パワーレンジャー
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パワーレンジャー(POWER RANGERS)は、スーパー戦隊シリーズを海外向けにした特撮テレビドラマである。
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[編集] 解説
戦闘パートは日本版を流用し、ドラマパートは現地の俳優を使いアメリカ(現在はニュージーランド)で新たに撮影している(ただし、近年は日本での撮影を終えた着ぐるみやオリジナルのアイテムなどを使って戦闘パートの一部も現地で撮影されている)。ドラマパートの配役は性別・人種などが可能な限り均等になるよう配慮されており、日本版では男性という設定のキャラ(特に黄色スーツのキャラ)が女性に割り当てられる事も多い。
制作に当たった米国サバン・エンターテイメントのハイム・サバンは大の戦隊ファンで、以前から戦隊をアメリカでも展開したいと考えていた。彼は東映スタッフとの会談の席でシリーズの主題歌を十曲以上もアカペラで歌って見せ、「ヒーロー名を連呼している、なんてすばらしいアイデアだ!」と感心していたと言う。
本来タイトルは、パワーレンジャー1作目にあたる「恐竜戦隊ジュウレンジャー」から、「ジュウレンジャー」のタイトルで放送するはずだったが、「ジュウ(Jew)」という単語が(もっぱら侮蔑的な意味で)ユダヤ人を指す語であったため、「パワーレンジャー」に変更された。
本作はアメリカで放送されるや、たちまち大ヒットとなり社会現象となった(政治家がスピーチ会場にパワーレンジャーを呼び、人気取りをするほどだったという)特にグリーンレンジャー(=ドラゴンレンジャー)登場編はアメリカの子供番組史上で最高の視聴率を記録した。この人気を受けて、本来は3クールほどで終了する予定だったのが60話まで延長され、これ以降のシリーズ化も決定した。
玩具も大ヒットし、特にバンダイアメリカが1994年に発売した変形するヒーロー人形は1年で1600万個以上売れた。
2001年10月にサバン・エンターテイメントがウォルト・ディズニー・カンパニー傘下になった事により、ワイルドフォース以降の作品はディズニー製作となっている。
なお、東南アジアなどでは日本版の戦隊シリーズを直接放送している(韓国ではタイトルのみ「パワーレンジャー」を使用し、中身は日本版という形式)。また、フランスをはじめとするヨーロッパでも日本版の戦隊シリーズを『バイオマンシリーズ』と称して直接放送していたが、パワーレンジャーシリーズの誕生後はそちらを放送するようになった。
[編集] 特徴
上述の通り、特に初期シリーズは戦闘シーンは戦隊のものをほぼ丸々使いまわしている。そのため、女性のはずのイエローが変身すると男らしくなったり(恐竜戦隊ジュウレンジャーはイエローは男性であるが、パワーレンジャーでは女性が演じている)、どう見ても日本としか思えない場所(例・ドラマシーンではカリフォルニアの青い空の下が一転して薄曇りの日本の空の下になっている。一応、設定では「エンジェルグローブ・シティー」になっているが)で戦っているなどドラマパートと特撮パートのギャップがやや目立つ。また俳優自身のアクションも今ひとつ迫力不足であった。これらの難点は、坂本浩一をはじめとする日本側の制作スタッフが参加して以降、大幅に改善されていく事となる。日本版の追随が主であった作品内容自体も、現地オリジナルのバトライズモード(強化アーマー)や新幹部などが登場し独自の要素を確立していった。
アメリカの子供番組では表現上の規制が厳しいという事情から、日本版の映像が使われる部分でもかなり編集が行われている事が多い。例えば、相手の首を締め上げる、毒針を飛ばす、顔への攻撃などは全てカットされている。これは新規撮影部分も同様で、アメリカ側からは戦闘シーン全体を格闘技っぽくしてくれと要請されたとのこと。こういう事情から、パワーレンジャー役の俳優はいずれも格闘技あるいはアクションの経験がある人が選ばれている。
生身の格闘シーンでも、効果音は金属音が使われている(初期はいかにもという音が付けられていたが、徐々に自然なものへと変わっていった)。
日本版によく登場する、露出度の高い女性幹部も別のキャラに置き換わる事が多い。ストーリー上でも、血を流したり人が死亡したりなどは基本的には厳禁とされている(例外もあり、後に生き返るなどの救済措置がとられることもある)ため、ストーリーが単調になっている。
[編集] その影響
本作の成功を受けて、同様の方式の番組が続出した(VRトルーパーズがWOWOWで数話放送された以外は、日本版は制作されていない)。
- マスクド・ライダー(仮面ライダーBLACK RX)
- ビートル・ボーグ(重甲ビーファイター・ビーファイターカブト)
- VRトルーパーズ(邦題:バーチャル戦士トゥルーパーズ)(時空戦士スピルバン・超人機メタルダー・宇宙刑事シャイダーの一部分)
- スーパー・ヒューマン・サムライ・サイバー・スクワッド(電光超人グリッドマン)
[編集] 放送作品一覧
作品名 | 放送年/放送話数 | 流用元の作品 | 通算話数 | |
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1 | マイティ・モーフィン・パワーレンジャー 第1シリーズ | 1993年/全60話 | 恐竜戦隊ジュウレンジャー | 60話 |
1 | マイティ・モーフィン・パワーレンジャー 第2シリーズ | 1994年/全52話 | 恐竜戦隊ジュウレンジャー 五星戦隊ダイレンジャー |
112話 |
1 | マイティ・モーフィン・パワーレンジャー 第3シリーズ | 1995年/全43話 | 恐竜戦隊ジュウレンジャー 五星戦隊ダイレンジャー 忍者戦隊カクレンジャー |
155話 |
2 | パワーレンジャー・ジオ | 1996年/全50話 | 超力戦隊オーレンジャー | 205話 |
3 | パワーレンジャー・ターボ | 1997年/全45話 | 激走戦隊カーレンジャー | 250話 |
4 | パワーレンジャー・イン・スペース | 1998年/全43話 | 電磁戦隊メガレンジャー | 293話 |
5 | パワーレンジャー・ロスト・ギャラクシー | 1999年/全45話 | 星獣戦隊ギンガマン | 338話 |
6 | パワーレンジャー・ライトスピード・レスキュー | 2000年/全40話 | 救急戦隊ゴーゴーファイブ | 378話 |
7 | パワーレンジャー・タイムフォース | 2001年/全40話 | 未来戦隊タイムレンジャー | 418話 |
8 | パワーレンジャー・ワイルドフォース | 2002年/全40話 | 百獣戦隊ガオレンジャー | 458話 |
9 | パワーレンジャー・ニンジャストーム | 2003年/全38話 | 忍風戦隊ハリケンジャー | 496話 |
10 | パワーレンジャー・ダイノサンダー | 2004年/全38話 | 爆竜戦隊アバレンジャー | 534話 |
11 | パワーレンジャー・S.P.D.(Space Patrol Delta) | 2005年/全38話 | 特捜戦隊デカレンジャー | 572話 |
12 | パワーレンジャー・ミスティックフォース | 2006年/全32話 | 魔法戦隊マジレンジャー | 604話 |