1955年の日本シリーズ
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1955年の日本シリーズは、2年ぶり4度目となった水原茂監督率いるセ・リーグの覇者読売ジャイアンツと山本一人監督率いるパ・リーグの覇者南海ホークスとの対決となり、10月に後楽園球場と大阪球場で行われた。
目次 |
[編集] 戦評
1953年の日本シリーズ以来となる、巨人と南海の対決となった4度目のシリーズ。日本シリーズ前、巨人は勝ち星92勝(勝率.713)と圧倒的に勝ち上がり、南海は西鉄ライオンズとの激しい首位争いを通じて勝ち上がり、1950年に記録した松竹ロビンスの勝ち星98勝(勝率.737)を抜く99勝(勝率.707)で勝ち上がってきた。シリーズ前山本一人監督は、過去巨人の前で3連敗を経験している為、リベンジの場だった。
[編集] 第1戦
第1戦の先発は、巨人・別所毅彦、南海・柚木進とベテラン勢の先発。2回から、山本監督は柚木から宅和本司、中村大成へと投手リレーを行い、早くも継投策を行い始めた。これは、シーズン中西鉄との激しい首位争いの時、相手の反撃を抑える山本監督の采配だった。4回、巨人は千葉茂のタイムリーで1点を先取。南海は5回に蔭山和夫のスクイズで同点に追いついたが、その後は膠着状態が続き、延長10回に入った。1-1の同点での延長10回表巨人の攻撃、ランナーを置いたところで川上哲治がライトへの決勝2ランを叩き込み均衡を破った。その後、千葉、樋笠一夫、岩本尭の連打で、1点を追加で3点を挙げる。この3点が決勝点となって4-1と巨人がシリーズ1勝を挙げ、別所は完投し勝利投手となった。
[編集] 第2戦
第2戦は白熱の投手戦になった試合だった。2回裏、飯田徳治が巨人の先発・大友工からレフトへのホームランで先制すると、7回裏、松井淳のタイムリーで2-0とリードする。南海の先発・小畑正治は、四球を出すものの粘り強いピッチングで巨人打線を7回までを抑え、8回から中村大成を継投させ、シーズン中に見せた相手の反撃を抑える山本監督の采配が功を奏し、2-0の完封勝利で1勝1敗のタイとし、後楽園へ乗り込む。
[編集] 第3戦
1日移動日を挟み、巨人の本拠地・後楽園球場の開幕戦となる第3戦。南海の先発はシーズン24勝を記録した宅和、対する巨人はベテランの中尾碩志。第3戦も第2戦同様、投手戦になった。先制したのは南海。4回表飯田と森下正夫のタイムリーで1点を奪った。対する巨人も、南海の先発宅和からヒットを放つものの、宅和の粘り強いピッチングに抑えられてしまう。山本監督は5回裏から、投手を宅和から戸川一郎をリリーフに出させた。8回表には岡本伊三美が、中尾からのソロホームランで1点を追加し2-0とする。対する巨人は、終盤以降戸川の決め球・シンカーに対し巨人の打者は術中にはまってしまい、痛い完封負けを喰らってしまう。山本監督が戸川をリリーフに出させたことが功を奏し、南海が2勝目を挙げた。
[編集] 第4戦
雨天で2日順延となった第4戦。3連敗できない巨人は、先発を第1戦で好投した別所を中6日での登板。一方勝てば王手になる南海の先発は、シーズン23勝を記録した中村。先制したのは南海。1回表、巨人の先発別所が3塁のエラーとボークで1点を先制される。しかし巨人も5回裏に投手の別所が同点タイムリーで同点に追いついた。8回表に木塚忠助、杉山光平、飯田が巨人の守備陣のエラーで4点を奪って主導権を握る。9回裏にも巨人は1点を返すが、南海の中村-戸川の継投リレーに阻まれ5-2とし、南海が日本一へ王手をかけた。巨人が3連敗で崖っぷちに立たされた。
[編集] 第5戦
後がない巨人、日本一へ王手をかけた南海。巨人の先発は第2戦で好投した大友。南海は第3戦で勝利した宅和が先発したが、宅和を先発したことが大きな誤算だった。1回裏、南村侑広、平井三郎を塁に置き、藤尾茂が3ランホームランで先制されてしまい、さらに岩本のタイムリーで4点を奪う。ここで南海は宅和を諦め、円子宏をリリーフに送った。4点差を広げられた南海は4回表木塚忠助の死球、島原輝夫の四球で塁に置き、飯田のライトへの3ランホームランで1点差に追いつき、堀井数男、森下の連打で逆転と思われたが後続が続かず3点で終る。その裏巨人は、川上のタイムリーで1点を追加。5回表、南海は代打・蔭山を塁に出し、島原輝夫、杉山光平の連打で1点を追加し4-5とする。7回表、トンボからトレードで獲得した代打・深見安博がリリーフに回った別所からレフトへのソロホームランで5-5の同点においつく。しかし、南海は7回裏から小畑を登板させたが、四球とエラー、川上を敬遠させ満塁策を取ったがこれが裏目に出てしまい、岩本、加倉井実、広岡達朗の連打で4点を失ってしまい、9-5と逆転されてしまう。流れは巨人に傾いてしまい、崖っぷちから這い上がって2勝目を挙げた。決着は大阪球場で決まる。
[編集] 第6戦
舞台を大阪球場に移した第6戦。巨人の先発は安原達佳、南海の先発は中村。先制したのは巨人。1回表に立ち上がりが不安定な中村から、南村がライトへの2ベースヒット、藤尾が相手のエラー、川上と柏枝文治の連打で2点を挙げ、巨人が2-0と先制する。巨人の先発安原は、1回裏に木塚と島原の2連打、杉山の死球で無死満塁でピンチを迎えてしまい、降板するアクシデントがあったが、リリーフの中尾が当たっている飯田を併殺打に仕留め、1点を失って2-1となったが後続を断ち切った。その後は巨人・中尾と南海・中村の投手戦が続いた。追加点を奪いたい巨人は、2回に加倉井、4回に柏枝が2累打を放つもの、後一本が出ず無得点に終ってしまう。一方南海も、リリーフに回った中尾に対して2回以降2安打に押さえられてしまう。9回表南海は中村を降板させ、若手の大神武俊を登板させたが、裏目に出てしまう。岩本には四球を出してしまい、加倉井センター前ヒット、広岡には死球を与えてしまい、中尾には1塁ゴロの間に1点を奪われてしまい、3-1とリードされる。その裏別所が抑えとしたが、飯田が死球、堀井の代打飯島滋弥には巨人の守備ミスでピンチを広げてしまうものの、岡本を併殺に抑えて、3勝3敗の逆王手にかけた。
[編集] 第7戦
最終戦の第7戦、巨人の先発は4連投の別所、南海は戸川を先発にした。この時南海は別所の様に柱となる投手が不在だった事と、宅和・中村の負担を考えての登板で、戸川はリリーフで勝利しているが、重圧に耐えられるかどうかだった。1回表、巨人は先制のチャンスが来たが無得点に終ってしまう。一方の南海も先発別所の前で無得点に押さえ込まれてしまう。試合が動いたのは、5回表、巨人の攻撃。二番手投手の中村が広岡には四球をあたえ塁に出し、南村に犠牲フライを出し1点を先制する。1点失った後、山本監督は先発・戸川を降板させて、リリーフの中村を登板させたことで巨人打線を抑えた。一方南海も走者を出しながら、先発・別所の前では無安打に抑え込まれてしまい、2塁を踏む事も出来なかった。9回表、南海は小畑と継投に行ったが、裏目に出てしまう。岩本に四球、広岡のヒット、南村がレフトへの2ベースヒット、平井に犠牲フライを浴びせられ3点を失ってしまい、4-0とされてしまう。一方別所は安定したピッチングで、南海打線を4安打シャットアウト勝ちの完封勝利で巨人が2年ぶり4度目の日本一になった。
[編集] 試合結果
[編集] 第1戦
10月15日 大阪球場 入場者数:22448人(延長10回)
巨人 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
南海 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 1 |
(巨) | ○別所(1勝) - 広田 |
(南) | 柚木、中村、●宅和(1敗)、小畑 - 松井、筒井 |
本塁打 | |
(巨) | 川上 1号2ラン(10回宅和) |
(南) |
[編集] 第2戦
10月16日 大阪球場 入場者数:27784人
巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
南海 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | x | 2 |
(巨) | ●大友(1敗) - 広田、藤尾 |
(南) | ○小畑(1勝)、中村 - 松井 |
本塁打 | |
(南) | 飯田1号ソロ(2回大友) |
[編集] 第3戦
10月18日 後楽園球場 入場者数:17324人
南海 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
(南) | 宅和、○戸川(1勝) - 松井 |
(巨) | ●中尾(1敗)、安原 - 広田 |
本塁打 | |
(南) | 岡本1号ソロ(8回中尾) |
[編集] 第4戦
10月21日 後楽園球場 入場者数:19373人
南海 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 |
(南) | 中村、○戸川(2勝) - 松井、筒井敬 |
(巨) | ●別所(1勝1敗)、安原 - 広田、藤尾 |
[編集] 第5戦
10月22日 後楽園球場 入場者数:17320人
南海 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 4 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 | x | 9 |
(南) | 宅和、円子、中村、大神、●小畑(1勝1敗)、野母 - 松井、筒井敬 |
(巨) | 大友、安原、○別所(2勝1敗)- 藤尾 |
本塁打 | |
(南) | 飯田2号3ラン(4回大友)、深見1号ソロ(7回別所) |
(巨) | 藤尾1号ソロ(1回宅和) |
[編集] 第6戦
10月23日 大阪球場 入場者数:22695人
巨人 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 |
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南海 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
(巨) | 安原、○中尾(1勝1敗)、別所 - 藤尾 |
(南) | ●中村(1敗)、大神 - 松井 |
[編集] 第7戦
10月24日 大阪球場 入場者数:17775人
巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
南海 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
(巨) | ○別所(3勝1敗)- 藤尾 |
(南) | ●戸川(2勝1敗)、中村、小畑 - 松井、筒井敬 |
[編集] テレビ・ラジオ中継
[編集] テレビ中継
- 第1戦:10月15日
- 第2戦:10月16日
- 第3戦:10月18日
- 第4戦:10月21日
- 第5戦:10月22日
- 第6戦:10月23日
- 第7戦:10月24日
[編集] ラジオ中継
- 第1戦:10月15日
- 第2戦:10月16日
- 第3戦:10月18日
- 第4戦:10月21日
- 第5戦:10月22日
- 第6戦:10月23日
- 第7戦:10月24日
[編集] 外部リンク
[編集] 関連項目
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