社会的制裁
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社会的制裁(しゃかいてきせいさい)とは法によらない社会構成員からの制裁行為。村八分などは社会的制裁の一例である。
学術上、社会的制裁は、刑事政策学等の分野で研究の蓄積がある。また、社会学や政治学では、逸脱行動と関連して概念の整理がなされている。
[編集] マスコミによる社会的制裁
マスコミが、犯罪を犯した人間に対して、メディアで実名報道を行ったり、その情報により個人攻撃(意識的、無意識的)が行なわれたりすることで、当該犯罪者が社会的に制裁されたとみなされる状況を作り出すことがある。メディア・リンチとも呼ばれる。
マスコミによる社会的制裁の影響は大きく、特に冤罪の場合は問題が大きい。「ペンの暴力」とも呼ばれる。そのため、報道においては多大の注意・慎重さが必要になるものであり、かつそのように求められている。
しかし、現実には、マスコミの不明瞭な基準によりプライバシーの暴露がなされたり、偏向報道と思われる報道などにより社会的制裁が行なわれることがある。マスコミの冤罪報道による不適切な社会制裁(報道被害)が起こった例としては、松本サリン事件の第一通報者や、堺市でのO157食中毒事件でのカイワレ大根業者、『ニュースステーション』久米宏による所沢市高濃度ダイオキシン検出報道での野菜農家などが挙げられる。これらはいずれも誤報であったが、報道された者は殺人の加害者扱いされたり、廃業や風評被害がおこった。
マスコミの社会的制裁の手段としては他にも、義務教育の学校の卒業文集や、卒業アルバムの写真などを載せることもあり、それらを興味本位で流すマスコミのデリカシーの無さと相まって、正当性には疑いが持たれている。
そもそも私企業に過ぎないマスコミが社会的制裁の担い手となることに対しては異論も多い。
[編集] 司法での社会的制裁
裁判所で裁判官が判決を言い渡す時に、社会的制裁を受けたことを減軽事由にすることがある。