VoIP
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Voice over Internet Protocol(VoIP : ボイップ)とは、音声を各種符号化方式で圧縮しパケットに変換した上でIP(Internet Protocol:インターネットプロトコル)ネットワークでリアルタイム伝送する技術である。Voice over Frame Relay (VoRF)・Voice over ATM (VoA)などと同じVoice over Packet Network(VoPN)の一種。
この項では「VoIP」の技術とIP電話の網構成を記述する。その余については#関連項目も参照のこと。
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[編集] VoPNの概要および経緯
VoPNは、データ通信網と伝送路や交換設備を共用することを目的としてはじめられた。
VoRFは、X.25よりも遅延が少ないフレームリレーを使用するものである。IP加入者網が無かった時代に内線電話として普及したが、IP網の価格の低下と速度の向上、提供地域の拡大により撤去が進んだ。
VoAは、従来の電話網で必要となる電話交換機をパケット通信とリアルタイム通信とを多重化するために開発されたATM交換機に置き換えるものである。高価で有資格者による保守を必要とするものであり、電気通信事業者の携帯電話・固定電話などの公衆交換電話網で使用されているものがほとんどである。
VoIPは、1990年代後半より、インターネット電話と呼ばれる、スピーカー・マイクロフォンまたは、ヘッドセットを接続したパソコンにソフトウェアをインストールする方式で利用されていたが、使い勝手が悪く、遅延・エコー・欠落などにより音質も従来の電話より劣るものであった。
2000年代より、ADSL・FTTH・広域イーサネットといった常時接続・高速・定額制のIP加入者回線が普及し、Resource reSerVation ProtocolなどのQoS機能で音質が改善された。また、専用機器の開発に伴い一般の電話と同じ操作・機能となり、公衆網への発信が可能になり、電話番号の割り当てにより公衆網などからの着信が可能となった。
また、無線LAN上でのVoIPに関する技術を特にVoWLAN(Voice over Wireless LAN)と言うこともある。
[編集] 技術
音声信号の圧縮符号化方式には、通常0.3~3.4kHz帯域のものが用いられるが、0.05~7kHz帯域のものも使用される。多数チャネルが必要な場合は音声が一定のレベル以下のときにパケットを送出しない無音圧縮の手法が使われることもある。
リアルタイム性を重視し再送信を行わないUDPを使用して音声パケットを送り、パケット通信網の遅延時間のばらつきによるパケットの間隔や順序の乱れを吸収するため、受信側にバッファメモリが使用される。途中で破棄されたパケットは、ホワイトノイズの挿入などで補正される。
バッファ補正の遅延時間の影響で、みなし音声方式の場合ファクシミリなどのモデムやDTMFを使用した通信がうまくいかない場合がある。そのため、デジタルデータのパケットとしてファクシミリを送るための専用プロトコルであるT.38対応のゲートウェイを使用することもある。
[編集] VoIP専用機器
通信プロトコルとして、SIP(Session Initiation Protocol)のものとH.323のもの、IPv4のものとIPv6のものとがある。網として統一されていないと、多数のゲートウェイが必要となる。
2005年現在、新規導入ではSIPが多い。
[編集] VoIP網制御装置
IPアドレスと電話番号の相互変換・通信帯域管理・輻輳処理・課金・プレゼンス管理などの付加機能などを行う機器。SIPではSIPサーバ、H.323の場合ゲートキーパーと呼ぶ。また、汎用サーバのソフトウェアとして実装されているものをソフトスイッチとも呼ぶ。
電話交換機より安価に導入でき、保守や機能拡張が容易である。
[編集] VoIPゲートウェイ
IP電話網制御装置の制御により、公衆交換電話網や他のIP電話網などの異なる網間との情報の送受信やプロトコル変換を行う機器。
- IP電話交換機
一般電話網の交換機にIP網への接続機能を追加したもの。事業者用のものと、内線用のIP-PBXと呼ばれるものとがある。VoIP網制御装置と統合されたものもある。
- IP電話アダプタ
LANなどを通してVoIPでの通話を可能にするためプロトコルやインターフェースを変換する機器。次の様な機器の接続用がある。
- アナログ電話機 : 回線数の少ないものが一般的である。家庭向け等の機種では、ADSLモデムやルーターとの一体型も多い。
- PHS : 構内PHSのバックボーンをLANに統合するために使用する。
- ISDN対応内線交換機 : ビジネスホンなどをISDNから切り替えるために使用する。S点接続のものが多いがU点のものもある。
[編集] 無線LAN VoIPコントローラー
無線LANアクセスポイント間で無線IP電話機をハンドオーバーできるように制御する機器。無線LANのセキュリティ向上機能を持つものも多い。
[編集] 無線IP電話機
無線LANに直結できる携帯型電話機。モバイルセントレックス用の端末として、期待されている。2004年現在、連続待ち受け時間などが改善されたものが登場し、また、携帯電話などとのデュアル機や、通信端末分離型(CFカード等)の端末も開発されている。
[編集] IP電話機
イーサネットに直結できる据え置き型電話機。Power over Ethernet機能のあるスイッチングハブからの給電で動作し、個別の電源アダプタが不要なものも存在する。また、スイッチングハブ機能を持ちパーソナルコンピュータとの連携機能を持つものもある。
[編集] ソフトフォン
ソフトフォンとは、パソコンのソフトウェアとして実現されたIP電話のことである。比較的安価で他ソフトとの連携機能・音声録音などの多くの機能を持ち、コールセンターなどで使用されている。無線IP電話機の携行忘れ時の代替用の導入もある。
また、USB接続のヘッドセット型で、内蔵メモリーにソフトウエアが書き込まれており、接続するだけでインストールされるものも販売されている。
[編集] 網構成方式
- 中継網のみIP網とするもの。
一般電話--一般加入者線--IP電話交換機--IP中継網--着信先
- IP化された加入者線に、IP電話アダプタを介して一般電話機を接続するもの。
一般電話機--IP電話アダプタ--IP加入者線--IP中継網--着信先
- IP電話機をIP化された加入者線に直結するもの。
IP電話機--IP加入者線--IP中継網--着信先
- 無線IP電話機を無線LANアクセスポイントを介してIP化された加入者線に直結するもの。データ通信用との併用の場合には、特に通話品質の確保に配慮した基地局やスイッチ網の構成が求められる。2005年現在、基地局を電気通信事業者が設置する移動通信サービスの提供も企画されている。
無線IP電話機--無線LAN基地局--IP加入者線--IP中継網--着信先
[編集] VoIPを活用した電話網
一般的にはIP電話との認知は無いまたは薄いが、中継網にVoIPを活用している電話サービスも以下に述べる。
2001年4月から、フュージョンコミュニケーションズが日本初の本格的な専用IP網中継電話を事業者識別コード番号0038のマイライン(優先接続方式)で営業開始した。
2005年2月には、KDDIが、内部の中継網(収容局以降)を専用IP網で構成して、メタルプラスサービスを開始した。直収電話の形態を取っている。
PHS事業者のウィルコムでは、VoIP対応交換機(ITX:Ip Transit eXchange)[1]を導入しており、VoIP網の構築がなされている。これは、音声通話およびデータ通信のトラフィックについて、内部の中継網(収容局以降)を専用IP網で構成して、従来の電話網から専用IP網(VoIP含む)に流す事により、NTT東西への接続料を削減するためであり、また音声通話定額制も可能になっている。
- アクセスポイント方式
なお、通常の電話からアクセスポイントに電話を掛けて、VoIPの中継網を通して他の電話網に着信する、特殊なサービスもある。(スーパーテレフォン、JENS ipPhone等。)
[編集] 関連項目
- IP電話 : 専用のIP加入者網を利用したもの。IP電話サービスの概要・法的位置付け・電気通信事業者など。
- インターネット電話 : インターネットを利用したもの。
- IPセントレックス : 内線電話のVoIP化、モバイルセントレックス・企業内IPセントレックス。
- プッシュ・ツー・トーク : 第三世代携帯電話のVoIPを利用した半二重音声通信サービスなど。
- D-STAR : アマチュアパケット無線のVoIP。
- Session Initiation Protocol
- H.323
- パケット通信 - フレームリレー - Asynchronous Transfer Mode
- 電話網
- VoWLAN