め組の大吾
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『め組の大吾』(めぐみのだいご)は、消防士の活動をテーマにした『闘う人間』の物語。作者は曽田正人。1995年から1999年にかけて漫画雑誌『週刊少年サンデー』で連載された。連載時の正式タイトルは『め組の大吾 火事場のバカヤロー』。1999年夏に「おかげサマー!日本全国サンデー祭り!!」において『め組の大吾 火事場のバカヤロー』のタイトルのアニメ映画として上映された後、東京都内の劇場でも公開された。2004年フジテレビでドラマ化。ドラマについてはFIRE BOYS ~め組の大吾~を参照。
『東京レスキュー』『特救GO!』等、以前から数あった消防士漫画がドラマ化された、初の例である。
- 第42回(平成8年度)小学館漫画賞受賞。
- 1998年、第2回文化庁メディア芸術祭マンガ部門 優秀賞 受賞。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
幼い頃に巻き込まれた火災で消防士に助けられた朝比奈大吾は、自らも消防士になる事を目指し、見事採用試験に合格。神奈川県消防学校での研修を経て、地元の千国市消防局めだかヶ浜出張所に配属される。ところが大吾が配属されためだかヶ浜は、めったに火事が起きず出動もほとんど無い平和な地域。それゆえに隊員たちの覇気も薄く「め」でたい「め組」と揶揄される問題児チームだった。若く血気盛んな大吾は、その現状に我慢ができず、ストレスを溜める毎日を過ごすことになる。ところが、度重なる出動を経験することで、大吾は自らの所属するチームが問題児の集まりどころか、最高のプロフェッショナル・チームである事を思い知る。そして、出動を重ねていき大吾自身も災害の恐怖と闘いながら成長していく。一方で度重なる都市の乱開発により、めだかヶ浜も変わりつつあった。変わる都市。変わる自然。人間が作り上げた街が人間に牙を向き住民を襲う。そんな中で大吾は、時に問題児扱いされながらも持てる力を駆使して災害に巻き込まれた人々を救っていく事になる。
[編集] 主な登場人物
[編集] 消防関係者
- 朝比奈大吾(あさひな だいご)
- 主人公。幼い頃に自宅の火事で死にかけた際、消防官に助けられ自身も目指す事に。
- 高校生の頃は悪ガキでケンカばかりしていた(後にこの時期のことを自己嫌悪している)が、当時新任だった落合先生の進路指導により幼き日の目標を思い出し、見事消防官となる。
- 危機に瀕した命を発見する常人離れした勘と、常識外のアイデアで要救助者の元へ向かう行動力を持つ。要救助者を助けるためなら手段を選ばなかったり、命令違反、持場放棄も厭わない事から、たびたび問題を巻き起こす。しかし人命救助に対する情熱と実績は本物で(描写されている限りでは)死者を1人も出していない。中央署めだかヶ浜出張所所属。後にハイパーレスキュー所属。「世界最高のレスキュー隊員」と称されるほどのレスキュー隊員になる。落合先生と結婚し、萌という娘も生まれ親バカと化してもいる。
- 甘粕士郎(あまかす しろう)
- 大吾の消防学校時代の同期。東署鯨台出張所所属。成績優秀で努力家であるがイヤミな性格で大吾に度々つっかかり、口げんかを繰り広げるが、実際はいいライバルのようである。茶髪で何故かレンズの入っていない伊達メガネをかけている。視力は両眼ともに2.0。物語が進むたびに車を所有していたり、彼女がいたりする(本編の大筋に関係ないからか、名前も顔も判明せず)ことが判明したりもする。大吾のライバルだが、理解者でもあり後にハイパーレスキュー所属(消防士長・副隊長)大吾と甘粕で「2人のA(エース)」と呼ばれている。
- 五味俊介(ごみ しゅんすけ)
- めだかヶ浜出張所所長。階級は消防司令。競馬が趣味で仕事中競馬新聞を読みながらラジオを聞いている。帽子を常に被っているが、これは15年前に重症をおった際の火傷を隠すためである。幼い頃の大吾救った。好物は甘いものでタイヤキが特に好き。被っている帽子『GLOBE』は防火服などのメーカー名。最終巻で消防局長に就任。
- 植木(うえき)
- めだかヶ浜出張所副所長。五味所長とは長い付き合いの様である。規律に厳しく、大吾をよく説教するも、温かい目で見守っている。階級は消防司令補。
- 大野(おおの)
- 大吾のよき先輩。機関員。レスキュー試験を受けるところを見ると比較的若手(神田よりは年下の描写をされている)のようである。ピカピカに磨いた愛車であるポンプ車(ポンピー)を大吾に破壊されることもあり、謹慎にされることもあった。
- 平一馬(たいら かずま)
- 関西弁を話す大吾の一年先輩。優れた消火技術を持つ。自称『筒先の芸術家(アーティスト)』。中央署ポンプ車小隊員。始めは、め組には補充要員として来ていた。大吾のことを『ボン』と呼ぶ。
- 忍足ミキ(おしたり みき)
- 千石市消防局本部警防部救急救助課救助係消防司令補。通称『マザーコンピューター』。積極的防災を進める。幼い頃、病院火災で五味に救助されるも、その火災で母を失う。最終巻では消防司令長。
- 近藤純(こんどう じゅん)
- 大吾の高校時代の後輩。大吾のことが好きで度々め組に顔を出す。大吾をめぐって落合先生を敵視する。大吾に惹かれ自身も消防官を目指す。後に見事消防官になり、忍足にも認められる存在に。「マザーコンピューター2代目」と囁かれている。しかし大吾への恋は報われることはなかった・・・。
- 神田恵(かんだ けい)
- 臨港署特別救助隊(レスキュー)副隊長。階級は消防士長。優れた救助能力を持ち『千石のエース』の異名を持つ。熱血漢。五味所長を尊敬している。最終巻ではハイパーレスキュー隊長・消防司令補。
- バンジャル(ばんじゃる)
- インドネシア・ランプンの消防官。山火事を憎み、大吾達からインパルスを強奪しようとするが、大吾達と協力することになる。
[編集] その他
- 落合静香(おちあい しずか)
- 大吾の高校時代の担任。毎日ケンカに明け暮れていた大吾に消防官の夢を思い出させ、その道に進む事を決意させる。何事にも動じない穏やかな性格だが、大吾の事では感情的になることも。口癖は『あらー』。理科教師で幼い頃から昆虫に興味を持ち、大吾の生き方に影響を受け小さい頃からの夢である昆虫の学者を目指す事に。趣味はクワガタ採り。徐々に大吾が気になる様子が描かれ、後に大吾と結婚。萌という娘も生まれる。作中では大吾と食事の約束、もしくは会うたびに(主に大吾が)災害に巻き込まれ、反故になっている。
- 朝比奈萌(あさひな もえ)
- 大吾と落合先生の娘。大吾がベタ惚れで、まだ生後7ヶ月にも関わらず、嫁には出さないと決められている。観衆の大歓声にも動じない肝の据わった赤ん坊。
- ジル(じる)
- 大吾の愛犬。大吾の初めての要救助者。大吾が幼い頃に拾われた。普段はほとんど寝ている。
- 丘野(おかの)
- 陽光新聞社千石支局消防番の記者。始めは、大吾の無茶な救出方法に怒りを覚え、敵視するも、自身も大吾に救出され、大吾の才能に気付く。
[編集] 作中の災害
- 千石市立病院火災
- 15年前に起きた大規模火災。五味や植木も出場している。幼い頃の忍足がこの病院に入院しており被災者となるが、五味に救助される。五味の出場したこの火災は、千石市消防局の職員の間では『伝説の出場』と語り継がれる。
- えび谷温泉熱泉寺火災
- 15年前に五味の休暇先で起こった。五味のバケツリレー指示により、奇跡的に全焼を防いだ。
- 民家のガス漏れ
- 大吾の初出場した現場。この民家の主人がガス中毒による自殺未遂を起こしたが、大吾の手により救出。
- めだかヶ浜高校火災
- 高校の文化祭前に起こった火災。本来鉄筋コンクリートで出来ている校舎は延焼しないのだが、文化祭の飾りが燃え草となり炎上。保健の先生が保健室に取り残されるも、大吾が発見、救出する。
- あけぼの町連続放火事件
- 空き地の雑草などに放火される事件が相次ぐ。幸い初期消火が迅速になされたため、被害者は無し。五味所長の機転により、犯人は出頭する事に。
- 乗用車追突事故
- 高架道路上で起こった追突事故。前方の車がガードレールを突き破りあわや転落の危機に陥る。偶然事故現場に居合わせた大吾が機転を利かし転落を遅らせ、惨事を防いだ。なお、記念すべき大吾と落合先生のデートは第1回目から反故になってしまう。
- 煮干野木造アパート火災
- 無人と思われていた建物内に、野宿者がいた。大吾の勘によって発見される。
- 千石川異常増水
- 千石川の軌道が変えられた事と、大雨によって、川が異常増水した。川に流された少女を助けるため、甘粕が川に飛び込み流される。それを見た大吾が甘粕を助けるため飛び込む。大吾の機転により二人とも無事に救助された。
- 商店街アーケード火災
- 蕎麦屋大黒庵でおきた布団の小火が原因で、商店街のアーケードに火が燃え移った。要救助者二名無事に救出される。
- ナカジマビルトラ侵入
- 動物園から逃げ出した虎が捕獲され保健所に収容されるも、逃げ出し、深夜のナカジマビルに侵入する。大吾との応戦の末、屋上に閉じ込められた後、捕獲された。ここでこの日の2日後に約束していた大吾と落合先生の食事の約束は再びご破算。
- 東条マート火災爆発事故
- 地下二階の火元から空調ダクトを通じ煙がビル中に蔓延した。五階に近藤純を含む七名が取り残された。大吾が要救助者を落ち着かせ、はしご車で救助活動を続けるが、ある『異変』に気付いた大吾が、突然要救助者を、地上の安全マットに向け投げ落とし始める。最後の一人を抱え大吾が落下した直後、ビル五階が突然爆発。幸い死者、重傷者0名で収まったが、その常識外れの大吾の行動はその場にいた人々の目に深く焼きつくことになった。なお、大吾はこの時謹慎処分を受けている。
- ホテル火災
- 慰安旅行に来た、め組の宿泊先のホテルで起きた火災。ホテル内が無計画に増築されたいたため、大吾と丘野を含む宿泊客の避難が遅れた。大吾の機転により、隣に新築されたホテル別館に渡り全員助かった。大吾は肩を脱臼。
- 昆布山火災
- 市民会館前大ホール火災
- スーパー駐車場内車両炎上火災
- 千石市国際空港工事現場爆発事故
- インドネシア・スマトラ島南部山林火災
- 北海道トンネル火災
- ワルシャワビル倒壊事故
- グルシア地震
- NYマンハッタン地下鉄崩落事故
[編集] アニメ映画『め組の大吾 火事場のバカヤロー』
『め組の大吾 火事場のバカヤロー』は1999年夏に「おかげサマー!日本全国サンデー祭り!!」において『からくりの君』(藤田和日郎作の読切漫画が原作、後の連載漫画『からくりサーカス』の原型)と同時上映されたアニメ映画。その後、この二つは東京都内の劇場でも公開された。2000年1月22日よりこのアニメ映画が新宿ピカデリー3にて東宝の配給で土日モーニングショー公開された。
[編集] キャスト
- 朝比奈大吾・・・高木渉
- 落合先生・・・井上喜久子
- 五味所長・・・屋良有作
- 甘粕史郎・・・一条和矢
- 植木・・・堀部隆一
- 丘野・・・内田直哉
- 猪俣・・・巻島直樹
- 大野・・・石塚運昇
- 山岸・・・菅原淳一
- 白石隊長・・・花田光
- 大吾の母・・・園田恵子
- カメラマン・・・千葉一伸
- 要救助者・・・麻丘夏未
- 女子高生・・・小池亜希子
- 無線の声・・・小上裕通、横尾博之
- オペレーター・・・矢薙直樹
[編集] スタッフ
- 監督・・・西澤晋
- 脚本・・・稲荷昭彦
- 音楽・・・浜口史郎
[編集] 主題歌
- エンディング「Red Darkness」(作詞:佐藤ありす、西澤晋 作曲・編曲:工藤隆 歌:きただにひろし)
- イメージソング
- 「それぞれの朝」(作詞:渡辺なつみ 作曲・編曲:岩崎文紀 歌:井上喜久子)
[編集] テレビドラマ『FIRE BOYS ~め組の大吾~』
ドラマ版についてはFIRE BOYS ~め組の大吾~を参照のこと。
[編集] こぼれ話
作者曽田正人はモータースポーツ愛好家として知られ、2003年よりレース漫画『Capeta』を執筆中であるが、本作の人物設定においてもレース関連からの引用が見られる。顕著なのはめだかヶ浜出張所所長の五味俊介で、容姿や出動中の事故で大火傷を負った経歴はF1ドライバーニキ・ラウダをモデルにしたもの。ラウダも頭部の火傷跡を隠すため常に帽子を被っている(現役時代のスポンサーパルマラット社のロゴ入りを愛用していた)。
他にも、大吾の愛犬ジルの名前をF1ドライバージル・ヴィルヌーヴから採り、子犬のジャックも息子のジャック・ヴィルヌーヴに合わせている。また、救急隊の運転手として日本人ドライバー影山正彦(または影山正美)似のキャラクターも登場した。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- フジテレビのドラマ版の公式サイトは閉鎖
- WikiDrama