AGマガジン
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AGマガジンは、エンターブレインが発行していた季刊のアナログゲーム専門誌。だが、実際にはわずか2号で休刊したため、季刊誌としても成り立っているとはいいがたいものである。 定価は2号とも880円。ムック扱いだが、軌道に乗れば月刊誌として発行する予定だったらしい。
タイトルの「AG」はアナログゲームの略と思われがちだが、編集後記によると「アクティブゲーム(Active Game)」の略らしい。
- AG Magazine 2002 Summer
- 2002年8月発行。
- トレーディングカードゲームの乱立期に創刊された。トレーディングカードゲームがブームなのにも関わらず専門誌がゲームぎゃざ(とその増刊)しかなかったことに対する、隙間需要を狙ったものだと思われる。
- ライトユーザー向けに徹底したためか(あるいは先行しているゲームぎゃざとの差別化のためか)、特定ゲームの攻略情報やカードリストなど一切なく、ほとんどが有象無象のゲームの紹介記事(1ページ~4ページ)で締められている。(ただし、自社製であるMCTCG『妖精伝承』のみは多めに扱っている)。
- 製品紹介に重点をおいたこのような編集の仕方は同社のファミ通などを代表とするコンピュータゲーム雑誌を強く意識したためのようである。他にも「TCG売上ランキング」などコンピュータゲーム雑誌の定番記事のアナログゲーム版というべきものが多数あった。
- トレーディングカードゲームの「紹介用ゲームカタログ」としての完成度はそれなりに高く、マイナーなゲームであってもとりあえず紹介されていた。
- トレーディングカードゲーム専門誌ではないということは強調されていたものの、実際にはテーブルトークRPGやボードゲームの記事は総計で十数ページ程度しかなく(これも全て1、2ページの紹介記事)、実際には「TCGマガジン」と言った方が通じるような内容であった。
- 表紙はなぜか「雑誌の中身と全く関係ないキャラクターがパンチラを見せている」という不可解なものだった。
- AG Magazine 2002 Autumn
- 2002年11月発行。
- 基本的なコンセプトは創刊号と同じく「カタログ雑誌」ではあるが、記事は創刊号に比べるとかなり濃いもものになっており、ただ多くの数のゲームを同じように紹介するのでなく、自社製でないものでも特定のいくつかのゲームについては深く紹介し、逆にその他のゲームについてはよりあっさりと少数ページで紹介するという、ゲームごとの差別化が見られた。
- トレーディングカードゲーム以外のジャンルのアナログゲームをより多く扱うようになってきており、るボードゲーム『プエルトリコ』の紹介がフルカラーのルールサマリーとともに掲載されたりもした。この記事は注目され、ボードゲーム関係の記事の増強が3号以降も期待されていた。
- また3号ではテーブルトークRPGのリプレイ連載も企画されており、さらに内容をコアユーザー向けにシフトしていくことが想像されていた。
[編集] 休刊後の経緯
3号は2003年春に発売と告知されたものの、現在にいたるまで音沙汰はない。
AGマガジンの編集を担当していた株式会社アークライトは、この数ヵ月後に新紀元社から発行されたテーブルトークRPG雑誌『Role&Roll』の編集に携わることになる。
Role&Roll誌は、自社販売ゲームに限らずにさまざまなメーカーのゲームを紹介しようとしているところや、ボードゲームのレビュー記事が豊富なことなど、AGマガジンの進化系として見られることがある。
なお、3号での掲載が予告されていたアルシャードのリプレイ「オーディンの槍」は、ゲーマーズ・フィールド別冊にて収録されて後に文庫化もされた。
トレーディングカードゲームについては、ゲームぎゃざがマジック:ザ・ギャザリングの専門攻略誌の位置から、総合的にトレーディングカードゲームを扱う雑誌にシフトしたため、AGマガジンで目指されていたゲームカタログ的な需要はそちらに移っていった。