ドーバー (デラウェア州)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドーバーは、アメリカ合衆国デラウェア州の州都。同州中央部、チェサピーク湾とデラウェア湾にはさまれたデルマーヴァ半島(Delmarva Peninsula)に位置する。同州の最大都市ウィルミントンからは南へ約80kmである。市の南東にはドーバー空軍基地がある。また、ドーバー・インターナショナル・スピードウェイでのカーレースでも有名である。人口は32,135人(2000年国勢調査)。
なお、デラウェア州は連邦最初の州であり、したがってドーバーも連邦最初の州都である。市の別名をThe State Capital since 1777(1777年から州都であった都市)という。
目次 |
[編集] 歴史
ドーバーは1683年にクエーカー教徒のウィリアム・ペンによって建設され、1717年に正式な市となった。独立戦争中は、ドーバーはデラウェア州の兵の召集地であった。1787年12月7日にはデラウェア州が連邦最初の州となった。
南北戦争までの間、デラウェア州は奴隷州であった。しかし、実際には深南部諸州のように奴隷制度は広まってはいなかった。南北戦争中は、奴隷州でありながら連邦側についていたボーダー・ステート(border states)と呼ばれる州のひとつであった。そうした背景や、自由州であるニュージャージー州やペンシルバニア州との地理的な近さから、ドーバーは地下鉄道(Underground Railroad、下記注)の重要な拠点であった。
(注)地下鉄道とは、南部の奴隷州から逃げてきた黒人奴隷を秘密裏に北部の自由州へ、さらには国境を越えてカナダへと逃がしていた逃避路、および逃亡を手伝った秘密結社のことである。オハイオ州がつとに有名で、「自由へのゲートウェイ」であったシンシナティをはじめ、州内至るところに逃避路が張り巡らされていた。
[編集] 地理
ドーバーは、北緯39度9分43秒西経75度31分36秒(39.161921, -75.526755)GR1に位置している。
アメリカ合衆国統計局によると、ドーバー市は総面積58.8 km² (22.7 mi²) である。このうち58.0 km² (22.4 mi²) が陸地で0.8 km² (0.3 mi²) が水地域である。総面積の1.32%が水地域となっている。
[編集] 交通と産業
[編集] 都市間交通
ドーバーには市の玄関口となる民間の空港がない。したがって近隣の大都市のフィラデルフィア国際空港かボルチモア・ワシントン国際空港を利用し、車でドーバーを目指すことになる。
ドーバーとウィルミントン間のみ州間高速道路が通っている。車ではフィラデルフィアから約124km(所要1時間20分)(ウィルンミントン経由)、ボルチモアからは約160km(所要1時間半)(チェサピーク湾に架かるチェサピーク橋経由)である。
グレイハウンドのバスはあり、北はニューヨーク市、南はヴァージニア州のノーフォークへと通じている。ドーバーとウィルミントン及びその他の(デラウェア州内)場所へとは、州が運営するバスを利用できる。アムトラックの駅はなく、ウィルミントン駅を利用することになる。
[編集] 経済
ドーバーの雇用を支えているのは政府部門である。州都であることから、州の機関の大部分がドーバーに位置している。しかし、企業の本社や法律事務所を多く抱え、州の経済の中心をなしているのは最大都市ウィルミントンである。
ドーバー周辺は生活費が安価であること、生活の質が高いことから州内では最も高い成長を遂げている地域のひとつである。デラウェア州政府やケント郡政府に加え、ドーバーの重要な雇用主として挙げられるのはドーバー空軍基地である。このほか、プレイテックス(Playtex)の工場や、軍用・航空宇宙用繊維業のILCドーバー(ILC Dover)の本拠地もドーバーである。
このほか、ドーバー・インターナショナル・スピードウェイ(Dover International Speedway)でレースが年2回開催される。開催時には100,000人を超える観客を集め、ドーバーに100万ドル単位の経済波及効果をもたらしている。
[編集] 住民および文化
[編集] 人口動静
1890年には、ドーバーの人口は3,061人であった。その後1900年には3,329人、1910年に3,720人、1940年に5,517人と推移している。
2000年現在の国勢調査で、ドーバー市は人口32,135人、世帯数12,340、7,502家族が暮らしている。人口密度は554.1人/km² (1,435.0人/mi²) である。227.5軒/km² (589.2軒/mi²) の密度で13,195軒の住宅が建っている。
同市の人口構成を人種別に見ると白人54.94%、アフリカン・アメリカン37.22%、ネイティブ・アメリカン0.45%、アジア人3.16%、太平洋諸島系0.04%、その他の人種1.57%、及び混血2.62%である。人口の4.13%はヒスパニックまたはラテン系である。
同市の12,340世帯のうち、18歳未満の子供がいる世帯は30.0%、結婚・同居している世帯は40.4%、未婚・離婚女性が世帯主である世帯は16.7%、非家族世帯は39.2%である。単身世帯は31.4%、65歳以上の老人1人暮らしの世帯は10.6%である。世帯の平均構成人数は2.35人、家族の平均構成人数は2.98人である。
同市の人口構成を年齢別に見ると18歳未満23.5%、18-24歳15.7%、25-44歳27.9%、45-64歳19.5%、65歳以上13.3%となっている。年齢の中央値は33歳である。性比は女性100人あたり男性88.9人である。18歳以上では女性100人あたり男性85.1人である。
同市の世帯の収入の中央値は38,669米ドルであり、家族の収入の中央値は48,338米ドルである。収入の中央値を性別で見ると男性34,824米ドルに対して女性は26,061米ドルである。同市の1人当たり収入 (per capita income) は19,445米ドルである。人口の13.8%及び家族の11.5% は貧困線以下である。18歳未満の19.6%及び65歳以上の10.4%は貧困線以下の生活を送っている。
[編集] 教育
ドーバーはデラウェア州立大学とウェスレー・カレッジ(Wesley College)の所在地である。デラウェア州立大学はデラウェア州唯一のHistorically Black Collegeと呼ばれる、アフリカン・アメリカンの学生のための高等教育機関としてつくられた大学である。このほか、デラウェア大学とウィルミントン・カレッジのサテライト校がある。
公立高校はドーバー高校[1]とシーザー・ロドニー高校[2]の2校がある。
[編集] 文化施設
- シュワルツ芸術センター - ドーバー・オペラハウスとして1904年に建立。近年建て替えられて現在の名称になった。ドーバー・シンフォニー・オーケストラの公演のほか、バレエの公演や名画放映も行っている。
- デラウェア州立図書館
- デラウェア州立博物館
- デラウェア州立公文書館
- セウェル・C・ビッグス・アメリカ美術館(Sewell C. Biggs Museum of American Art) - ダウンタウンの歴史地区に立地。植民地時代から現在に至るまでのコレクションを誇る。
[編集] クレジット
翻訳/en:Dover, Delaware 1/15/2006 04:56 (UTC)の版。
編集者/
[編集] 外部リンク
- City of Dover(英語版)
- Dover Air Force Base(英語版)
- Delaware State University(英語版)
- Wesley College(英語版)
- Delaware Technical & Community College(英語版)
- The Schwartz Center for the Arts(英語版)
- Biggs Museum of American Art(英語版)
- Dover, DE(Yahoo!Map地図)
アメリカ合衆国の州都 | |
---|---|
|
|