国鉄キハ31形気動車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
キハ31形気動車（キハ31がたきどうしゃ）は日本国有鉄道（国鉄）、及び九州旅客鉄道（JR九州）が製造した一般形気動車。
目次 |
[編集] 車両解説
1987年（昭和62年）の分割民営化に先立ち、九州地区の老朽車両の取替えを促進し、経営基盤の整備を図る目的で製造された一般形気動車である。車体を軽量ステンレス製とし、部品には廃車発生品やバス用汎用品などを多用して軽量化と製造コスト低減を図っている。またワンマン運転にも対応し、ワンマン運転用機器が容易に取り付けられるような構造としている。
1986年（昭和61年）末から国鉄分割民営化実施までに、20両（1～20）が新潟鐵工所（現・新潟トランシス）、富士重工業（現在は鉄道部門を新潟トランシスに譲渡）で製造された。全車が九州旅客鉄道（JR九州）に承継された後、民営化後の1988年（昭和63年）3月に3両（21～23）が追加製造されている。
[編集] 車体
九州に多数存在する急勾配区間での使用に備えて軽量化を図り、重量あたりの出力を高くとるという目的から、軽量ステンレス車体を採用している。あわせて車体長さを従来車標準の20mから17mに短縮している。
側面は1段上昇窓が並んでいる。客用扉とドアエンジンはバス用の2枚折戸を使用しており、自動・半自動の切り替えが可能である。半自動ドアはボタンで操作する方式である。先述のようにワンマン運転を考慮していることから、客用扉は車端部に配置している。運転室は半室構造となったため、乗務員用扉は運転室側側面のみに設けている。行き先案内は行先票（サボ）によるもので、側面中央部窓下にサボ受けを取り付けている。
前面はキハ54形とほぼ同じ様式で、中央に貫通扉を配した3枚窓である。貫通扉上に前照灯を設け、運転室窓上に方向幕を設置している。方向幕はバス用の手動式幕である。
塗装は前面と側面の裾部分および側面上部に青色の帯を配している。
[編集] 台車・機器
エンジンはキハ37形で採用された新潟鐵工所（現・新潟原動機）製の直噴式DMF13Sを横型に設計変更したDMF13HS形（250PS/1900rpm）を1基搭載している。液体変速機は従来車の廃車発生品のTC2AおよびDF115Aを再利用している。
台車も廃車発生品の金属バネ台車のDT22形（動力台車）・TR51形（付随台車）を再利用しているが、小改造を施し、形式をDT22G、TR51Eとしている。またブレーキ装置もキハ58系まで採用されていたものと同一仕様のために、最高速度は95km/hに制限されている。
在来一般形気動車との併結運転が可能な構造となっている。
[編集] 車内設備
|
座席は長距離乗車を考慮し、新幹線0系電車の廃車発生品の転換クロスシートを改造した座席を使用しているが、一方を2人掛け、もう一方を1人掛けとした3列座席とし、通路幅を確保している。ワンマン運転に対応するため、運賃箱や運賃表示器、整理券発行機を容易に設置できるような室内構成となっており、運転室も低い位置に設けられ、室内を広く見渡せる構造としている（のちに全車がワンマン運転対応化改造を受けた）。なお後から追加製造された21～23は座席が0系電車の発生品ではなく、新製のものとなっており、3列配置の転換クロスシートではあるが、その形状は1～20と全く異なる。また、かつて大分に配置されていたものの中に、ドア付近の一部を除いてロングシート化改造を受けたものが存在する。
冷房装置は国鉄キハ38形気動車と同様、エンジン直結式のものを装備している。弱い冷房能力をカバーするため、扇風機も併設している。
トイレは設けられていないが、乗り通すと2時間を越える上に運行本数が少ない路線の運用にもついている（豊肥本線、肥薩線など）。
[編集] 運用
当初は熊本運転所（現・熊本鉄道事業部熊本運輸センター）に11両、唐津運輸区（唐津鉄道事業部唐津運輸センター）に7両、大分運転所（現・大分鉄道事業部大分車両センター）に2両が配置された。しかし、民営化後間もない1988年3月13日のダイヤ改正により、香椎線と三角線でのワンマン運転が実施されるのを前に、唐津配置の車両はすべて竹下気動車区に4両、長崎運転所に3両が転属し、あわせて新製車3両が竹下に配置された。
その後、キハ200系の新製と、香椎線での車内収受方式によるワンマン運転の中止により、1995年までに竹下と長崎からは撤退し、熊本鉄道事業部（人吉運用を含む）と大分鉄道事業部に集められた。その後4両が日南鉄道事業部に転属している。また肥薩線の観光列車「九千坊号」に使用される車両は一部座席の背もたれを向かい合わせに固定し、その座席の座布団を取り外して代わりに畳敷きの床板をはめ込んでいる。
なお、2004年3月13日のダイヤ改正で急行「くまがわ」が廃止され、同列車用車両のくま川鉄道線への乗入れが廃止されたことから、同線の朝ラッシュ時の輸送力確保のために1両（20）がくま川鉄道へ譲渡された。同社での呼称はKT31形（311）である。
2006年、大分、鹿児島（日南）所属の車両が筑豊篠栗鉄道事業部に転属し、同年8月1日より使用されている。
[編集] 現況
JR九州のキハ31形の現在の配置と運用は、以下のようになっている。
- 筑豊篠栗鉄道事業部
- 2006年8月1日より使用開始。14両が配置され、おもに筑豊本線折尾～若松間（若松線）、同桂川～原田間（原田線）、後藤寺線で使用されている。尚、後藤寺線に関しては篠栗線との関連で新製当初から平成7年まで運用についていたので、久々の復活となった。
- 熊本鉄道事業部熊本運輸センター
- ?両が配置され、豊肥本線、三角線、肥薩線で使用されている。
[編集] 諸元
- 機関：DMF13HS（250馬力、1基搭載）
- 最高速度：95km/h
- 車体長：17m
- 軽量ステンレス製
- 冷房装備（駆動エンジン直結式）
| 日本国有鉄道（鉄道省）の気動車 |
|---|
| 蒸気動車 |
| キハ6400形 |
| 鉄道省制式気動車 |
| キハニ5000形・キハニ36450形・キハ40000形・キハ41000形・キハ42000形・キハ43000形 |
| 機械式一般形気動車 |
| キハ04形・キハ07形 |
| 電気式一般形気動車 |
| キハ44000系 |
| 液体式一般形気動車 |
| キハ44500形・キハ10系・キハ20系・キハ31形・キハ32形・キハ54形 |
| 機械式レールバス |
| キハ01系 |
| 客車改造液体式一般形気動車 |
| キハ08系 |
| 液体式近郊形気動車 |
| キハ45系・キハ66系・キハ40系II |
| 液体式通勤形気動車 |
| キハ35系・キハ37形・キハ38形 |
| 液体式準急形気動車 |
| キハ55系・キハ60系 |
| 液体式急行形気動車 |
| キハ56系・キハ57系・キハ58系・キハ65形・キハ90系 |
| 液体式特急形気動車 |
| キハ80系・キハ181系・キハ183系・キハ185系 |
| 試作車／事業用車／試験車 |
| キワ90形・キヤ92形・キヤ191系・キハ391系 |
- JR九州の在来線車両 （■国鉄引継車を含む全一覧 / ■カテゴリ） ■Template ■ノート
 |
この「国鉄キハ31形気動車」は、鉄道に関連した書きかけ項目です。 この記事を加筆・訂正などして下さる協力者を求めています。（ポータル 鉄道/ウィキプロジェクト 鉄道） |
