犯罪報道
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[編集] 目的
- 犯罪の特別予防効果
- 犯罪者の実名や生い立ち、犯行内容を報道することによって犯罪者に社会的制裁を加え再犯予防を図る。
- 犯罪の一般予防効果
- 犯罪者の実名や生い立ち、量刑を報道することによって市民に対して犯罪を起こすことが割の合わないことだということを周知する。
- 公権力の監視
- 捜査機関が適正に捜査し、被疑者の人権が守られているかどうか監視する。
- 犯罪の再発防止
- 捜査機関からの発表や裁判から犯罪の原因を分析し犯罪が二度と起こらないよう提言する。
- 犯人逮捕への協力
- 逃亡中の犯人について報道することによって、逮捕への市民の協力を求める。
- 犯罪被害者の救済
- 犯罪被害者の苦しみを取り上げることにより、犯罪被害者への救済措置や厳罰化を実現する。
[編集] 弊害
- 集中的加熱報道
- 報道機関は営利企業のため、社会的に注目されやすい凶悪犯罪に集中して報道する傾向がある。しかしこのことが市民に過度の不安を与え、実際は治安が悪化していないにもかかわらず悪化しているかのように感じさせてしまうことがある(モラル・パニック)。
- 日本では報道番組の長時間化・ワイドショー化によってこの傾向が強まっており、2000年の少年犯罪報道や2006年の飲酒運転報道、いじめ報道が代表的である。
- 犯罪の誘発
- 犯罪の手口を詳細に報道することによって類似犯罪を誘発する危険性が指摘されている。
- 捜査機関との癒着
- 日本の報道機関は原則として記者クラブ加盟社しか警察発表に参加することができず、警察など捜査機関との癒着が生じやすい。結果として不当捜査や捜査の怠慢を見過ごしてしまいがちである。
- 報道機関の懲罰機関化
- 民間企業に過ぎない報道機関には犯罪者を制裁する権限は無いが、実際には被疑者・犯罪者の実名や生い立ちを詳細に報道することによって制裁となっていることが多く、日本では推定無罪が徹底されていないために被疑者への犯人視報道が行われることが多い。
- 近年では被害者の存在がクローズアップされており、被害者の怒りを集中的に報道することが市民の被疑者・犯罪者への憎悪を煽っているとの指摘もある。
[編集] 日本の犯罪報道の現状
逮捕段階での報道が重視され、被害者や被疑者のプライバシーを暴くことが行われている。被疑者の卒業文集を報道することによって被疑者の人間性の変化を探ることも行われている。
過去、冤罪事件が何件か起きているがそれでもマスコミは犯人視報道を改めようとはしない。理由としては精密司法をとる日本では有罪になる可能性の高い事件しか逮捕・起訴しないこと、損害賠償請求訴訟の賠償額が低くマスコミにとっては痛手にならない金額であることなどが挙げられる。