1953年の日本シリーズ
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1953年のプロ野球日本シリーズは、3年連続同一カードの水原茂監督率いる読売ジャイアンツと山本一人監督率いる南海ホークスとの対決となり、10月に後楽園球場と大阪球場と甲子園球場で行われた。
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[編集] 戦評
巨人は独走状態でセ・リーグを勝ち上がり、対する南海は1位の順位が28回変わる大混戦のペナントを勝ちあがってパ・リーグを勝ち上がっての対決で、3年連続「巨人-南海」の同一カードだった。
この年、日本シリーズ終了後に行われる日米野球の影響から移動日が無いというハードなシリーズだった。(第3戦が引き分けとなったことにより、第7戦で南海が勝利して3勝3敗となった場合は、第8戦は11月にずれ込むことになっていた。)
[編集] 第1戦
大阪球場で行われた第1戦。巨人の先発は大友工、南海の先発は大神武俊。南海は島原輝夫、岡本伊三美、飯田徳治、堀井数男の連打で2点を奪った。
対する巨人は平井三郎、樋笠一夫の連打で1点差に詰め寄る。
6回裏南海は、島原、飯田の連打で1点を追加。
しかし直後の7回表、樋笠の4球から広田順のヒットで3-2とする。9回表、巨人は同点に追いついき延長戦にもつれ込む。延長12回裏南海がサヨナラ勝ち。南海が初めて1勝目を挙げた。
[編集] 第2戦
続く第2戦、巨人の先発は藤本英雄、南海の先発は中村大成。先制したのは巨人。2回表に1点を先制する。しかし、南海は筒井敬、木塚忠助のヒットで同点に追いつく。さらに6回裏には、岡本、飯田の連打で2-1と逆転。
7回表、巨人は藤本のヒットから与那嶺要の2ランホームラン、千葉茂、南村侑広のソロホームランが飛び出す。3つのホームランで巨人は4点を奪い逆転してしまう。8回裏、飯田がソロホームランを放つが既に遅し。
5-3と巨人が逆転し1勝1敗のタイに追いついた。
[編集] 第3戦
後楽園球場で行われた第3戦。巨人の先発は別所毅彦、南海の先発は中原宏。先制したのは巨人。1回裏与那嶺のヒットから南村のヒットで先制。
しかし、南海は3回表中原のソロホームランで同点に追いついた。
さらに巨人は5回裏、広田、与那嶺の連打で2-1と突き放す。
8回表、蔭山和夫のヒット、島原輝夫の2ベースヒットで同点に追いついて2-2とする。南海の先発、中原は6回途中まで巨人打線を2失点と好投し、対する別所も南海打線を抑え続けていた。
そして、9回表南海の攻撃が始まる時激しいスコールが降っていたのであった。結局『降雨コールド』で引き分けになってしまった。
[編集] 第4戦
後楽園球場で行われた第4戦。巨人の先発は大友、南海の先発は中谷信夫。
先制したのは巨人。2回裏、岩本尭のヒットで1点を奪う。5回裏も、広田のヒットから川上のタイムリーで2点を奪い3-0とリード。
一方南海は、巨人の先発・大友の前で5安打完封と7奪三振と痛い黒星に終る。
[編集] 第5戦
後楽園球場から大阪球場に移った第5戦。巨人の先発は入谷正典、南海の先発は柚木。先制は巨人。1回表に川上の2ベースで1点奪うと、4回にも1点追加し2-0とする。
8回表には、与那嶺の3塁打から南村のヒット、川上の2塁打で2点を奪って4-0。さらに9回には岩本のソロホームランで5-0と主導権を握る。
対する南海は、入谷の前に安打完封と7奪三振と痛い黒星に終ってしまい、巨人が王手をかけられた。
[編集] 第6戦
大阪球場から甲子園球場に移った第6戦。巨人の先発は藤本、南海の先発は大神。この試合は投手戦になった。後が無い南海は、大神に託すことになっての登板だった。
先制したのは南海。3回裏、島原のヒットから岡本の打球で相手のエラーを誘い、堀井の4球を挟み、簑原宏のヒットで2点を奪う。
この2点が決勝点になった。対する巨人は大神の気迫の投球に押さえ込まれてしまう。大神は打たれながらのピッチングで巨人打線を抑え込み、決め球のシンカーが巨人打線を翻弄させ2-0の完封勝利。
崖っぷちから2勝目を上げての勝利だった。この試合で入場者数が実に6,346人と日本シリーズで最も入場者数が少なかった試合と記録に残ってしまった。
[編集] 第7戦
後楽園球場に移った第7戦。巨人の先発は別所、南海の先発は小畑正治。先制は巨人。1回裏、相手のエラーで1点を奪う。南海は6回表、松井淳、木塚のソロホームランで2-1と逆転。
そこから、前日好投の大神の連投だったがそれが裏目に出てしまう。与那嶺の2塁打を皮切りに南村、川上、柏枝文治の連打で3点を失ってしまい4-2の逆転されてしまう。
対する巨人も別所から大友に変えて、南海打線を抑え続けた。9回表も3人で抑え、巨人が4勝2敗1分で、3年連続3度目の優勝に輝いた。
[編集] 試合結果
[編集] 第1戦
10月10日 大阪球場 入場者数:24913人(延長12回)
巨人 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
南海 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1x | 4 |
(巨) | 大友、●別所(1敗) - 広田、楠 |
(南) | 大神、○柚木(1勝) - 松井、筒井 |
[編集] 第2戦
10月11日 大阪球場 入場者数:30524人
巨人 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
南海 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 |
(巨) | ○藤本(1勝)、中尾 - 広田 |
(南) | ●中村(1敗)、藤江 - 松井、筒井 |
本塁打 | |
(巨) | 与那嶺1号2ラン(7回中村)、千葉1号ソロ(7回中村)、南村1号ソロ(7回中村) |
(南) | 飯田1号ソロ(8回藤本) |
[編集] 第3戦
10月12日 後楽園球場 入場者数:22546人(9回降雨コールド引き分け)
南海 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 |
(南) | 中原、大神 - 松井、筒井 |
(巨) | 別所 - 広田 |
本塁打 | |
(南) | 中原1号ソロ(3回別所) |
[編集] 第4戦
10月13日 後楽園球場 入場者数:25953人
南海 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | X | 3 |
(南) | ●中谷(1敗)、藤江、小畑 - 松井、筒井 |
(巨) | ○ 大友 (1勝) - 広田 |
[編集] 第5戦
10月14日 大阪球場 入場者数:21652人
巨人 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
南海 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
(巨) | ○ 入谷(1勝) - 広田 |
(南) | ●柚木(1勝1敗)、中村 - 筒井 |
本塁打 | |
(巨) | 岩本1号ソロ(9回中村) |
[編集] 第6戦
10月15日 甲子園球場 入場者数:6346人
巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
南海 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 2 |
(巨) | ●藤本(1勝1敗)、中尾 - 広田 |
(南) | ○大神 (1勝) - 松井 |
[編集] 第7戦
10月16日 後楽園球場 入場者数:21332人
南海 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | X | 4 |
(南) | 小畑、●大神 (1勝1敗)、中原、藤江 - 松井 |
(巨) | 別所、○大友(2勝) - 広田 |
(南) | 松井1号ソロ(6回別所)、木塚1号ソロ(6回別所) |
[編集] テレビ・ラジオ中継
[編集] テレビ中継
この年の2月1日、NHKがテレビ本放送を開始し、続いて8月28日に日本テレビが開局した。日本テレビは開局翌日の8月29日に読売ジャイアンツ対大阪タイガース戦の模様を後楽園球場から中継しプロ野球中継の幕が明けた。そして10月の日本選手権シリーズも第3戦を除いてテレビ放映されることとなった。
なお、大阪府ではまだこの時はテレビ放送は行われていなかった。(NHKはあくる1954年開局。民放の大阪テレビ放送開局は1956年まで待たなくてはならない。)
- 第1戦:10月10日 NHKテレビ
- 第2戦:10月11日 NHKテレビ
- 第3戦:10月12日 テレビ中継なし
- 第4戦:10月13日 日本テレビ 実況:江本アナウンサー
- 第5戦:10月14日 NHKテレビ 実況:下山アナウンサー
- 第6戦:10月15日 NHKテレビ 実況:野村泰治
- 第7戦:10月16日 日本テレビ
[編集] ラジオ中継
- 第1戦:10月10日
- 第2戦:10月11日
- 第3戦:10月12日
- 第4戦:10月13日
- 第5戦:10月14日
- 第6戦:10月15日
- 第7戦:10月16日
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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