの哺乳類の肉は消化が悪いためあまり薦められない。孵化直後の幼生へはブラインシュリンプを与え、成長とともににミジンコやイトミミズ、アカムシなどを与える。嗅覚で餌を察知して本能で食いつき飲み込んでしまうためより小さな他の動物とは一緒に飼う事はできない。また、魚がアホロートルの眠っている間に鰓(エラ)を齧ってしまうと感染症になることがある。
飼育する時は水温17~18℃が望ましく、14℃以下では代謝が遅くなる。しかし病気の治療には10℃が最適で野生環境では冬季は6~7℃まで水温は下がる。20℃以上の高温は野生の環境にはなく、ストレスを与え、食欲を増進させる。実験動物として累代飼育されてきたこともあり、市販されているものは状態がよければ、水温20℃~25℃でも飼育できるとされている。しかし本来は、比較的冷涼で清浄な水中に生息する動物であるので、なるべく低めの水温をこころがけたほうが長期飼育できる。
ストレスを与えないためには小さな砂利は誤飲して腸内にガスを溜めるので避け、隠れ場所を与える必要がある。夜行性なので光は必要ない。アホロートルは殆どを水の底で過し、水面へ浮き上がるのはストレスや病気の徴候である。
[編集] 名前の由来
アホロートルは、ナワトル語のアショロトル(Axolotl)のスペイン語読みで、本来マルクチサラマンダー属全般の幼生型の個体の呼び名であるが、欧米や日本に紹介されたときに、その代表種メキシコサラマンダーを主に指すようになった。
ナワトル語ではアトル(atl)が水、ショロトル(xolotl)が犬を意味する。また、この動物はアステカ神話の死の神ショロトルの化身であると考えられておりショロトルは神々へ生贄になる事を要求する太陽の神トナティウから逃れるために水へと逃げ込んだものと伝えられている。
アメリカ合衆国でアホロートルといえば、通常メキシコサラマンダーを指し、英語表記のウオータードッグは北アメリカに広く生息する、同属のタイガーサラマンダー(トラフサンショウウオ、学名:Ambystoma tigrinum )の幼生を指す。
ウーパールーパーは商標名で、日本人のプロデューサーの四季折々によるものであったとされる。当初は「スーパールーパー」という名で登録しようとしていたが、頭にスーパーの付く商標は多いので早く登録されるようSをWに替えたものである。アホロートルという名前で売り出さなかったのは「アホのロートル」と言われるのを避ける為だとされている。名前が『クイズダービー』の三択問題になっているが、誤答としての他の選択肢は「オジンパー」「バカジーサン」と言う物があったことからもうかがう事はできる。現在、ウーパールーパーで登録されている商標は平成13年(2001)7月4日出願のものが1件あるのみである。指定商品は文具類、衣類、玩具類のみであり、メキシコサラマンダーそのものを指す商標ではない。
[編集] アホロートルを題材とした作品
[編集] 歌
- Wuper Dancing(パピ)
- 日清食品のカップ焼きそばUFOのCMソング。ウーパールーパーがUFOにのってやってきた宇宙人という設定の歌。
- あるぴの(たま)
- Afternoon With the Axolotls(ハム) - 1997年のアルバム"Downward is Heavenward"に収録。
[編集] 小説
- 『山椒魚』(原題:Axolotl)フリオ・コルターサルの短編小説
[編集] コンピューターゲーム
[編集] アニメ
- タイムパトロール隊オタスケマン - 第45話「オタスケマンは大泥棒」(1980年11月29日放送)のオジャママンメカ(世界の珍獣メカ)がアホロートルをモデルにしている。勿論ウーパールーパーなる言葉ができる前のことである。