魚雷
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魚雷(ぎょらい)は、魚形水雷の略であり、弾頭にエンジンと高速スクリューを組み合わせ、潜水艦のように水中を移動し、衝突した艦船などを爆発によって破壊することを目的とした兵器である。
単に攻撃を目的とする使用以外にも、爆発により敵艦や魚雷のソナーを混乱させたりするために使われる音響魚雷、潜水艦固有の音紋をコピーして搭載し、囮として使用するデコイがある。
潜水艦、水雷艇、駆逐艦、巡洋艦、雷撃機などに搭載されて大いに利用される。対艦ミサイルに取って代わられたものも多いが、今日でも魚雷は潜水艦の主要な装備の一つであり、対艦、対潜水艦兵器として第一線で使用されている。
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[編集] 魚雷のしくみ
開発当初の魚雷は信頼性が低かったが、命中率を上げるために多くの技術改良がなされ、又その防御方法が編み出された。初期の魚雷は単純なジャイロ誘導であり、直進するのが限界であった。命中率を上げるために複数本を扇状に射出し、飽和攻撃を仕掛けるのが一般的であった。
艦艇からの魚雷発射方法としては、魚雷発射管を用いるのが最も多いが、魚雷艇では側方に落射させるものや後方に落射させるものもあった。
今日の魚雷は主に対潜水艦戦を意図して製作されており、ソナーを内蔵し、敵艦の音響を追尾するものが主流である。また、有線誘導といって、魚雷底部に制御用ワイヤー、あるいは光ファイバーを通し、敵を追尾している最中にも魚雷を発射した艦から誘導が受けられるものもある。有線誘導魚雷は、必要に応じて自爆させることで、敵艦に直接命中させず被害を与えたり、友軍に損害を与えるのを避けることができる。また、アスロックと呼ばれる、魚雷が弾頭になっているミサイルを敵潜水艦の近くに落とした後、敵艦を追尾、撃破するというシステムもある。核弾頭を備えた核魚雷とする事も可能である。
近年の魚雷には、推進器にポンプジェットを採用したものも出てきており、その速力は60ktを超える場合もある。またスーパーキャビテーションと呼ばれる現象を利用して200ktもの速度を出すシクヴァルのような特殊な魚雷もある。
[編集] 歴史
魚雷の開発は、船で機雷を曳航し、敵船にぶつけようとする試みが最初のものである。水路学者として高名であり南部海軍の沿岸防衛を指揮したマシュー・マウリー提督(Matthew Fontaine Maury)は、南北戦争中に電池を動力とする魚雷を試作したが、満足のいく結果を得ることはできなかった。
初めての有効な自力で推進する魚雷は、オーストリア・ハンガリー帝国の元技術士官のイワン・ルピス-ヴュキ(Ivan Lupis-Vukić)が設計したものである。1860年にオーストリア皇帝のフランツ・ヨーゼフ1世にリエカという港町で披露された。1864年にルピスは当時トリエステでオーストリア海軍の計画に参加していたロバート・ホワイトヘッド(Robert Whitehead)に助けを求め、1866年12月21日に世界で最初の魚雷、Minenschiffは完成した。
政府の支援を得る事に成功した後に、リエカで魚雷を生産するための工廠が立ち上げられた。1870年に1000ヤード(914m)以上の射程を持ち、6ノットの速さを持つ魚雷を量産することができるようになった。この魚雷は1881年には10カ国以上に輸出されていた。圧縮空気とグリセリンかニトロセルロースを燃やして動力としていた。ホワイトヘッドは改良を続け、1876年に18ノット、1886年に24ノット、1890年には30ノットに魚雷の速度は達した。これとほぼ同じ頃の日清戦争で使用された軍艦は、最速の艦船でも15ノットしか出せず、魚雷を避けることは非常に困難であった。
[編集] 日本海軍と魚雷
1933年(昭和8年)、日本海軍は酸素魚雷を開発・実用化し、第二次世界大戦において使用していた。レーダーが一般化するまで、日本海軍は夜戦を得意としており、水雷戦隊により敵に大きな損害を与え続けた。アメリカ海軍の重巡洋艦が魚雷発射管を廃止していたのに対し、日本海軍の重巡洋艦は多数の魚雷発射管を装備していたことにも、日本海軍の雷撃戦重視がうかがえる。ちなみに大戦中に日本軍が使用した酸素魚雷は、米軍の魚雷に比べて炸薬量、射程の点で優位にあった。また航跡がほとんど発生しないため、視認が困難であったという。米軍からは「long lance」と呼ばれて、恐れられていた。
日本海軍の雷撃機では、飛行場など敵の基地の攻撃には爆弾、敵艦隊の攻撃には主に魚雷を利用していた。ミッドウェー海戦においては、南雲艦隊の空母が、攻撃機に敵基地攻撃用の爆弾を搭載していたのを、敵艦隊発見で魚雷に積み替えているところを敵機に襲われ、甲板上の爆弾と魚雷が誘爆した。これにより日本海軍は空母4隻を失い、戦局を挽回されるきっかけとなった。なお、日本の空母は爆弾で攻撃されて沈んだ。
戦争末期には、人間が魚雷に自ら搭乗し、敵艦船に自爆体当たりする人間魚雷回天という特攻兵器も開発された。
[編集] 要目(例:アメリカ Mk48/ADCAP魚雷)
- 全長:5.79m
- 直径:533mm
- 有線誘導10nm、追跡射程20nm、索敵射程30nm
- 重量:1,662.75kg
- 弾頭:292.5kg高性能爆薬
- 最大速力:50kt以上
- 推進器:ポンプジェット
- 採用:1988年
[編集] 各国海軍の魚雷一覧
名称 | 全長 | 直径 | 射程 | 重量 | 炸薬 | 最大速力 | 採用 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Mk.44 | 256cm | 324mm | 2.7nm | 196kg | 34kg | 30kt | |
Mk.46 | 260cm | 324mm | 6nm | 234kg | 44.5kg | 45kt | 1966年 |
Mk.48 | 579cm | 533mm | 40kt-22nm 55kt-17nm | 1545.3kg | 292.5kg | 55kt | 1972年 |
Mk.48 ADCAP | 579cm | 533mm | 40kt-27nm 55kt-21nm | 1662.75kg | 292.5kg | 70kt | 1988年 |
Mk.50 バラクーダ | 284.5cm | 324mm | 340kg | 45.4kg | 40kt+ |
[編集] 魚雷をモチーフにしたキャラクター
- 魚雷ガール(ボボボーボ・ボーボボ)
- トーピード(マリオシリーズ)
[編集] 関連項目
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