武具
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武具(ぶぐ)とは、所謂武器・兵器とほぼ同義だが、その中でも白兵戦や格闘戦などの戦闘の際に用いられる武器や防具ほか、シンボル的存在の軍旗、(幟旗等)軍艦旗や纏、指揮用具である軍配団扇、采配の他に火薬フラスコ、馬具等、戦の身の回り品等を含め、特に日本語としての武具は歴史的軍装品を武具と云う場合が多い。当記事では、この道具を持って武具とする。
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[編集] 概要
武具は個人が個人を相手に戦闘する場合に用いられる道具である。これらの道具は直接相手に損害を与える武器と、自分が相手からの攻撃で損害を被らないための防具に大別され、武器はより大きい損害を与え、防具は可能な限りの防衛を可能にするために研究・発展して来た歴史を持つ。
この際、武術に用いられる道具が武具となるが、日本ではこれらの大半は、相手に損害を与えるための武器が多く、逆に鎧・甲冑・盾といった盾はほとんど用いられない。これは優れた武術の使い手に成る程、武具を盾として用いて、相手の攻撃を避ける事が可能になるためと、最終的に首をとるため組討になるためである。弓矢による一斉掃射や今日の銃撃戦などの近代戦のを受けたら、流石にひとたまりも無いとは云えども、騎馬戦や白兵戦における武具の有無は、一騎当千という言葉に誇張があるとはいえ、数の不利を個人の力量でおぎなうことも可能であった。
[編集] 拳法
拳法は徒手空拳、つまり手ぶらの状態で相手を打ちのめす事を目的とした格闘技全般を指す言葉であるが、次第に身近で入手しやすい物を取り入れた中国武術へと発展してきた歴史を持つ。もっとも、空手やアジア諸国で発展した拳法の原点は、戦場で武器を持った相手を、素手で打ち倒す事を目的に発展してきた物だけに、双方の歴史は不可分であるとも言える。
そして武術の発展に伴い、様々な武具が開発され、実用に供されたり、スポーツとしての武道に用いられてきた歴史を持つ。
[編集] 武具の思想
武具はその発展経緯より、攻撃に用いる道具であると共に、攻撃を防ぐための道具である物が多い。中には、攻撃のための打撃の際に受ける衝撃を和らげる物や、防御に特化して相手の攻撃を封じるために用いる物や、相手の武器そのものを攻撃するために存在する物もある。
これらの道具は上手に扱うには、それなりの技能を必要とするが、その一方で取り回しに便利なよう、程よい大きさになっている物がほとんどである。例えば棒術や杖術に用いられる棒であるが、大抵の場合において、最も扱い易い長さは、使用者の乳首の位置であるとする説が有力である。今日でも乳切棒という言葉に残るこの長さの棒は、振り回して良し・打ち下ろして良し・突いて良し・絡めて良しと、ほぼ万能に用いる事が可能であるとされる。
[編集] 使用方法
これらの道具の扱い方は、人間の道具である以上、人間が扱うために、人間が可能な動作によって操られる。 その基本的な動作は主に以下にのべる。
[編集] 攻撃
- 振り下ろし
- 棒状の武具における、もっとも簡単な攻撃法である。打撃面が線になるため、相手に受け止められたりする事に繋がり易いが威力もあり、防御に切り替えやすい。
- 打ち込む
- 振り下ろしに前進する力を加える事で、打撃力を増加させる。相手の間合いに飛び込む事になるので、事前に隙を作っておかないと、返り討ちに遭う。
- 撥ね上げる
- 振り下ろしよりも打撃力に欠けるが、比較的死角からの攻撃が行いやすい。しかしこちらの防御に問題が出る。
- 突く
- 先端部の、狭い面積に打撃を集中させる事で、対象に与えるダメージを増強する。特に正確に急所を狙った場合の打撃力は格段に威力が倍加するが、逆に外れやすく、その場合に、相手に武具を掴まれる危険が伴う。しかし速度が付き易く、打撃面が点となるため、受け止められ難い。
- 薙ぎ払う
- 動作が大きいため、隙も生まれやすく、間合いに入られると対処し難いが、攻撃範囲が面になるため、広範囲をカバーしやすい。攻撃と防御を同時に行えるという効果もある。
[編集] 防御
- 払う
- 相手の突きや振り下ろしをかわす基本的な動作で、特に急所への攻撃を逸らして、此方が攻撃する隙を作るためにも用いられる。
- 絡める
- 相手の手足や武器に、此方の武器を引っ掛け、一時的に武具を使えなくする。こちらの武具も使い難い状態になるが、この際に相手の武器を払い除ける等の動作を組み合わせる事で、大きな隙を作る事にも繋げられる。
- 払い除ける
- 構えた相手の武器を狙って攻撃を行う事で、隙を作り出す事が出来るが、外せばこちらに大きな隙が生まれる。
- 受け止める
- 振り下ろされたり打ち込まれた攻撃を完全に止めてしまう事だが、こちらの武具の打撃耐久性が無いと、武具を失う事になる。反面、完全に受け止めてから払い除ければ、より大きな隙を相手に作らせられる。
[編集] 大きさの基準
この乳切棒を含め、標準的な長さの単位では以下の体の長さが基準となる。中途半端に長かったりすると、逆に使い辛い事もある。
- 掌の中指先端から手首の手前まで
- 手に握った際に先端が飛び出す長さ。突いたり腕を打ち下ろして用いる。
- 手から肘までの長さ
- 手に持ったり、手首に宛がったりして用いる・手に持ったまま、自由に向きを変え易い他、相手からの攻撃を受け止めやすい。特に防御に向く大きさであると同時に、攻撃範囲が比較的広く、突く・打つ・払う・絡めるといった、様々な技に用いやすい。
- 腕全体の長さ
- 比較的取り回しに技術を要するが、相手の攻撃をなぎ払ったり、攻撃を避けて打ち込む際の攻撃到達距離を飛躍的に伸ばす。技量次第では、前後左右上下の全方向をカバーする事が出来る。
- 踵から腰までの高さ
- 腕全体の長さの物にほぼ準じるが、特に振り回す種類の物に向く長さで、打ち据えたり払ったりする事が出来るが、取り回しにやや難があり、複数を相手にする場合は注意が必要となる。
- 踵から乳首までの高さ
- 広範囲を攻撃しやすい他、守りにも転じやすい。しかし防御に隙が出来やすく、複数を相手にするのには、相当の技量を必要とする。
- 身長よりやや高い程度(俗に云う「六尺(180cm)」)
- 突いたり打ったり薙ぎ払ったりといった動作を行い易いが、反面取り回しが大振りになる。このため、攻撃も防御も散発的になりやすいため、攻撃範囲の広さを利用して、相手を近付けないようにして用いる。大型であるため、扱いが難しく、また疲れやすい。狭い場所では絶望的に扱い難い。
[編集] 武具の一覧
以下に挙げるものは、現代における洋の東西を問わない分類であるが、現代においては格闘術の中に用いられている物を含む。