歴史
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歴史(れきし)とは、人間社会の過去の出来事を、時間・空間的な分析を行い、因果関係を持って記述した史料。より広い意味では、出来事そのものを指す。また、人間社会以外の大きな事象に対しても、用いられる場合がある。(例:地球の歴史)
[編集] 語源
- 歴史
- 日本語の歴史は司馬遷の『史記』に由来する。前漢の武帝時代、太史令であった司馬遷が記述した「太史公書」がのちに史記と呼ばれるようになり、「史」が歴史の意味でも使われるようになった。司馬遷は黄帝から武帝までの皇帝の変遷を正統性の概念で記述した。以降、「史」は皇帝の正当性を主張する書物として古代中国の各時代で伝統的に編纂されることとなる。また正統性の概念は周辺アジア地域においても影響を与え、日本書紀等が編纂される動機となった。
- 明治時代、historyの訳語として、もっとも概念的に近いと思われる「史」を元に「歴史」という用語が造られた。
- history
- 英語のhistoryは、ヘロドトスの「歴史(historiai)」に由来する。historiaiは古代ギリシア語で「調べてわかったこと(historia)」の複数形。ヘロドトスはリディア王国以降のペルシャ地方の発展を中心に、サラミスの海戦においてギリシアがペルシャ帝国艦隊を撃破するまでを記述した。それゆえ、「歴史」は主として戦争を記述する資料を指したが、時とともにより幅広い事象を対象とする用語に一般化されていった。ヨーロッパ近世においてはルネサンス以降の自然学の進展とキリスト教的価値観を背景に historia は人間の創造以前を扱う自然史(historia naturae, 博物学とも訳される)と人類史(historia hominis)の二領域からなると考えられるようになった。前者は近代の自然科学へ、後者は現在の歴史学へと発展していく。また historia からは storia という語も派生した。
語義としての歴史は本来は事実を検証する物だが、特定の国では、政権を取った団体が、組織を維持するために都合の良い解釈を取り、捻じ曲げて教科書に入れるものである。このため、世界中で歴史”認識”による誤解・偏見・差別が存在する。これは上記のstoria を教育していることと同義といってさしつかえない。