近鉄京都線
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京都線(きょうとせん)は、京都府京都市下京区の京都駅から奈良県奈良市の大和西大寺駅までを結ぶ近畿日本鉄道の鉄道路線。
京都・奈良間の都市間輸送および沿線の住宅地、関西文化学術研究都市の足を担っている。1990年代頃から西日本旅客鉄道(JR西日本)も、並行するJR奈良線京都~奈良間に快速列車を運転し対抗しているが、運転本数の多さで近鉄京都線がまだ優勢である。また京都市営地下鉄烏丸線を介して京都市中心部から奈良方面に乗り換えなしで行けることや、京都から天理、橿原方面へは乗り換えせずに一本の列車で行けるのでJRと比べて便利である。新祝園~新田辺間は、西日本旅客鉄道の学研都市線と並走している。
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[編集] 路線データ
全線、大阪輸送統括部(旧上本町営業局)の管轄である。
[編集] 運行形態
特急が京都~近鉄奈良・橿原神宮前間のほか、京都~賢島間にも運転されている。賢島行きは大和八木で難波発賢島行きを連結して運行するものもある。詳細は近鉄特急の項を参照のこと。
その他、急行、準急、普通が運転されている。急行と普通列車の一部は竹田駅から京都市営地下鉄烏丸線に乗り入れ国際会館駅まで相互直通運転を行っている。以下に各種別の詳細を示す。
- ■急行(Express)
- 京都線の主力優等種別。奈良線や橿原線に直通しての運転が基本で、終日、京都~近鉄奈良・天理・橿原神宮前(大和西大寺・近鉄宮津・新田辺行も本数はごくわずかだがある)間に運転されている。加えて、昼間時間帯(平日は朝も)には地下鉄烏丸線国際会館~近鉄奈良間直通の急行も運転される。昼間時は京都~近鉄奈良間、国際会館~近鉄奈良間、京都~天理間、京都~橿原神宮前間の系統がそれぞれ毎時1・2・1・2本ずつ、合計毎時6本運転される。編成両数は6両(一部は4両)。
- ■準急(Semi-Express)
- ラッシュ時のみの運転のため運行本数は少ないが、京都~新田辺間に運転されている。京都~近鉄丹波橋間は急行と同一の停車駅で運転され、丹波橋以南は各駅に停車する。
- なお、かつては京都~近鉄奈良間に運転されていた(当時は向島駅を通過。小倉~近鉄奈良間は各駅に停車していた)。
- 3駅しか通過せず、普通列車も抜かない列車が多く、京都線の輸送力の補完の意味合いが強いが、一部の準急は上鳥羽口駅で普通列車を追い抜く(平日の下り3本、土休日の下り1本)。
- ■普通(各駅停車)(Local)
- 終日、京都~大和西大寺(ごく一部は近鉄奈良)間の運転に加え、地下鉄烏丸線国際会館~新田辺間(上り1本のみ近鉄宮津始発)の直通列車が運転される。昼間時は前者が毎時4本、後者は毎時2本、合計毎時6本設定される。大和西大寺行は時間帯によっては大和西大寺駅から天理行、橿原神宮前行になる(一旦大和西大寺行として運転する理由としては、ダイヤが乱れた時に運休あるいは別編成を大和西大寺以南に充当できるようにするためであるほか、大和西大寺から先急行として種別変更もなされる列車があるためでもある)。編成両数は地下鉄直通の全列車と、ラッシュ時などの京都~新田辺間の一部の区間運転列車が6両編成で、その他は4両編成である(ただし新田辺で増結・解結するものもある)。普通列車が4両編成を基準としているのは、狛田と山田川のプラットホームの有効長が4両分までしかないからである。
- なお、1997年の地球温暖化防止京都会議中には烏丸線直通の普通列車が高の原駅まで乗り入れていた(狛田・山田川は通過)。
線内の各区間の昼間時の1時間毎の運転本数の内訳は以下のようになる。
- 京都~竹田 : 特急4本、急行4本、普通4本
- 竹田~新田辺 : 特急4本、急行6本、普通6本
- 新田辺~大和西大寺 : 特急4本、急行6本、普通4本
- 特急4本の内訳は、京都~奈良が2本、京都~橿原神宮前が1本、京都~賢島が1本。
[編集] 車両
近鉄奈良線を参照。他に3000系もある。また、京都市営地下鉄烏丸線10系の乗り入れ運用もある(主に新田辺駅以北折り返しの普通電車運用。昼間時は近鉄奈良駅直通急行運用もあり)。
近鉄京都発着の列車で、地下鉄線対応の3200系、3220系を含む6両単独編成は主に急行に使用。
また、L/Cカーは京都線・橿原線運用(とそれに関連する運用)の場合は座席は常にロングシートの状態で運転される(奈良線では一部運用や乗務員の判断による場合を除き、平日の10時~16時と土曜・休日の終日はクロスシート)。
[編集] 歴史
京阪電気鉄道と大阪電気軌道(通称・大軌。近鉄の前身)の合弁会社である奈良電気鉄道(通称・奈良電)により、私鉄路線がなかった2つの古都を結ぶ目的で開業した。京都~桃山御陵前間は国鉄奈良線の旧線跡を利用して建設され、全通時より大軌の奈良線・畝傍線(現在の橿原線)と相互直通運転をしていた。さらに戦後直後から1968年までは、京阪本線との直通運転も行った。
近鉄の路線となったのは、1963年のことである。なお同線の建設や近鉄統合に関しては、奈良電気鉄道の項目も参照。
- 1928年(昭和3年)11月3日 奈良電気鉄道が桃山御陵前~西大寺(現・大和西大寺)間を開業。
- 1928年(昭和3年)11月15日 京都~桃山御陵前間が開業し全通。
- 1929年(昭和4年)7月10日 木津川の河畔に木津川駅を設置。
- 1940年(昭和15年)4月1日 城南宮前駅を竹田駅に改称。
- 1940年(昭和15年)4月5日 上鳥羽口駅開業。
- 1945年(昭和20年)12月21日 奈良電気鉄道の電車が丹波橋駅に乗り入れ、同駅から京阪電車の京阪三条駅まで直通運転開始。伏見~堀内~桃山御陵前間廃止。
- 1947年(昭和22年)4月1日 京阪電車が丹波橋駅から奈良電に乗り入れ、京都駅まで直通運転開始。
- 1954年(昭和29年)7月5日 興戸駅開業。
- 1963年(昭和38年)9月 京都駅高架化。
- 1963年(昭和38年)10月1日 近畿日本鉄道が奈良電気鉄道を合併し、京都線となる。
- 1967年(昭和42年)3月29日 近鉄丹波橋駅開業(旧堀内駅の復活)。伏見駅~近鉄丹波橋駅~桃山御陵前駅間復活。ただし1年間は丹波橋・近鉄丹波橋駅の併用となる(近鉄の特急・急行・準急は近鉄丹波橋を、普通と京阪直通列車は丹波橋を使用)。
- 1968年(昭和43年)10月10日 ATS使用開始。
- 1968年(昭和43年)12月20日 伏見~丹波橋~桃山御陵前駅間廃止。また丹波橋駅での京阪電車との相互直通運転と丹波橋・近鉄丹波橋駅の併用も廃止。なおこの日より奈良線大型車両の京都線での運用を開始する。
- 1969年(昭和44年)9月13日 京都~東寺間高架化。
- 1969年(昭和44年)9月21日 架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
- 1972年(昭和47年)11月22日 高の原駅開業。
- 1974年(昭和49年)7月20日 木津川駅廃止。
- 1979年(昭和54年)3月30日 向島駅開業。
- 1979年(昭和54年)7月 特急に限り6連運転開始。
- 1987年(昭和62年)12月14日 大久保駅付近高架化完成。
- 1988年(昭和63年)8月28日 京都市営地下鉄烏丸線との相互直通運転を開始。
- 1993年(平成5年)3月18日 宮津車庫完成。
- 1993年(平成5年)9月21日 近鉄宮津駅開業。
- 1994年(平成6年)9月21日 木津川台駅開業。
- 1998年(平成10年)3月17日 京都~近鉄奈良間に快速急行を運転開始。
- 1999年(平成11年)11月27日 東寺~竹田間高架化。
- 2000年(平成12年)3月15日 京都市営地下鉄烏丸線との相互直通運転区間を近鉄奈良まで延長。急行運転も開始。快速急行が昼間のダイヤに増設。
- 2003年(平成15年)3月6日 京都~近鉄奈良間の快速急行を急行に統合し廃止。
- 2005年(平成17年)8月6日 三山木駅付近高架化完成。
[編集] 宇治川以北のルート選定
建設に当たり、宇治川以北のルート選定は難航した。
建設当時は京阪本線沿線も含めて周囲が陸軍の演習地となっており、陸軍から架橋訓練の支障となる橋脚を宇治川に作ることを咎められた。そこで、架橋の必要ない地下線での建設を計画したが、伏見の酒造組合が地下水の枯渇を理由に、また、京都市も桃山御陵への参拝道に踏切が生じることを理由に反対したため、地下線での建設計画までも頓挫した。このため残る高架方式での建設となった。
最終的には宇治川に無橋脚橋梁を架橋し、桃山御陵前駅の前後を高架にすることで落ち着いた。桃山御陵前駅~向島駅間の宇治川に架かる澱川鉄橋が日本最長164.6mを誇る単純トラス橋構造となったのは、前記の複雑な事情による。
現在でも陸上自衛隊の演習地が宇治川周辺に存在する。しかし、伏見区内の住宅開発が進んだ事もあって大久保駅前にある陸上自衛隊大久保駐屯地や京阪宇治線木幡駅の周辺に移転しており、現在では澱川鉄橋の近辺で演習が行われることはない。
[編集] 奈良電京都駅地下ターミナル計画の挫折
奈良電が開業するにあたっては、当時の国鉄京都駅の烏丸口(北側の中央口)直下に奈良電の地下ターミナル駅を設ける予定であったが、この工事費用の問題に加え、1928年11月に京都御所で昭和天皇の即位大典に時間的に間に合わないことから、八条口(南口)側に仮設駅を設けることになった。
この仮設の予定であった駅は、昭和恐慌などの影響で地下化計画自体が事実上頓挫する格好でそのままの形で残され、東海道新幹線が建設される際にはその直上に新幹線の線路とプラットホームを設置し、同時に奈良電の駅も高架3線化された(なお北口までの延伸免許自体は、近鉄への合併直後まで保持された)。
[編集] 駅一覧
- ●:停車、|:通過、▲:奈良競輪開催時停車
- 急行:京都市営地下鉄烏丸線直通あり(近鉄奈良駅発着のみ、地下鉄線内は各駅停車)。
- 普通列車は省略:各駅に停車。京都市営地下鉄烏丸線直通あり。
- 特急列車については特急列車記事を参照のこと。
- ※湖西線は琵琶湖線山科駅から分岐。
駅名 | 営業キロ | 準急 | 急行 | 接続路線 | 所在地 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
近鉄宮津発着 | |||||||
京都駅 | 0.0 | ● | ● | ● | 東海旅客鉄道:東海道新幹線 西日本旅客鉄道:東海道本線(JR京都線・琵琶湖線)・奈良線・湖西線※・山陰本線(嵯峨野線) 京都市営地下鉄:烏丸線 |
京都府 | 京都市下京区 |
東寺駅 | 0.9 | ● | ● | ● | 京都市南区 | ||
十条駅 | 1.5 | | | | | | | |||
上鳥羽口駅 | 2.5 | | | | | | | 京都市伏見区 | ||
竹田駅 | 3.6 | ● | ● | ● | 京都市営地下鉄:烏丸線(直通あり) | ||
伏見駅 | 4.9 | | | | | | | |||
近鉄丹波橋駅 | 6.0 | ● | ● | ● | 京阪電気鉄道:京阪本線(丹波橋駅) | ||
桃山御陵前駅 | 6.5 | ● | ● | ● | 京阪電気鉄道:京阪本線(伏見桃山駅) 西日本旅客鉄道:奈良線(桃山駅) |
||
向島駅 | 8.6 | ● | | | | | |||
小倉駅 | 11.4 | ● | | | | | 宇治市 | ||
伊勢田駅 | 12.7 | ● | | | | | |||
大久保駅 | 13.6 | ● | ● | ● | 西日本旅客鉄道:奈良線(新田駅) | ||
久津川駅 | 14.6 | ● | | | | | 城陽市 | ||
寺田駅 | 15.9 | ● | | | | | |||
富野荘駅 | 17.4 | ● | | | | | |||
新田辺駅 | 19.6 | ● | ● | ● | 西日本旅客鉄道:片町線(学研都市線)(京田辺駅) | 京田辺市 | |
興戸駅 | 21.1 | ● | | | 西日本旅客鉄道:片町線(学研都市線)(同志社前駅) | |||
三山木駅 | 22.4 | ● | | | 西日本旅客鉄道:片町線(学研都市線)(JR三山木駅) | |||
近鉄宮津駅 | 23.1 | ● | | | ||||
狛田駅 | 24.4 | | | 西日本旅客鉄道:片町線(学研都市線)(下狛駅) | 相楽郡精華町 | |||
新祝園駅 | 26.7 | ● | 西日本旅客鉄道:片町線(学研都市線)(祝園駅) | ||||
木津川台駅 | 28.2 | | | 相楽郡木津町 | ||||
山田川駅 | 29.2 | | | 相楽郡精華町 | ||||
高の原駅 | 30.8 | ● | 奈良県 | 奈良市 | |||
平城駅 | 33.5 | ▲ | |||||
大和西大寺駅 | 34.6 | ● | 近畿日本鉄道:橿原線・奈良線 | ||||
最長運転区間 | 近鉄奈良・天理・橿原神宮前 |
[編集] かつて存在した駅
- 八条駅 京都~東寺間
- 1928年11月15日~1945年 - 東海道本線と並行向きに京都駅を出た列車が、南へ進行方向を変えるあたりに設けられていた駅。不要不急とみなされ廃止された。
- 木津川駅(臨時駅) 富野荘~新田辺間
- 1929年7月10日 - 1946年10月1日、1948年7月1日 - 1974年7月20日(1965年8月23日に休止)の間、水泳客用に夏季のみ設けられた駅。