マジック:ザ・ギャザリング
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マジック:ザ・ギャザリング(Magic: The Gathering、M:tGあるいはマジックと略す)は、米ウィザーズ・オブ・ザ・コースト(Wizards of the Coast)社製のトレーディングカードゲーム。日本の販売元はタカラトミー(2004年まではホビージャパン。また、代理店として活動を始めたのは合併前のタカラ時代。)。
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[編集] 概要
1993年に発売された世界初のトレーディングカードゲームであり、このゲームによってトレーディングカードゲーム(TCG)というジャンルが生まれた。
メインデザイナーのリチャード・ガーフィールドは、このゲームを作ったヒントがボードゲームのコスミック・エンカウンターにあると話している。コスミック・エンカウンターの基本的なルールは簡潔なもので、そのままでは単調な展開にしかならない。しかし各プレイヤーはプレイ開始時点に“特殊能力”を与えられており、時には基本ルールを逸脱するような特殊ルールが適用される。これによってゲームの展開やバランスはプレイごとに大きく変化する。
マジック:ザ・ギャザリングを初めとするTCGにおいては、一定の制限内で好きなようにカードを組み合わせたデッキ(山札)を各プレイヤーが用意する。さらに、多くのカードが原則を破る特殊ルールを持っている。これにより、コスミック・エンカウンター以上に多彩かつダイナミックな展開が実現された。
このゲームは発売されてから短期間の内に驚異的な人気を得て、TRPG関連の新興零細メーカーに過ぎなかったウィザーズ・オブ・ザ・コースト社を一気に成長させた。そしてその人気に触発されて多くのメーカーが次々とTCGを発売した結果、僅か数年でTCGがゲームの一ジャンルとして確立したのである。
大会形式も確立されており、世界中でトーナメントが開かれている。中でも、プロツアーは世界中からトッププレイヤーが集結して開催され、生活をマジックに捧げてまで世界を相手に競う若者も多い。2005年世界選手権では森勝洋が優勝し、日本人初の世界王者となった。
なお、TCGを題材とする日本のホビー漫画デュエル・マスターズは、連載途中まではこのM:tGが題材であった。
[編集] 基本的な遊び方
- 対戦は多人数で可能だが、公式戦では基本的に2名のプレイヤーにより1対1で行われる。
- 双方のプレイヤーは、各々20点のライフと、ルール制限に従った60枚(もしくは40枚)以上のカードで構成されたデッキを持つ。
- 双方のプレイヤーが各々の手番(ターンと呼ぶ)を交互に実行することでゲームを進める。
- 各々のプレイヤーは、ターンの進行手順に従い自分のカードを使用し、定められた方法で(基本的には自分のターンに)相手を攻撃する。
- 攻撃を受けた際、自分の場のカードにより防ぎきれなかった攻撃は、その差分ダメージをプレイヤーのライフから減らす。
- 以上を繰り返し、ライフポイントが0になるか、山札を引けなくなったプレイヤーは、敗北となる。(カードの効果により敗北する場合もある。)
[編集] 細かいルールとジャッジ
言葉や能力の定義を厳密に定めた総合ルール(Comprehensive Rules,CR)と呼ばれるものがある。これだけで一冊の本にできるだけの情報量があるうえ、日々ルールに矛盾や問題点などがないか検討され改定され続けている。 また、そのルールの理解度や大会運営の能力に応じてレベル1~5までのジャッジ資格が設けられており、大会の規模に応じて相応のレベルを持つジャッジの監督が必要である。
なお、基本ルールはタカラトミーの日本語版公式ページ(ページ下部の外部リンク参照)で詳しく解説されている。
[編集] 発表されたシリーズ
各セットの枚数は、絵違いの同カードも異なる種類としてカウントしてある。
[編集] 基本セット
- アルファ(Alpha Edition)(1993年8月発売/全295種類)
- 世界初のトレーディングカードゲームとなったセット。6ヶ月で売る予定だった100万枚が、僅か6週間で売り切れてしまった。また他のセットと、カードの形が少し違う。
- ベータ(Beta Edition)(1993年10月発売/全302種類)
- アルファにカード7枚(入れ忘れていた2枚と、イラスト違いの基本土地5枚)を追加して発売。アルファとベータを合わせて「リミテッド・エディション」(Limited Edition)と呼ぶ。
- アンリミテッド(Unlimited Edition)(1993年11月発売/全302種類)
- 第2版とも呼ばれるが、カード表の色が一部異なるのみで、カード内容はベータと同じ。
- リバイズド(Revised Edition)(1994年4月発売/全306種類)
- 第3版。それまでに発売された拡張セットと併せて「基本」に相応しいカードのみを取捨選択、初めてカード内容の入れ替えを行った。日本に輸入され始める。
- 第4版(1995年4月発売/全378種類)
- 邦訳された最初の版。初めて日本語カードが登場。
- クロニクル(1995年9月発売/全125種類)
- 第4版の一部として発売。それまでに発売された拡張セットから、人気の高いカードを第4版に追加する形で発売された。日本で売られていなかったカードを復刻。
- 第5版(1997年3月発売/全449種類)
- 第6版:クラシック(1999年4月発売/全350種類)
- 発売時、大きくルールが変わった。特に煩雑なルールや誤解を招きやすいルールについて、大幅に簡便化された。また日本語版に限って、カード名の書体(フォント)が変更された。
- 第7版(2001年4月発売/全350種類)
- 第8版:コアセット(2003年7月発売/全357種類)
- イラストの枠が変化した。
- 第9版(2005年7月発売/全359種類)
[編集] 拡張セット
- アラビアンナイト(Arabian Nights)(1993年12月発売/全78種類)
- アンティキティ(Antiquities)(1994年3月発売/全100種類)
- レジェンド(Legends)(1994年6月発売/全310種類)
- ザ・ダーク(The Dark)(1994年8月発売/全119種類)
- フォールンエンパイア(Fallen Empires)(1994年11月発売/全187種類)
- アイスエイジ(Ice Age)(1995年6月発売/全383種類)
- 基本セットなしでも遊べる、最初の「独立型(スタンドアローン)」拡張セット。
- ホームランド(Homelands)(1995年10月発売/全140種類)
- アライアンス(Alliances)(1996年6月発売/全199種類)
- ミラージュ(Mirage)(1996年10月発売/全350種類)
- 2番目の独立型拡張セット。以降、独立型拡張セット1つ+小型拡張セット2つを、共通する1つのテーマを持つ「ブロック」とみなし、1年周期で発売する形式が確立。
- ビジョンズ(Visions)(1997年3月発売/全167種類)
- ウェザーライト(Weatherlight)(1997年6月発売/全167種類)
- テンペスト(Tempest)(1997年10月発売/全350種類)
- ストロングホールド(Stronghold)(1998年2月発売/全143種類)
- エクソダス(Exodus)(1998年6月発売/全143種類)
- ウルザズ・サーガ(Urza's Saga)(1998年10月発売/全350種類)
- ウルザズ・レガシー(Urza's Legacy)(1999年2月発売/全143種類)
- ウルザズ・デスティニー(urza's Destiny)(1999年6月発売/全143種類)
- メルカディアン・マスクス(Mercadian Masques)(1999年10月発売/全350種類)
- ネメシス(Nemesis)(2000年2月発売/全143種類)
- プロフェシー(Prophecy)(2000年6月発売/全143種類)
- インべイジョン(Invasion)(2000年10月発売/全350種類)
- プレーンシフト(Planeshift)(2001年2月発売/全143種類)
- アポカリプス(Apocalypse)(2001年6月発売/全143種類)
- オデッセイ(Odyssey)(2001年10月発売/全350種類)
- トーメント(Torment)(2002年2月発売/全143種類)
- ジャッジメント(Judgment)(2002年5月発売/全143種類)
- オンスロート(Onslaught)(2002年10月発売/全350種類)
- レギオン(Legions)(2003年2月発売/全145種類)
- スカージ(Scourge)(2003年5月発売/全143種類)
- ミラディン(Mirrodin)(2003年10月発売/全306種類)
- ダークスティール(Darksteel)(2004年2月発売/全165種類)
- フィフス・ドーン(Fifth Dawn)(2004年6月発売/全165種類)
- 神河物語(Champions of Kamigawa) (2004年10月発売/全306種類)
- 神河謀叛(Betrayers of Kamigawa) (2005年2月発売/全165種類)
- 神河救済(Saviors of Kamigawa)(2005年6月発売/全165種類)
- ラヴニカ:ギルドの都(Ravnica: City of Guilds)(2005年10月発売/全306種類)
- ギルドパクト(Guildpact)(2006年2月発売/全165種類)
- ディセンション(Dissension)(2006年5月発売/全180種類)
- コールドスナップ(Coldsnap)(2006年7月発売/全155種類)
- ホームランドに代わってアイスエイジ・ブロックのテーマ性を補完するために発売された拡張セット。
- 時のらせん (Time Spiral)(2006年10月発売/全301種類)
- タイムシフト (Time Shifted)(2006年10月発売/全121種類)(時のらせんに付属)
[編集] 入門セット
- ポータル
- ポータル・セカンドエイジ
- ポータル三国志
- スターター(Starter)
[編集] その他
- ルネッサンス(Renaissance)
- アングルード(Unglued)
- アンヒンジド(Unhinged)
- アンソロジー・ギフトボックス(Anthologies)
- バトルロイヤル・ギフトボックス(Battle Royal)
- ビートダウン・ギフトボックス(Beatdown)
- デッキマスター・ギフトボックス(Deckmasters)
- エドガー(Edger)
- (リバイズドと第4版の間にある基本セットだったが、印刷エラーが多発し、販売される事は無かった。)
[編集] 認定トーナメント・イベント
DCI(ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が設立した、Magicをはじめとするゲームの国際公式競技組織)が認定しているトーナメントを認定トーナメントと呼ぶ。主催者(コーディネイター)と参加者8名以上がいればどこでも開催可能。(事前申請が必要。)認定トーナメントの開催情報はタカラトミーの公式ページ(下記)で確認する事ができる。
以下で挙げるイベントは、日本で行われている認定トーナメントの中でも特に個別名称が付けられているイベントである。
[編集] プロフェッショナル・レベル
- プロツアー(Pro Tour、以下PT)
- 後述。日本では年に1回のペースで、過去に東京、大阪、横浜、神戸、名古屋で開催された。2007年春には再び横浜で開催される事が内定している。
- 世界選手権(Worlds)
- PTの年間最終戦であり、マジックの世界王者を決める大会。多数のフォーマットが5日間かけて行われる。1999年と2005年には日本(共に横浜)で開催された。
- インビテーショナル(Invitational)
- いわゆる招待試合。様々なカテゴリに分かれ投票し選出された16人がElectronic Entertainment Expo開催中に行う。他では見られないフォーマットを採用され、優勝者ではオリジナルカードを実際に出せる権利を得る。
[編集] エキスパート・レベル
- 国別選手権(Nationals)
- 各国で年に1回開かれる、マジックの国別王者を決める招待制トーナメント。数日(日本では前日トライアル含む4日)かけて行われる。上位4名が世界選手権の参加資格を得られ、3名が「国内代表」として世界選手権・国別対抗チーム戦に参加できる。
- 地区選手権(Regionals)
- 国別選手権の出場権をかけて行われるトーナメント。上位入賞者に国別選手権の出場権が与えられる。
- プロツアー予選(Qualifier、以下PTQ)
- PTの参加資格をかけたトーナメント。毎大会の優勝者にはPTの参加資格が与えられる。各地で開催される。
- グランプリ(Grand Prix、以下GP)
- 誰でも参加できる大規模なトーナメント。参加者は大抵200人以上を数え、過去には1600人以上を数えたこともある。賞金総額2万5,000ドル、優勝賞金2,400ドル。PTのステップも兼ねており、上位16名がPTの切符を得られる。世界各地で開催されており、日本では年4回前後開催される。
[編集] アドバンスド・レベル
- グランプリトライアル(以下、GPT)
- GPでのBye(不戦勝)をかけたトーナメント。毎大会の優勝者には該当GPでの3Byeが与えられる。なお、ByeはDCIレーティング上位やプロポイント(後述)保有者にも与えられる。
- 全国高等学校選手権
- 日本でのみ、毎年の夏に全国の予選を勝ち抜いた高校生を招待して行われる「マジックの甲子園」。3人1組のチーム戦で行われ、優勝チームには図書券15万円分相当、記念のメダル、マジック製品1年分など、さまざまな副賞が与えられる。
- The Finals(全日本構築形式最強王座決定戦)
- 年末に日本でのみ行われる招待制トーナメント。賞金総額100万円(2005年度)をかけて2日間で行われる。
- The Limits(限定戦最強王座決定戦)
- 2006年からThe Finalsの併設イベントとして行われる招待制トーナメント。賞金総額50万円。各地のショップで行う「店舗予選」システムを取り入れており、店舗予選上位者は「地区予選」の参加資格を得られ、各地区予選上位1~2名(計16名)が本戦の参加資格を得る。
[編集] スターター・レベル
- 都道府県選手権(Champs)
- 毎年10月に、日本の各都道府県や世界の各州で同日(一部翌日)に開催されるトーナメント。優勝者には記念の盾が、ベスト8には記念のプレイマットが贈られる。アメリカやフランスでは2006年から3月や6月にも開催されることとなった。
- プレリリーストーナメント
- 新製品の発売を記念して、公式発売前に製品を楽しめるイベント。全国の地区ごとに開催され、参加者には記念のプレリリースカードが配布される。縮小版として、各地のショップで開催されるプレリリースパーティ'がある。
- フライデーナイト・マジック(FNM)
- 金曜日の夜に開催される店舗内トーナメント。参加者の中で4名が特製カードが貰える。
- ジュニアトーナメント
- 中学生以下限定のトーナメント。参加賞として特製プレミアムカードがプレゼントされるほか、年に一度、ジュニア日本一を決める「ジュニア日本選手権」の予選を兼ねている。
- アリーナ・リーグ
- 初心者用の店舗内リーグ。全国のショップで開催されている。
[編集] プロツアー
マジックにおける最高峰のイベントであり、年5回、世界の主要都市を舞台に開催されている招待制トーナメント。3日間(世界選手権は5日間)かけて行われる。賞金総額24万ドル、優勝賞金4万ドル。
前回PT上位入賞者、DCIレーティング上位、プロポイント(後述)一定数以上、PTQ優勝者、GP上位入賞者など、トッププレイヤーしか参加できない。参加者には開催地までの往復航空機チケットが支給され、決勝ラウンドはネット配信で世界中に生放送されるなど、他のトーナメントとは大きくかけ離れたまさに「プロ」のイベント。
世界中からトッププレイヤーが集結し、大変な盛り上がりを見せる。会場では参加プレイヤーのために「プロラウンジ」が開設され、無料で飲食し放題、ビデオ見放題、ビリヤードし放題などの多大な優遇を受けられる。
また、大会会場では参加資格を持たないプレイヤーのためにも様々なイベントが開催される。マジックのトーナメント形体はこのPTを頂点として運営されており、多彩な魅力を合わせ持つPTに参加する事は、多くのマジックプレイヤーの憧れである。
- プロポイント
- PTでの成績により獲得できるポイント。グランプリ上位入賞などでも獲得する事ができる。
このプロポイントを一度も獲得した事がないプレイヤーを「アマチュア」とし、GPやPTQでは個別にアマチュア賞を設けている。
プレイヤーは獲得プロポイントを競い、年間で最もポイントを獲得したプレイヤーは「プレイヤー・オブ・ザ・イヤー」に選出される。
日本人では過去に津村健志が2005年に獲得している。 - プロプレイヤーズ・クラブ
- プロプレイヤーの特典。プロポイントの獲得した数に応じ6段階のレベルが設定され、国内選手権やPTの予選免除や、航空券や参加報酬、ホテルの客室が支給される。
- マスターズ
- 2年間だけ行われていたプロツアーよりも厳しい招待制のトーナメント。プロツアーと併設して行われており、32人(チーム戦は8チーム)の純粋な勝ち抜きトーナメントで行われていた。出場だけで2000ドルが貰え、優勝賞金は25000ドル。出場資格はプロポイント、レーティング上位、前の同一形式のマスターズ勝者、前の同一形式のプロツアー勝者、直前のゲートウェイ(出場資格はプロポイント7ポイント以上)の勝者2名。参加人数に対しあまりにも高額な優勝賞金や参加賞金のため、本来の目的であるプロツアーよりもこちらの方が肩入れされることが増えたため廃止され、その賞金は年間プロポイントによるボーナスを経て、現在のプロプレイヤーズクラブの優遇として還元されている。
[編集] 認定トーナメントルール
- 構築(デッキ枚数60枚以上)
- 限定 (デッキ枚数40枚以上)
(リミテッド:limited)
それぞれ、双頭巨人戦などの団体戦ルールもある。
[編集] ストーリー・ライン
カードにはゲームそのものには影響を及ぼさない、雰囲気付けのフレーバー・テキストというものが書かれていることがある。聖書やシェイクスピアなどの古典作品からの引用もあるが、大部分はオリジナルのものであり、その一行一行に物語がこめられている。
かつてはその物語をつなげて解釈するのはプレイヤーにまかされていたが、最近ではエキスパンションごとに小説が出版されている。
物語の大筋は、古典的なファンタジーと英雄譚である。
[編集] 外部リンク
- MagicTheGathering.com (英語版公式ページ)
- マジック : ザ・ギャザリング (日本語版公式ページ)
- MJMJ.info (日本語版ルールに関する準公式ページ)
- Magic: the Gathering Wiki(だれでも編集可能なウィキ形式のサイト)