アクタ共和国
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アクタ共和国とは、NHKの人形劇、『プリンプリン物語』に登場するルチ将軍が統治する架空の独裁国家である。首都はアクタラバード。「世界で一番優れた民族」といって憚らない国歌とともに、同作品で最も印象の強い国家として名をとどめている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
かつては同名の王国だったが、ルチ将軍が15年前に軍事クーデターで政権を奪取し、命令への絶対服従、デモやストライキの禁止、密告の奨励、手紙の検閲などを憲法で謳い上げる(最後の条項は一部のエピソードでしか確認できない)全体主義体制を敷いていた。
「アクタ共和国」の名称はプリンプリン物語放映当時にアウグスト・ピノチェト将軍の下に軍事独裁体制をとっていたチリ共和国にちなんでいると思われるが(塵芥の「ちり」に対して「あくた」)、物語の設定はナチス・ドイツを元にしていると思われ、軍人の「ガチョウ足行進」やルチ将軍がチャップリンの『独裁者』のように地球儀と戯れるシーン、彼の腹心の軍人「ヘムラー」なる人物名など、そのパロディーも随所に見られる。
ジプシーの兄弟(実は旧王室の生き残り)が抵抗運動をするなど、中欧・東欧風の設定も見られる。ただし、首都名(アクタラバード)には西・南アジア風にペルシア語の接尾辞が付いている。
空き缶を所構わず捨てる国民性がある(ハードなテーマばかりでは硬くなるのでユーモアを交えたのだろうか?)。
反面、子供にも選挙権・被選挙権を認めるなど一見民主的な一面もある(プリンプリンはその選挙に立候補)。しかしその選挙は「投票しない」ことが「ルチ将軍を信任した」ことを意味する(彼以外の候補者に投票したものは死刑になる)という一方的なものであった。
『プリンプリン物語』のアクタ共和国編のマスターテープは上書きのため失われており、同編は現在、スタッフが保管していたVTRより復元された分をNHKアーカイブスに於いて見ることができるのみである。
[編集] ルチ将軍
ルチ将軍(るちしょうぐん)はアクタ共和国の独裁者。 巨大な頭部(サルバドール・ダリの絵からヒントを得たものか?)が特徴で、知能指数1300の頭脳を持つ。またこの頭部は銃弾をも跳ね返す。好物は「アクタラジュース」という缶ジュースで、部下とともにことあるごとにこのジュースで乾杯をし、空き缶をぽい捨てする、というのがお決まりの行動である。
その独特な声色(声優は神谷明)による「知能指数は1300!」というフレーズが当時の子供たちの間で人気を博した。
正体は隕石として宇宙から飛来した頭部だけの生命体であり、王家の墓に納められていたのが墓守の体を乗っ取って人間に成りすましたものであった。