エンジン
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エンジン (engine)とは、与えられた入力から何らかの効力を生み出すものを指す汎用語。漢字では機関(きかん)と表記される。主に動力を生み出すものに使用されることが多いがそれには限定されない。
入力には、人力、動物(牛、馬、犬など)、水力、風力などが古くから使われている。産業革命以降、熱エネルギーを利用して水蒸気を用いる蒸気機関では代表的なものとして石炭が使われる。燃料を直接燃やすことから動力を得る内燃機関では多くは石油が利用される。電気モーターでは化学反応を利用した蓄電池や他のエネルギーによってつくられた電力が入力となり磁力によって動力に変換される。
機械工学分野においては、熱エネルギーを動力に変換する機械・装置を指す。原動機・発動機ともいう。熱エネルギーは主に化石燃料の燃焼により得る。その種類は多岐に渡るが、大きく外燃機関と内燃機関に分けられる。
コンピュータ分野では、CPU(中央処理装置)を指して用いられる。
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[編集] 動力を出力するエンジンの区分
[編集] 燃焼形態による区分
[編集] 外燃機関
- 詳細は外燃機関を参照。
- 蒸気機関:水蒸気を利用。燃料は木炭、石炭、石油(ガソリン、重油)などを生じさせる熱を発生させるものなら何でも使用できる。
- レシプロ機関型:古くは蒸気船、蒸気機関車、蒸気自動車などで使用された。
- タービン型(蒸気タービンエンジン):外部で発生させた高温の蒸気を羽根車(タービン)に吹きつけ回転させ動力や推進力を得る。
- スターリングエンジン
- 原子力エンジン(のうち、蒸気タービンを用いないもの)
- 対消滅エンジン(理論のみ)
[編集] 内燃機関
- 詳細は内燃機関を参照。
[編集] 構造の違いによる呼び名
- レシプロエンジン
- ロータリーエンジン(ヴァンケルエンジン-Wankel engine発明者の名)
- ロケットエンジン
- タービンエンジン
- ガスタービンエンジン:高温の気体によりタービン(羽根車)を回転させ動力/推進力を得る。
[編集] 使用する燃料の違いによる呼び名
[編集] その他の区分
- ハイブリッドエンジン:複数のエンジンを組み合わせて出力を得る。
[編集] エンジンの仕組み~代表例:内燃機関 レシプロエンジン
エンジンの代表例として、内燃機関の一種である『レシプロエンジン』の仕組みを以下に記す。
まず、ガソリンやアルコール等の揮発性の高い液体をエンジン内部の燃焼室内に空気と適当な混合比になるように噴霧して、着火してエンジン内で爆発を起こさせる。通常、爆発力は着火場所を中心にして放射状に拡散するが、エンジンという機械はその爆発力を効率良く取り出す必要がある。爆発に十分に耐えられる構造のシリンダー内で起きた爆発力は、逃げ道を探してシリンダー内を行き来するピストンと呼ばれる部品を押す力となる。そこで、放射状に拡散する爆発力が往復運動に変わる。次にコネクティングロッド(コンロッド)とクランクシャフトが連動して往復運動を回転運動に変え、結果エンジンが動力を出力する。
[編集] 語源と用例
エンジン(engine)は、1300年頃のフランスではenginと表記し『能力』や『賢さ』を意味していた。また『戦争に使われる機械』の意味でも用いられた。これは"生まれながらの才能"という意味を持つラテン語のingeniumから来たもの。その後、『仕掛け(trick)』、『器具(device)』、『機械(machine:特に軍用のもの)』を指して用いられ、やがて18世紀には、『エネルギーを動力に変えるもの』という現代で用いられている意味をもつようになった。
この時代のエンジンの典型が『蒸気機関(steam engine)』であったことから単にengineといえばsteam engineを意味した。これと同様の省略法が現代でも用いられており、単にエンジンといった場合『自動車で使用されるエンジン』を指すことが多い。現代の自動車のエンジンは、内燃機関(internal combustion engine)である。
エンジンから、エンジニア(Engineer)という用語も生まれたが、これは『蒸気機関車の運転手』という意味で1839年に使われたことが確認されている。同義語に『動力を供給する機械』という意味をもつモーターがある。