光通信
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
光通信(ひかりつうしん)とは、光ケーブルなどを使用して光伝送により有線通信することである。
目次 |
[編集] 特徴
これまで通信用に使われてきた電線(銅線)や電波による無線通信に比べ、以下の特徴がある。
[編集] 用途
- 音楽・ビデオ伝送用 : プラスチックSI型光ケーブルとLEDを用いて、400Mbpsで10mの通信が可能で安価なもの。
- LAN伝送用 : プラスチックGI型光ケーブルと半導体レーザーを用いて10Gbpsで100mの通信が可能で安価なもの。ガラスGI型光ケーブルと半導体レーザーを用いて10Gbpsで500mの通信が可能で比較的高価なもの。
- ノイズの多い工場などでの伝送用 : 光モデムとガラスGI型光ケーブルと半導体レーザーを利用した10Mbpsで1~2kmの通信が可能なもの。
- 長距離回線 : ガラスSM型光ケーブルと半導体レーザーを用いて、高速で信頼性の高い通信が可能な高価なもの。
[編集] 日本での歴史
- 1980年代初頭より使われてきた。初期の用途はLANなどのコンピュータ同士の通信などに限られていた。
- 1980年代中期になると日本電信電話公社(現在のNTTグループ)から光専用線・ISDN1500が一般企業向けに開始され、光モデムがアナログ回線用モデムに置き換わることが多くなる。しばらくして、1本の光ファイバーで複数の通信を行う多重化装置が導入され、企業のマルチメディア化が進むこととなる。
- 1988年のソウルオリンピックの直前に、全都道府県の県庁所在地に光ケーブルの敷設が到達し、通信社がこれを利用することとなる。
- 2000年代に入り、光波長多重通信による幹線部分の高速化が行われるようになり、企業向け回線の高速化も進展した。また、多チャンネルの動画を高速に高品質で配信できる特徴を生かして、ケーブルテレビの幹線部分に使用されるようになっている。さらに、光ケーブルの低価格化にともなって、FTTHなど家庭での普及が拡大している。
[編集] 光通信の網構成
[編集] 業務向け網の構成の変遷
PDHを利用したデジタル専用線が1980年代後半から使用されるようになった。
PDH--Och
SDHを利用した高速専用線やパケット通信が1990年代から使用されるようになった。
SONET/SDH--Och
フレームリレーやATM交換網が1990年代後半から使用されるようになった。
FR Sw--SONET/SDH--Och ATM Sw--SONET/SDH--Och ATM Sw--Och
また、IP網間をATMで接続する、IP over ATM も1990年代後半から使用されるようになった。
IP--ATM Sw--SONET/SDH--Och IP--ATM Sw--Och
Multi-Protocol Label Switching対応のルーターを使用し、IPプロトコルでVirtual Private Networkを構成する方式が2000年から開始された。
IP--MPLS Router--SONET/SDH--Och--WDM IP--MPLS Router--Och--WDM
LAN間をレイヤ2スイッチまたはレイヤ3スイッチで接続するVLANを使用した広域イーサネットが2001年からサービス開始された。
Ethernet--L2Sw--Och--WDM IP--L3Sw--L2Sw--Och--WDM
Generalized Multi-Protocol Label Switchingを利用し、IPを光スイッチで接続操作し、光ファイバーの波長分割多重(WDM)で伝送する方式が2007年頃の実用化を目指して実験中である。
IP--Ethernet--Och--OSw--WDM
[編集] ユーザ網(幹線網)向け網構成
通信系においては主にユーザ向けに、常時・定額・高速のブロードバンドインターネット接続を実現する。FTTH#幹線網の網構成方式を参照。
[編集] ユーザ宅向け網構成
光ケーブルの屋内配線(ラスト10メートル)としての導入方法により、数種類に別れる。FTTxの項目を参照。
[編集] ハイブリッド網構成
- DLC (Digital Loop Carrier) : 末端に電話線を用いる。ナローバンド接続。いわゆる光収容。
- HFC (Hybrid Fiber Coaxial) : 末端に同軸ケーブルを用いる。CATVで用いられる。
- PLC (Power Line Communications) : 末端に電灯線を用いる。電力線搬送通信を参照。
なお、FTTxもハイブリッド網構成の一種である。
[編集] ラストワンマイルにおける光通信
上述の網構成の他、公衆無線LANサービスや、携帯電話やPHSサービスなどの移動体通信・無線アクセスの足回りとしても光通信回線が使われる。
(stub)