薔薇十字団
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
薔薇十字団 (ばらじゅうじだん、Rosenkreuzer ) とは、17世紀初頭のヨーロッパでその話題が流布した魔術の秘密結社である。一種の都市伝説で実在はしないとされる。
始祖クリスチャン・ローゼンクロイツ Christian Rosenkreuz の遺志を継ぎ、錬金術や魔術などの古代の英知を駆使して、人知れず世の人々を救うという。
1614年にドイツのカッセルで刊行された怪文書『全世界の普遍的かつ総体的改革』とその付録『友愛団の名声』で初めてその存在が語られ、一気に全ヨーロッパの話題をさらう。
イエイツによれば、この背景に、薔薇すなわちイングランド王家を旧教ハプスブルク皇帝家の支配からの救世主として迎え入れようとする大陸諸小国の願望があった、という。
やがてこれが都市伝説化して、薔薇十字団に入団希望する者、「薔薇十字団員に会った」と言う者、果ては「自分は薔薇十字団員だ」と自称するカリオストロやサンジェルマン伯爵などの様な、怪しげな人々も現れ、世の人々を惑わせた。また、こうした事から実際に「薔薇十字団を名乗る団体」や「薔薇十字団の流れを組むと自称する団体」などが登場しており、現在でもその傾向は続いている。
目次 |
[編集] フィクション上の薔薇十字団
こうしたいきさつから、薔薇十字団は様々なフィクション作品で取り扱われている。その遇し方は様々だが「秘密結社」という「人知れず活動する」事への「実態が不明瞭な事から来る不気味さ」や「魔法」という「一般に理解不能な未知の力のイメージ」から「主人公に対する危険な敵対組織」として描かれる場合が多い。
[編集] 登場する作品
[編集] 漫画作品
- 1968年頃に発表された初期作品では、ゴルゴ13を狙う暗殺集団として捉えられている。作品中の記述では「1968年以降活動の記録は無い」とある。
[編集] 小説作品
- 構成員の中で最も優れていたとされる死者H.G.ウェルズを蘇生装置でたたき起こして首魁として担ぎ上げ、その意志のまま世界の滅亡を企む組織として描かれる。本来の目的は「世界を治癒」することだったが、その目的は無理矢理蘇生されたヴェルヌのために歪み「世界は治癒が不可能なまでに歪んでしまった」と判断。全てを滅ぼしてゼロにすることを目論む。その真の首魁はパラケルススであったとされる。
- 狂科学ハンターREI(著:中里融司)- ライトノベル
- 「黄金の薔薇」という組織名で疑似科学を「秘宝科学」と呼称し、その技術を用いて人間を更なる次元に導く(要は世界を支配する)事を目的としている。
[編集] 関連書籍
- 『薔薇十字団』 クリストファー マッキントッシュ著 Christopher McIntosh 原著 吉村 正和 訳 ちくま学芸文庫 ISBN 448008746X