ベガ (ストリートファイター)
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ベガ プロフィール
- 初出作品: ストリートファイターII
- 出身地: 不明
- 生年月日: ????年4月17日
- 身長: 182cm
- 体重: 80kg (II) - 96kg (ZERO)
- スリーサイズ:
- B129 W85 H91 (II)
- B133 W90 H92 (ZERO)
- 血液型: A型
- 好きなもの: 世界征服
- 嫌いなもの: 弱いもの、無能な部下
- 特技: 催眠術
- 関連キャラクター: キャミィ - ローズ
ベガ (Vega) はカプコンの対戦格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズなどに登場するキャラクター。
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[編集] キャラクターの設定
豪鬼と双璧をなすボスキャラでストリートファイターII、ZEROシリーズで悪役的存在を担った重要なキャラである。II及びZEROシリーズに登場する悪の組織"シャドルー"の総帥で、IIにおいてボスとして登場する四天王の最後の一人。
帽子や服のスタイルなどいかにも軍人じみた姿(黒いマントを着用する事もある)と、その体から発せられるサイコパワーが特徴。キャラクターのモチーフは鷹匠政彦原作、猿渡哲也作画の青年漫画「力王」における敵組織の大幹部・鷲崎、及び、さらにそのモデルである(とされる)荒俣宏の長編小説帝都物語の映画版の主人公、俳優・嶋田久作の演じる魔人『加藤保憲』であろうというのがファンの間では長年の定説となっている。
ストリートファイターZEROシリーズにおいては、先に公開されたアニメ映画『ストリートファイターII MOVIE』のベガに合わせるように体格がより筋肉質に変わったが、CAPCOM VS. SNKではストII時代の体型に戻っている。これが本来のベガであり、筋肉質に膨れ上がったベガはZERO3共通エンディングで消えてしまう、影武者という説もある。ストリートファイターIIIシリーズでは春麗により倒され、組織も壊滅させられた事になっており登場しない。
キャラごとにライバル関係が設定されているCAPCOM VS. SNK、およびSNK VS. CAPCOMシリーズではベガの場合ギース・ハワードがその相手となっており、テリー・ボガードからは「ヤツ(ギース)の同類」と言われている。さらに麻宮アテナとはサイコパワーつながりで、正義のサイコパワーに対する悪のサイコパワー使いのように描かれている。
[編集] 名前
シャドルー四天王の内『ストリートファイター(初代)』で登場済みだったサガット以外の3人は、日本版とそれ以外のバージョンとで名前が違っており、このベガは日本以外ではM.Bison、そして同様にマイク・バイソンはBalrog、バルログはVegaとなっている。この変更の理由はメーカーからははっきりと説明された事が無いため、ファンの間では実在のボクサーマイク・タイソンの肖像権の問題や、欧米ではVegaという名前は琴座の一等星ベガに使われているなどで非常に女性的な印象が強い事などが関係しての判断だったのでは、などの推測がなされた。
コンピューターゲームが海外へ輸出される際、キャラ名が変更になる事自体は珍しくないが、このベガらのように名前が交換されるというのはあまり例が無い(例えば同じカプコンの作品、マッスルボマーに登場するレスラー全般や、ヴァンパイアシリーズのガロンやザベルなども日本版とそれ以外で名前が異なるが、それらは交換ではなく全く違う名前になっている)。
なお、実写映画版ストリートファイター、およびそれとのタイアップで作られたゲーム『ストリートファイター リアル バトル オン フィルム』では海外版の設定に準拠し、日本版でもバイソン将軍 (General M.Bison) の名で呼ばれる。
[編集] キャラクターの特徴
IIシリーズでは最終ボスとして登場。特に初めてプレイヤーが操作できるようになった『ダッシュ』では最強キャラクターとして君臨した。「サイコ投げ」、「ダブルニーハメ」という凶悪なハメ技が存在し無類の強さを誇ったが、『ダッシュターボ』以降はダブルニープレス後に大きな隙ができるなど大幅に弱体化した。コマンドは溜めコマンドであり、攻撃も奇襲的なものを装備している、まさにリュウとは対照的であるといえる。CPUベガはダブルニープレスとヘッドプレスをメインで使い相手がガードしていると投げを打ってくるという凶暴さであった。おまけにベガの体力が残り少なくなってくるとサイコクラッシャーアタックまでも使ってくる。飛び道具と対空技が無いと苦戦を強いられる。また、ジャンプばかりしているとちょうど落ちてくるタイミングでサイコクラッシャーやダブルニーがタメなしで来る(前に歩きながらいきなり使ってくる)のでかなりせこい。
ストリートファイターZEROではオープニングで悪の帝王的な演出でもって登場する。ZEROシリーズから声優が起用されベガの声は西村知道氏が担当している。同氏はこの体格のベガか登場する作品全てで声を当てている。ちなみにベガのライバルとも言える豪鬼も同氏である。同作では体格が変わったのに合わせ、技の構成にやや変更が加えられた。この作品では隠しキャラということもあり同じく隠しキャラである豪鬼と並び性能的に圧倒的な強さを誇った。サイコクラッシャーアタックがサイコクラッシャーに改称されスーパーコンボに格上げされ、サイコクラッシャーアタックに代わり飛び道具であるサイコショットが装備された。デビルリバースが廃止されサマーソルトスカルダイバーが単独で使えるようになった。ダブルニープレスの溜め時間短縮、移動距離の飛躍的上昇。溜めコマンド一辺倒だったベガにコマンド技でベガワープか備わった。このキャラをCPUが操ると手がつけられない強さになる。しかし続編であるZERO2からは性能がそぎ落とされたため明らかな弱体化がみられるようになる(ダブルニープレスの移動距離、ヘッドプレスからサマーソルトへの速度の低下、通常技-キャンセル-必殺技につながるバリエーションが減少等)。もっともZERO2から一部を除いたキャラ以外チェーンコンボが使えなくなったのでZEROで唯一チェーンコンボの無かったベガはデメリットを被らなかった唯一のキャラといえる。ZERO2の頃から主人公であるリュウの対極を担うキャラクターがベガから明らかに豪鬼に傾いていったのも特筆する点である(最もこの頃よりベガはリュウに目を付け始めた)。ZERO2のオープニングを見ると、いきなり豪鬼がでてくるという演出ではじまり登場キャラのカットが入りそして、リュウとケンの波動拳で締めという構成になっている。その中でベガの露出時間が少ない(露出時間やインパクトを勘案するとサガット、アドンそしてダンといったキャラよりも格下扱いに見える)、つまるところ普通キャラ扱いになっているのがわかる。実質的にはともかく形式的にもボスの座から陥落した格好になってしまった。
ZERO3では、オープニングでは他のキャラより若干ではあるが突出した演出になっていると言える。今作ではCPUベガは「ファイナルベガ」として登場し、「強いベガの復活」を彷彿させた。しかしアーケード版登場時はプレイヤーキャラクターとしては使用することができず、通常のベガはZERO2のときよりも若干性能が上がった程度に留まっている。設定よりもバランスを重視するカプコンらしさとも言える。ZEROシリーズにおけるCPUベガの中で一番強いのはファイナルサイコクラッシャーを装備したZERO3だと言われているが必殺技の性能などすべてを勘案するとやはりZEROであると言わざるを得ない。
EXシリーズでは、EX2 PLUS以降からベガIIが登場している。スーパーコンボゲージが常に満タンの状態であり(EX3ではその点が廃されている)、スーパーコンボにサイコキャノンの新しいバリエーションとして追加されている。スーパーコンボからメテオコンボをつなぐ連続技も可能だが、メテオコンボ単体のダメージは本来のベガより少し劣っている。またEX3ではトゥルーベガが登場。EX2 PLUSでのベガIIの性能に加え、エクセル並みの通常技キャンセルを使用してくる。また、三人に分身してのニープレスナイトメア(正式名称不明)をメテオコンボとして使用する。両者とも自キャラとして使用することはできない(ただし、ベガIIはEX3のオリジナルモードのみ使用可能)。
CAPCOM VS. SNKシリーズではストリートファイターII時代の体型になり、それと同時に声優も若本規夫に代わった。
[編集] ファイナルベガ
『ストリートファイターZERO3』では、最終ボスとしてベガの強化版であるファイナルベガが登場する。通常のベガとは強パンチのグラフィックが異なるほか、最大の特徴としてスーパーコンボの「サイコクラッシャー」が後述の「ファイナルサイコクラッシャー」という強力なものに変化していることが挙げられる。また、ファイナルベガはS-ISM(Shadoloo-ISM)という専用のISMを持っており、スーパーコンボゲージはX-ISMと同様に1本のみであるが、X-ISMと異なりもう一種類のスーパーコンボ(ニープレスナイトメア)も使用でき、ZEROカウンターも使用できる。空中ガード機能も網羅している。
アーケード版『ZERO3』ではプレイヤーキャラクターとしては使用できないが、『ZERO3↑(ゼロスリーアッパー)』では基板の初期設定で使用できるようになっており、対戦のバランスを壊すものとして非難の対象となった。家庭用ゲーム機の移植版ではプレイステーション版を除いて使用可能。
[編集] 必殺技
- サイコクラッシャーアタック
- サイコパワーを全身にまとい、低空飛行で突進する。ZEROシリーズではこの必殺技は無く、代わりに似た動作の"サイコクラッシャー"というスーパーコンボがある。ガードしても3回程度当たりが出る。
- ダブルニープレス
- 前方に低くジャンプしながら、空中で前転するような感じで両足を振り下ろして攻撃する。アドンの必殺技・ジャガーキックを参考にした技とされる。
- ヘッドプレス
- 相手の頭上めがけて素早く飛び上がり、両足で踏みつける。踏んだ後降下中に後述のサマーソルトスカルダイバーへと派生させることができる。十字キーの入力次第で軌道調整ができ、めくり攻撃もできる。
- サマーソルトスカルダイバー
- 降下しながらサイコパワーを纏った両手を突き出す。ZEROシリーズなどではヘッドプレスからの派生技としてだけではなく直接飛び上がって出す個別の技としても存在する。また、モーションも異なる。
- デビルリバース
- 相手の頭上へ飛び上がり、背後へ回り込み手刀を出す。ZEROシリーズなどでは使用されない。
- ベガワープ
- ZEROシリーズからの技。その名の通り瞬間移動する。
- サイコショット
- ZEROシリーズ、MARVEL vs.~シリーズの技で、サイコパワーを球状にして飛ばす飛び道具。
- サイコフィールド
- サイコパワーのバリアーを張る技。MARVEL vs.~シリーズ、および『頂上決戦最強ファイターズ』などで使用した(『頂上決戦最強ファイターズ』では隠し技)。
- サイコバニッシュ
- CAPCOM VS SNKシリーズで追加された技で、サイコパワーを纏った腕を振り下ろす。
- サイコインパクト
- これもCAPCOM VS SNKシリーズで追加された技で、踏み込みつつの顎狙いの掌底からストレートを打ち抜く。なおCAPCOM VS SNK 2ではガードキャンセル攻撃になっている。
[編集] スーパーコンボ
- ニープレスナイトメア
- スーパーストリートファイターII Xで装備されたベガの最初のスーパーコンボ。ダブルニープレスを連発する。ZEROシリーズではLV3で出すと最後にホバーキック(しゃがみ強K)を繰り出す(CAPCOM VS SNKシリーズではLV2がこの動作となる)。EXシリーズでは最後に後方宙返りするように両足で蹴り飛ばす(CAPCOM VS SNKシリーズのLV3でも同様)。また、MARVEL vs.~シリーズでは三人に分身する。
- サイコクラッシャー
- サイコクラッシャーアタックをベースとしたスーパーコンボ、ZEROシリーズから装備された。オーラを纏い突進して相手に大ダメージを与える。
- メガ・サイコクラッシャー
- CAPCOM VS SNKシリーズで使用する技。ほぼZEROシリーズのサイコクラッシャーと同様だが、LV3専用。サイコクラッシャーアタックと共存させるため、この名称になったと思われる。
- ファイナルサイコクラッシャー
- ZERO3で最終ボス・ファイナルベガがサイコクラッシャーの替わりに使用したのが初出で、以降はSVC CHAOSなどでも使用されている。発動するとスライドするように画面外に後退してから全画面を覆うサイコクラッシャーで高速突進していき、そのまま画面外へと通りぬけた後ベガワープで戻ってくる。
- ハートブレイクディスピアー
- 初代『CAPCOM VS SNK』及び『〃 PRO』のみの技。サイコクラッシャーアタックで突進し、相手を掴んで回転した後投げ飛ばす。ストIIダッシュでの「サイコハメ」を擬似的に再現した技。技名は日本語直訳すると「傷心・絶望」。
- サイコエクスプロージョン
- MARVEL VS. CAPCOM 2の技。サイコフィールドの強化版。
- サイコキャノン
- EXシリーズの技。腕にサイコパワーを溜め、球体にして飛ばす技。コマンド入力時にパンチボタンを押し続けることで球体が大きくなり、攻撃力も増す。また、溜めている最中も攻撃判定がある。
- バリエーションがあり、ベガII、トゥルーベガは「発生時間が長く、球体が相手にゆっくり近づいていく」というサイコキャノンG、「二人に分身して挟み撃ちにする」というサイコキャノンBを使用する(この場合、従来のサイコキャノンはサイコキャノンRと呼ばれる。R / G / Bは球体の色を表し、いずれも従来のサイコキャノンに比べて球体が大きい)。サイコキャノンBはベガが本物と偽者に分身する際、本物の配置位置(相手の前方または後方)を決定する必要があるため、コマンドが2つ用意されている。本物を攻撃するとベガがダメージを受け、技は中断されるが、偽者を攻撃しても技は止まらない。「大魔界村」に同名の武器が登場するが無関係である。
- サイコブレイクスマッシャー
- EXシリーズで使用するメテオコンボ技、名前こそ異なるがサイコクラッシャーに似ている。「絶望に唸れぃ」「ここが貴様の墓場だっ」と決め台詞を言い放ったあと攻撃に入る。
[編集] 登場作品
- ストリートファイターIIシリーズ
- ストリートファイターZEROシリーズ
- ストリートファイターEXシリーズ
- VS.シリーズ
- CAPCOM FIGHTING Jam
- NAMCO x CAPCOM(シミュレーションゲーム)
- ストリートファイター (実写映画) - ラウル・ジュリアの劇場映画の遺作となった。
[編集] その他
- コロコロコミックで連載されていた「ストII爆笑!!4コマギャグ外伝」(橋口隆志作)では、単なるバイト好き人間とギャグ化され、ゲームで見せるような畏怖は全くない。その上、郵貯に預金して銀行よりわずかに利息が高い事に大喜びしたり、バーゲンセールに張り切って出かけるシーンなど、妙に庶民の哀愁が漂うキャラクターにされている。
[編集] 声優
- 西村知道(ZEROシリーズ、EXシリーズ、MARVEL VS.シリーズ、NAMCO x CAPCOM)
- 内海賢二(TVアニメ「ストリートファイターII V」、実写映画版吹替)
- 若本規夫(CAPCOM VS. SNKシリーズ、SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS、CAPCOM FIGHTING Jam)
- 日下武史(ストリートファイターII MOVIE)
[編集] 各作品における位置づけ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
基本的にベガは最終ボスとして登場することが多い。ZEROシリーズではシャドルーは世界征服をもくろんでおり、その関係上敵対するキャラも多い。
- 春麗 - インターポールの潜入捜査官。父の敵としてベガを追っている。
- ガイル - アメリカ軍軍人。ナッシュの敵としてベガを追っている。
- ナッシュ - アメリカ軍軍人。ZERO及びZERO2のナッシュのエンディングではベガが彼を殺したという解釈が可能で、IIにおけるガイルの設定につながっている。
- ローズ - ベガのサイコパワーを封じるために戦う女性。彼女のソウルパワーとベガのサイコパワーは根は同一のものであり、昔は師弟関係にあった。
- キャミィ - ベガが作り出した強化人間の一人。スーパーストリートファイターIIにおいては、とある機関にスパイとして送り込まれたが記憶を失い対立することに、という設定だった。ZEROシリーズではまた違う設定が用意されている。
- サンダー・ホーク - メキシコのサンダーフット族の戦士。部族にとっての聖地を彼に奪い取られる。ZERO3の家庭用及びZERO3↑の設定では、親衛隊のメンバーの1人ユーリが彼の恋人ジュリアとなっている。