蒼き流星SPTレイズナー
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『蒼き流星SPTレイズナー』(あおきりゅうせい エスピーティー レイズナー)は、1985年(昭和60年)10月3日から1986年(昭和61年)6月26日まで日本テレビ系で毎週木曜日17:30 - 18:00に全38話が放送された、サンライズ製作のSFアニメ(ロボットアニメ)である。1986年10月21日にはOVAで完結編が発売される。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
[編集] ストーリー
1996年、人類は地球を飛び出して火星に進出したが、アメリカとソ連の冷戦もまた火星にまで拡大していた。同年10月3日、国連主催のコズミック・カルチャー・クラブ(宇宙体験教室)に選ばれた少年少女達は、火星に到着して間もなく、突如現われた謎の機動兵器・SPTによる攻撃に晒されてしまう。そんな窮地に陥った彼らを救ったのは、青いSPTを駆る少年アルバトロ・ナル・エイジ・アスカであった。彼はグラドス星によって地球が狙われていること、そして自分が地球とグラドスの混血であることを告げる。コズミック・カルチャー・クラブの少年少女達は、エイジに不信の眼差しを向けながらも、戦いの中で徐々に絆を深めていく。そして共に地球に帰る為、彼らは火星を脱出し苦しい旅に出発した。
[編集] 解説
本作の特徴の1つとして、当時の世界情勢である米ソ冷戦を扱った舞台設定が挙げられる。現実の冷戦は、放映開始から6年後の1991年にソ連崩壊をもって終結するわけだが、放映当時の1985年は、ソ連のゴルバチョフ政権が国内の改革(ペレストロイカ)を進める一方、米国レーガン政権とSDI計画を巡って対立を深めており、米ソ冷戦が10年後の1996年には火星にまで拡大しているという本作の設定には十分な説得力があった。
展開される物語は、前期は火星脱出を巡る追撃隊との攻防、後期はグラドスに占領された後の地球での戦いを描いている。前期に登場した少年少女たちが青年に成長し、ある者は武器を手に侵略者に抵抗し、ある者は書物を手に地球人の文化を守り、また別の者はグラドスの支配階級に入り込んで暗躍し、それぞれの場所でそれぞれの戦争を繰り広げていた。「侵略に対する反抗」という構図が主流のロボットアニメにおいて、「占領下における体制へのレジスタンス活動」というテーマを描いた異色の作品であると言えよう。
本作のオープニングアニメーションは、スピード感と迫力溢れる構成で、現在でも評価が高い(特に後期版)。また、主題歌のサビ部分に入る前に本編のダイジェストが挿入されるという斬新な演出も、視聴者に強い印象を残した。
[編集] スタッフ
- 原案:矢立肇
- 原作:伊東恒久、高橋良輔
- 監督:高橋良輔
- 脚本:星山博之、五武冬史、平野靖士、伊東恒久、遠藤明吾、高橋良輔
- キャラクターデザイン:谷口守泰
- メカニックデザイン:大河原邦男
- 作画監督:谷口守泰、村中博美、貴志夫美子、八幡正、伊東誠、桜井美知代、本橋秀之、佐藤千春、中村悟、沢田正人
- メカニカル作監:吉田徹、沖浦啓之
- 音楽:乾裕樹
- 主題歌
- OP:「メロスのように -LONELY WAY-」(作詞:秋元康、作曲:中崎英也、歌:AIRMAIL from NAGASAKI)
- ED(~25話):「5分だけのわがまま」(作詞:秋元康、作曲:中崎英也、歌:富沢聖子)
- ED(26話~):「LA ROSE ROUGE」(作詞:河奈みその、作曲:林哲司、歌:富沢聖子)
[編集] 登場人物(キャスト)
- アルバトロ・ナル・エイジ・アスカ(演:井上和彦)
- 本作の主人公。アポロ計画以前の秘密計画により月で遭難し、グラドス人の調査隊に救助された地球人宇宙飛行士の父ケン・アスカと、グラドス人の母との間に生まれた混血児。グラドスによって地球が狙われている事を知らせるため、グラドスの艦隊に密航してSPTレイズナーを強奪、火星にやってきた。地球に到着後、グラドスの総攻撃に単身立ち向かい行方不明になったが、地球制圧後再びその姿を現し、レジスタンスを側面から支援した。物語後半ではトンファーを用いた我流拳法を使うようになり、一人称が「僕」から「俺」に変化していた。
- アンナ・ステファニー(演:江森浩子)
- コズミック・カルチャー・クラブの最年少の少女。本作の語り部役も務める。仲間の中で最初にエイジに信頼を寄せ、後に愛する様になる。制圧後の地球においては、地球文化の保護に努めた。気弱な外見からは想像できないが意外と行動的で、正面からル・カインの主張に反駁したこともある。レジスタンスの象徴的リーダー。
- デビッド・ラザフォード(演:梅津秀行)
- コズミック・カルチャー・クラブの生き残り。直情径行の行動派。親友がグラドスの襲撃で死んだこともあり、最初はエイジに憎しみを抱いていたが、共に危機を乗り越えやがて親友となる。SPTベイブルに搭乗。制圧後の地球においては、レジスタンスの実質的リーダーとして最前線で活躍した。地球製SPTドールにも搭乗。アメリカ人。
- シモーヌ・ルフラン(演:平野文)
- コズミック・カルチャー・クラブの生き残り。ルフラン侯爵令嬢。地球制圧後は、その立場を利用して社交界でグラドスの情報を収集していたが、正体が露見し、デビッドと共にレジスタンスに身を投じた。当初はエイジに対して思いを寄せていたが、最終的にはデビットに好意を抱いている様子が見られた。フランス人。
- ロアン・デミトリッヒ(演:鳥海勝美)
- コズミック・カルチャー・クラブの生き残り。冷静で根気強い知性派。SPTバルディに搭乗する。地球制圧後はグラドスにその能力を認められ、ル・カイン直属の部下として働く。その一方でアーサーにそれとなく機密情報が伝わるよう仕向け、間接的にレジスタンスを支援していた。
- アーサー・カミングスJr.(演:鹿股裕司)
- コズミック・カルチャー・クラブの最年長。頼りないタイプで、専らトライポッドキャリアーの留守を守っていた。制圧後の地球においては、グラドス側の役人として服従する態度を示しつつ、レジスタンスに情報を流したり連絡役を務めたりしていた。イギリス人。
- エリザベス・クレブリー(演:戸田恵子)
- コズミック・カルチャー・クラブの引率者で、エイジと行動をともにした大人の中で唯一の生き残り。医師。平和主義者だったが、地球制圧後は地球解放戦線の中心人物として地球製SPT開発等で活躍。
- ジョン・ギルバート(演:藤城裕士)
- 国連宇宙本部の科学者で、コズミック・カルチャー・クラブの責任者。エイジの父、ケン・アスカと旧知の仲。制圧後の地球においては、地球解放戦線の中心人物として活躍し、地球製SPTの開発も手がけた。
- マッシュ(演:伊倉一恵)
- レジスタンスと行動をともにする少年。愛犬ガウと共に、アンナの側にいることが多い。
- レイ(演:原えりこ)
- レイズナーに搭載されたコンピューター・インターフェース(いわゆるOS)。エイジから指示を受ける際、了解の意味として「レディ!」と言葉を発する。ボイスコマンドシステムにより、対話形式での操縦や遠隔操作も可能。
- フォロン(演:原えりこ)
- レイズナーに搭載されているコンピューター人格。グラドス創世の秘密の伝承を使命とする。普段はレイの陰に隠れて表に出てこないが、レイズナーが危機に晒されると強制的にV-MAXを発動させ、自機を守る。
- アーマス・ゲイル (演:堀秀行)
- グラドス軍中尉。ジュリアの婚約者であり、エイジにとっても交流の深かったよき先輩であった。グラドスに反旗を翻したエイジを連れ戻すため、追跡隊を率いてエイジと交戦するが、フォロンの発動させたV-MAXに撃墜され宇宙に消える。
- アルバトロ・ミル・ジュリア・アスカ(演:横尾まり)
- エイジの姉。元々はエイジを説得する目的で地球に呼び寄せられたが、婚約者ゲイルの仇討ちとしてエイジ抹殺の任務を帯び、SPTブラッディカイザルに乗り込む。地球制圧後は、グラドス創世の秘密に触れて己のなすべきことを知り、グラドス人と地球人の共存を訴えて非暴力による運動を展開、「クスコの聖女」として民衆の支持を集めた。
- エジール・カルラ(演:佐々木るん)
- グラドス軍少尉。ゲイルの部下。ゲイルを愛するあまり、ジュリアを一方的に恋敵として憎み、エイジを仇として付け狙っている。地球制圧後は、クスコでの遺跡発掘の任務に当たっていた。
- ゴステロ(演:広瀬正志)
- グラドス軍大尉。レイズナーとの交戦で死亡するも、地球制圧後サイボーグになって復活、ル・カインの親衛隊・死鬼隊の一員となる。ジュリアに横恋慕し、そのためゲイルを激しく敵視していた。元々残虐な性格の狂戦士だったが、サイボーグになって以降はより異常性がエスカレート。ジュリアに出会い、単独行動した原因で電気壁付きの独房行き。後に強引に脱獄したが、死鬼隊からは見捨てられる。最後はエイジ、死鬼隊への復讐のために生身で特攻するが、作動不良のダンコフに踏み潰されるという呆気ない死に様(体がサイボーグなので壊れ様?)であった。頭が悪過ぎるのか、度々死鬼隊のリーダー気取りをしてマンジェロ達からバカにされる(他のメンバーも彼同様、バカの集団なのだが)。「やめられんなぁ、人殺しというのは」という彼の発言は本作でも強烈であり、衝撃的といえる名(迷?)台詞である。
- マンジェロ(演:塩屋浩三)
- 死鬼隊の一員。長髪の美形だが背は低い。顔に傷をつけられると激昂する。頭が悪い。
- ボーン(演:橋本晃一)
- 死鬼隊の一員。細身の長身。頭が悪い。
- ゲティ(演:佐藤正治)
- 死鬼隊の一員。筋肉隆々の大男。頭が悪い。
- ギウラ(演:三ツ矢雄二)
- グラドス軍大尉。地球侵攻時はSPTパイロットであったが、地球占領後はル・カインの下で地球人の取り締まりに当たっていた。少々、間抜け。
- グレスコ(演:渡部猛)
- グラドス軍地球侵攻艦隊司令。准将。地球占領後は最高責任者としてグラドス軍を統括していたが、地球の文化に感化された面が多々見られ、グラドス本星では「地球病」と揶揄されていた。グラドス創世の秘密を知る数少ない人物の一人。
- ル・カイン(演:塩沢兼人)
- グレスコ提督の息子。グラドス地球占領軍の司令官として地球に赴任した。グラドス至上主義者であり、地球の文化撲滅に力を注ぐ。同時に天才的なパイロット技術を持ち、SPTザカールを駆る。非常にプライドの高い自信家で、ジュリアに対し屈折した愛情を抱いている。終盤ではロアンの活躍もあって、グラドスの敗北が明らかになったが、その時は気が触れたかのような発狂ぶりを見せた。
[編集] 登場メカ
[編集] SPT
本作に登場する人間が搭乗する人型ロボットは、SPT(Super Powered Tracer)と呼ばれている。頭部にコックピットがあるのが特徴で、透明やそれに類するハッチ・カバーを持つため、有視界戦闘も可能。機動力が非常に高く、既存の地球製兵器では命中を望めない。登場するSPTは殆どがグラドス製だが、終盤では地球製のSPTも登場する。
SPTは、状況に応じて様々な武器やバックパック等を装備することが出来るため、汎用性が高い。戦闘用の装備としては主に、自由電子レーザー砲「レーザード・ライフル」と、拳に備え付けられている電磁破砕装置「ナックル・ショット」を用いる。動力源は燃料電池。電力は胸部バッテリーから供給され、機体駆動時には脚部パワージェネレーターより充電される。燃料タンクは脚部に有り、燃料の注入は踵部から行う。またバックパックにも予備タンクがある。
SPTの操縦管制は、統合型コンピューターによって行われる。高性能センサーと状況分析能力を有しており、音声での状況伝達から注意の喚起、場合によっては戦術の提案まで行う。また、音声入力による機体の操作も可能であるため、初心者でも簡単にSPTを動かす事が出来る。しかし、戦闘においてはパイロット自身の高度な状況判断が要求されるため、やはり初心者と熟練者との間では歴然とした実力差が生まれる。
- SPT-LZ-00X レイズナー
- 試作型の汎用SPT。主人公エイジが搭乗する、事実上のエイジ専用機。レーザード・ライフルとナックル・ショットの他に、ふくらはぎの部分に「カーフ・ミサイル」と呼ばれる小型ミサイルを装備している。さまざまな専用バックパックが存在していたが、火星脱出の際に一つを残して放棄された。機体管制は「レイ」と呼ばれるコンピュータが行っているが、その裏にもう一機「フォロン」と呼ばれるコンピュータ人格が隠されている。フォロンは「グラドス創生の秘密」の伝承と、緊急時のレイズナー機体保持を目的として作られており、レイズナーに危機が迫った時はV-MAX(後述)を発動させ、周囲の敵を無差別に殲滅する。
- 物語終盤、ル・カインの駆るザカールのV-MAXレッドパワーにより大ダメージを被るが、スラスターを増設した地球製の機体にレイ(とフォロン)を移植することにより、レッドパワーの動きと渡り合える様に強化された(E-SPT-LZ-00X-B Strengthen V-max LAYZNER:V-MAX強化型レイズナー、作中では「ニューレイズナー」とも呼称)。
- アニメ雑誌等では、飛行機形態に変形できる後継機・レイズナーMk.IIのデザインも公開されていた。急な打ち切りのため幻の機体となってしまったが、1996年に発売されたゲーム『新スーパーロボット大戦』にレイズナーが参戦した際に登場し、日の目を見ることとなった。その後レイズナーは何作かのスーパーロボット大戦シリーズに出演しているが、その場合はレイズナーの後継機として、強化型とMK.IIのどちらかを選択できるようになっていることが多い。ちなみにMk.IIのV-MAX機能は「V-MAXIMUM」と名を変えられている。
- SPT-BB-02U ベイブル
- エイジがレイズナーと共に宇宙船に積んできた試作型SPTの一体。パーツの多くがレイズナーと共通だが、格闘戦を想定されていたことから装甲はやや厚くなっている。デビット・ラザフォードが搭乗する。宇宙用バックパックSP-02D型を常備している。格闘戦に特化した機体のためキャノピーが狭いのが特徴。第一部終了後、バルディと共にグラドス側に接収され、『ベイブル奪回作戦』においてグラドス側の策略により爆破された。元はレイズナーのデザイン案のひとつ。
- SPT-BD-03U バルディ
- エイジがレイズナーと共に宇宙船に積んできた試作型SPTの一体。パーツの多くがレイズナーと共通だが、砲撃戦を想定されていたからか装甲はやや薄くなっている。ロアン・デミトリッヒが搭乗する。通常のレーザード・ライフルに代えてレーザード・マシンガンを装備し、右肩には高密度エネルギー砲が備え付けられている。また、広範囲の視界を得られるようドーム型のキャノピーを有しており、射撃や砲撃に特化した仕様の機体となっている。第一部終了後、ベイブルと共にグラドス側に接収された。ベイブルと同じく、元はレイズナーの没デザインのひとつ。
- E-SPT-DL-X ドール
- エリザベスらが中心になり、グラドス製SPTドトールをモデルに製作した初の地球製SPT。物語終盤に登場し、デビットやシモーヌの他、レジスタンスのメンバーが搭乗する。バックパックを台にした大型の砲架を持ちローラーで移動する通常形態から、バックパックを背中に廻し空を飛べる飛行形態に変形可能。砲座形式のレーザードライフルのほか、折りたたみ式の大型シールドと一体化したナックルショットを装備する。試作時の名称は「ロードラナー」。
- SPT-GK-10U グライムカイザル
- アーマス・ゲイルが搭乗する上級士官用SPT。大気圏外での戦闘を得意とする。その出力はレイズナーを上回るが、V-MAXにより暴走するレイズナーに撃墜された。
- SPT-BK-10U ブラッディカイザル
- エイジの姉、ジュリアが搭乗する。グライムカイザルを赤くペイントした同型機。恋人ゲイルの仇を誓う復讐の色にその身を染めている。
- SPT-BG-91U ブルグレン
- 前期、ゴステロが搭乗していたSPT。ハイパワータイプで、重力下での対地攻撃を得意とする。
- SPT-BV-15C ブレイバー
- グラドス軍の標準タイプとも言えるSPT。安定性が高く、熟練度の低い兵士にも扱いやすい。
- SPT-DM-20C ディマージュ
- 宇宙・空中戦用SPT。現用SPT随一の高速を誇る。カルラやギウラなど、主に幹部が搭乗。
- SPT-DT-25C ドトール
- グラドス初期型SPT。車輪を備えた地上用バックパックを常備し、踵部のローラーとあわせ地上を高速走行をする。バックパックを宇宙戦用に換装すれば、宇宙戦もこなせる。
- SPT-ZK-53U ザカール
- レイズナーを元に開発されたグラドス製最新鋭SPT。ル・カイン専用機。ゴールド・メタリックに輝くボディカラーが特徴。V-MAXを標準装備している。レイズナーを上回る基本性能に加え、特殊な推進剤を加えることで従来より15%以上威力を増したV-MAX・スーパーチャージ(別称レッドパワー)を装備している。
[編集] MF
SPTから汎用性を省き、用途を特化して造られた機体を MF(Multi Form)と呼ぶ。地球侵攻においても、局地専用にカスタマイズされた機体が投入されていた。バックパックシステムを廃しており、可変型の機体もある。
- MF-SL-52C ソロムコ
- 大気圏内戦闘用MF 、SPT以上の大気圏内機動力を持つ航空機形態を取ることが出来る。
- MF-GS-54C ガンステイド
- 物語の後半に登場した重MF。外装(アーマー)に多大な砲撃システムを搭載するが、この外装を強制排除すると白兵戦もこなせる。シモーヌ曰く「グラドスの着せ替え人形」。
- MF-DJ-91U ダルジャン
- 死鬼隊の一員となったゴステロの専用MF。メタルクロー(左腕)、レーザード・バズソー(左肩収納)等の格闘兵装を多数装備した機体。マンジェロの分析によると、通常時のレイズナーの運動性を8%凌駕する性能を有するという。死鬼隊を裏切り逃亡した咎により、残りの3機によって破壊される。
- MF-MC-73U ガッシュラン
- 死鬼隊の一員、マンジェロ専用のMF。機動性が非常に高い。足の鈎爪で相手のSPTに取り付き、ハード・コーン(右肘・ドリル)、スクイーズ・アーム(左腕・万力)などを用いて、頭上からコクピットを破壊する戦法に特化された機体である。胸部には固定武装のバルカンを2門有する。死鬼隊のリーダー格としてレイズナーを苦しめた。失敗の穴埋めにと外装型V-MAXを搭載し、ル・カインから最後のチャンスを与えられ善戦するも、レイズナーとの同士討ちを狙うDr.ニゾンの奸計に陥れられ自爆する。
- MF-ED-52U エルダール
- 死鬼隊の一員、ボーン専用のMF。変幻自在の触手・スネークドリルを搭載。また、外装オプションとして火炎放射機も装備できる。最後は、レイズナーのV-MAXにより制御を失ったガッシュランのハード・コーンに貫かれて爆発する。
- MF-DK-61U ダンコフ
- 死鬼隊の一員、ゲティ専用のMF。両肩の大型キャノン・オーバーレイアーティラリーと、腿の部分に収納したパワーナックルを主武装にする。機雷散布バックパックを背部に備え、それを用いてレイズナーのV-MAXを封じ、エイジを苦しめた。しかしゴステロの介入により脚部関節を破壊され、エルダールのスネーク・ドリルに対する盾にされて破壊された。
- (注記)
- 型式番号の様なものは地球側の識別記号で、地球側が確認した順番に設定していったため、グラドスにおいて開発された順番とは異なる。なお、末尾のアルファベットのXは試作機、Uは特殊機、Cは量産機を表す。
[編集] TS
無人機。Terror Strikerの略称。
- TS-SG-50C スカルガンナー
- 月面で遭遇したTS。基本的に対人用で、対SPT攻撃力は高くない。周囲の人間を全て抹殺するようにプログラムされている。無人なので機動性はSPTを遙かに凌ぎ、機体の一部を破壊されてもしつこく攻撃してくる。また頭部だけになっても、残った他機体を遠隔操作して攻撃してくる。ただし無人機であるためか、周囲の状況の変化に臨機応変に対応することが出来ない。
- TS-TP-50D ターミネーターポリス
- 占領後の地球において、治安維持に使用されるTS。対象を識別する機能を備えているが、識別に手間取ることがあるため、スカルガンナーほどには手強くない。
[編集] その他
- トライポッドキャリアー
- エイジが乗ってきた宇宙船。その名の通り3本脚の構造を持つ。大気圏内航行時は足を畳んで飛び、宇宙空間航行時や着陸時は足を開く。この脚部に一台ずつSPTを搭載することが可能で、バックパック換装機能等を持ち、一通りの整備が出来る。シャトルとしても使用される。大気圏突入・突破能力は持っているが、星系内航行能力しかもっておらず、超光速航法は行えない。
- グラドス軍宇宙艦
- グレスコが指揮する地球侵略軍の艦艇。巨大なアイロンのような形をしており、突起部が少ない形状をしている。超光速航法が可能。多くのSPTを搭載する母艦としての機能も持つ。
- 地球側宇宙艦
- 米ソ両国がそれぞれ保有。ビーム砲を搭載しているが、SPTの前には無力であった。
- グラドスの刻印
- 巨大な円筒形のメカ。古代に地球を訪れたグラドス人が残した装置で、空間を歪曲させ地球とグラドスの間の航行を遮断させることができる。
[編集] V-MAX
V-MAXとは、SPTにおける特殊自己防衛プログラム及びそれに伴う非常時高速戦闘システムの名称である。元々は、戦域から緊急離脱し、自機の安全を確保することを第一の目的に開発された特殊機能であった。そのため、発動時には全身のスラスターがフル稼働し、機体の出力が格段に跳ね上がる。レイズナーが発射したカーフ・ミサイルを自ら追い抜き、手前のスカルガンナーをナックル・ショットで排除した後、奥のスカルガンナーにミサイルを命中させるといった、離れ業とも言える高機動戦闘も可能となる。また、バリアの役目をする電磁波とLCMパウダーとで全身が覆われるため、それを生かした体当たり攻撃などを行うも出来た。しかし、莫大なエネルギーを使用するため発熱量が非常に高く、発動後、機体は強制的に放熱体勢に入る。その間は全く身動きが取れない。
物語当初は実験段階であり、乗りこなせるパイロットがいなかった。レイズナーに試作型が搭載されていたものの、その機構は凍結されていたため、レイにもその存在を認識されていなかった。だが、ゴステロやゲイルの攻撃から自機を守るため、フォロンの手により強制的に発動。その後、フォロンからレイに機能が委ねられ、エイジの自由意志で発動させることが可能となった。
なお、V-MAXは特殊な推進剤を加えることにより、従来より15%以上出力を向上させることが可能になっている。これはスーパーチャージ(レッドパワー)と呼ばれ、ル・カインがザカールで運用している。
[編集] サブタイトル
- あかい星にて
- 彼の名はエイジ
- その瞳を信じて
- 心のこしての脱出
- 守られても、なお・・・
- とり残されて
- 血はあかかった
- 彼の叫びに応えて
- 生きる道を求めて
- エイジ?!と呼んだ
- 地球の艦が来た!
- さよならの赤い星
- 宇宙にむなしく
- 異星人に囚われて
- 蒼き流星となって
- 月よ! こたえて
- 群がる殺人機
- そして地球へ
- 届かぬ思い
- レイズナーの怒り
- 我が名はフォロン
- フォロンとの対決
- 奇跡を求めて
- 光になったエイジ
- 駆け抜けた宇宙(前半の総集編)
- 時は流れた!
- 華麗なるル・カイン
- クスコの聖女
- 再会・謎の招待状
- ベイブル奪還作戦
- 仕組まれた聖戦
- ああ、ゴステロ
- 死鬼隊の挑戦
- 狙われたアンナ
- グラドスの刻印
- 敵V-MAX発動
- エイジ対ル・カイン
- 歪む宇宙
- OVA
- ACT-I 「エイジ1996」 TV1~24話の総集編
- ACT-II 「ル・カイン1999」 TV25~38話の総集編
- ACT-III 「刻印2000」 TVで放映されなかった真の結末の映像化。1986年10月21日発売。
2001年にはVAPよりDVDBOXとして9月にBOX-1(6枚組)、12月にBOX-2(5枚組)がそれぞれ発売。
[編集] 打ち切りについて
放映当時から本作の人気は非常に高く、社会現象にもなった怪物番組『夕やけニャンニャン』を裏番組に持ちながらも、10%前後という高い平均視聴率を記録していた。しかし、1985年末~1986年初頭にかけて発覚したサンヨー石油ファンヒーター一酸化炭素中毒事故により、2クールをもって三洋電機がスポンサーを降板。さらにタイアップのプラモデルの売れ行きが不振(後述)であったことも重なり、メインスポンサーであったバンダイの意向で、本作は38話で急遽打ち切りとなった。「元々2クールで完了の予定を4クールに延長したが、最終的には3クールまでの延長となった。なので打ち切りではない」というのが公式の説明であるが、元々4クールの予定であったものが3クールに短縮されたとも言われており、現在ではその説が最も有力視されている。
放送上の最終回である38話には、打ち切り前に予定されていた最終回がそのまま放映された。そのため直前の37話と話の内容が全く繋がらず(37話でザカールによって大破させられたはずのレイズナーが、何事もなかったかの様に修復されザカールと互角の戦闘を繰り広げた、など)、視聴者の多大な混乱を招いた。これは、打ち切り決定の通知がストーリー構成の修正が不可能な時期に入ってから唐突に制作スタッフに伝えられたためとされており、スタッフのみならずファンへの配慮を明らかに欠いた行為であると、スポンサーであるバンダイへの批判が集中した。キー局だった日本テレビの親会社である読売新聞の当時の読者欄にも、同様の意見を記した読者からの投書が掲載されている。
放映終了後、カットされた部分のストーリーが見たいという視聴者の要望が高まり、東芝映像ソフト(現・東芝エンタテインメント)からOVAが全3巻発売され、テレビシリーズでは描かれなかった部分が第3巻で映像化されている。
また高橋良輔監督は、放映終了後のインタビューで、本来予定していた最終回までの展開(放送での最終回以降の展開)の構想を語っている。その内容は、刻印発動後の地球におけるグラドス人差別を憂慮したエイジが、レイズナーMk.IIを駆ってグラドス本星に戻り、グラドス人と地球人のルーツが同じであるという確かな証拠を求めて奔走、同時にその証拠をもってグラドス本星政府の支配体制から市民を解放するというものだった。
高橋良輔監督、植田益朗プロデューサーは、打ち切り直後にラジオ番組「スターチャイルド」にゲスト出演し、「重労働が終わって楽にはなったけど、マラソンと同じで完走したかったですね」と無念を語っていた。
[編集] ゲーム
- スーパーロボット大戦シリーズ
- サンライズ英雄譚シリーズ
- サンライズ英雄譚
- サンライズ英雄譚R
- サンライズ英雄譚2
- S.W.W.(サンライズ・ワールド・ウォー)
- Another Century's Episodeシリーズ
- Another Century's Episode
- Another Century's Episode2
『サンライズ英雄譚』及び『A.C.E』シリーズでは、ル・カイン役の塩沢兼人が鬼籍に入っているため、加瀬康之が代役を務めている(スーパーロボット大戦シリーズにおいては、現在でも生前に収録した声を使い回している)。
[編集] プラモデル
放映当時、バンダイから1/72、1/100スケールで発売された。現在では主流となっている、接着剤を用いないスナップフィットモデルの初採用、透明パーツが多用されている、レイズナーのふくらはぎの巡航ミサイル(カーフミサイル)が分離し羽根が展開する(1/72)、劇中通りにバックパックの入れ替えが可能、などバンダイの技術の蓄積もありキャラクターキットとしてはある程度の水準の商品であった。しかし主役機レイズナーの、頭部の半分が透明キャノピーで覆われているというデザインを再現するはずの透明パーツは多少分厚く、成形色も濃く劇中のイメージとは異なる印象を受けたユーザーが少なからずいた。なおかつ設定画では比較的頭部が大きめに描かれていたが、キットでは比較的頭部の小さい作画設定画での劇中寄りのヒーロー体型となっていたが、その徹底はなされておらず。設定派、作画派どちらの支持も得られない結果となった。1/72では武器のレーザードライフルがダイキャストによる金属製であり、重量感はあったものの、持たせるとポーズを保持できず安定しないという指摘もあった。1/100キットのレイズナーでは開かずに残るはずの前1/3程度のキャノピーが後部キャノピーと一体となって丸ごと開くようになっているなど廉価版の印象を強くした。
ストーリーや作画の完成度の高さから、本編はハイティーン層を中心に熱烈な支持を集めたが、肝心のプラモデルの出来が意外にも粗悪なものであったために、商品の売上は芳しくなかった。また丁度この時期、ファミコンの大ヒットによって男児の購買趣向がキャラクター商品から家庭用ゲームに移行しており、関連商品の売上が不振だった理由は、それら二つの要因の複合によるものであったと分析されている。
なお2006年の9月16日にバンダイから「リアルロボットレボリューション」(通称 R3)のシリーズ第一弾として1/48スケールの新作キットが発売された。BEE-CRAFTによって現代風にアップデートされたプロポーションにギミックと可動範囲が増え、V-MAX発動後のハッチオープン(強制冷却)モードの再現が可能となっているなど、ガンプラで培った同社の最新技術が惜しみなく注ぎ込まれている。だが作画寄りと見られていたスタイリングは、またもや設定版との折衷により、本編で設定寄りの凡庸な作画に終始したスタジオダブ版に強く類似し、オフィシャルである作画用設定を起したメイン作画スタジオ アニメアールの吉田徹や沖浦啓之の巧みな造形とも、またはゲスト参加ながら印象的なスタジオZ5の佐藤千春版とも大きく乖離したもので劇中のハイライトシーンの再現は困難であり作画派の落胆を買うこととなった。
日本テレビ 木曜17:30枠 | ||
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前番組 | 蒼き流星SPTレイズナー | 次番組 |
兄弟拳バイクロッサー | 新・エースをねらえ!(再放送) |