きちがい
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
きちがい(気違い、気狂いとも表記する)とは、本来は端的に精神状態が著しく常軌を逸した人間、または常軌を逸した犯罪行為等を行う人間を表現するにあたり用いられる俗語である。気が違うとも表現する。「ガイキチ」「キ印」とも言う。
転じて統合失調症患者や精神障害者に対して侮蔑的な意味を持って使われるようになる。
[編集] 概要
回復治療期に、テレビ・ラジオでこの語を聞いた精神障害者がショックを受けることにより、治癒を妨げる恐れが指摘されたことから、指摘を受けた関西の民放テレビ局が使用の自粛を呼びかけた。このため、現在ではほとんどの放送局で放送禁止用語(放送自粛用語)に分類している。一般社会においても差別用語とされる。
しかし、『気』という言葉の意味は日本語的に広い解釈があり(たとえば『病気』『気が弱い』等)、『気』という物の概念の広さから、他の人と違う考えを持っている、あるいは若干ずれた考えを持っているという意味も含むという本来の趣旨とかけ離れ、単に世間から見て異常な行動を取る人物、または社会的に容認されない行動、もしくはその人物そのものを指す意味に(悪意的あるいは過剰的に)理解された事情もあり、この言葉を用いる事にマスコミ・報道関係が過剰に反応するのはナンセンスであるという意見や、単なる言葉狩りという意見もある。
また、趣味などに常識を超えて没頭する人のことを「○○キチ」と表現し、現在ではこれらも望ましくない表現とされている。「釣りキチ」「碁キチ」「雀キチ」「パチキチ」「トラキチ」など。参照: マニア
俳句の世界には『季ちがい』という言葉があり、季節外れの題材或いは季語を用いた際に用いられる。この言葉ではマスコミ・出版物では『季節違い』『季語違い』と言い直されている。
[編集] その他
- インターネット掲示板の「2ちゃんねる」においては、「基地外」や「キティ・ガイ(略してキティ)」などの表現が用いられている。2ちゃんねる用語参照。
- 日本語入力システムによっては、単語登録されていないなどで、初期設定では「気違い」「キチガイ」などと変換しないようにされている。そのため「基地外」と変換され、これが上記のように2ちゃんねる用語化している。
- ジャン=リュック・ゴダールの名作『気狂いピエロ』は、テレビではフランス語タイトルの『ピエロ・ル・フ』で放映されることが多い。こういったメディアの過剰反応に対しては、単なる言葉狩りではないかという批判的な意見もある。