ドッペルゲンガー
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ドッペルゲンガー(Doppelgänger)は、ドイツ語で、生きている人間の霊的な生き写しを意味する。ドッペルケンガーと発音する場合もまれにある。
ドイツ語の「ドッペル (doppel)」は、英語の「ダブル (double)」に該当し、その存在は、自分と瓜二つではあるが、邪悪なものだという意味を含んでいる。また、自分の姿を第三者が見たように見えてしまう現象のことを言うときにも使われる。自ら自分の「ドッペルゲンガー」現象を体験した場合には、「その者の寿命が尽きる寸前の証」という民間伝承もあり、未確認ながら、数例あったということで、過去には恐れられていた現象でもある。
日本においては芥川龍之介や太宰治が見たと伝えられている(前者は著作にそのような描写がある。後者は大槻ケンヂ談)。
古くは、「登山者が山頂などで、霧や雲などに自分の影が映し出されるといった現象」(現在はブロッケン現象と呼ばれている)といった説明付けもなされていたが、「影ではなく、実在する人間の姿」、「人里や町中での目撃」、「第三者による目撃」などといった様々の例において、説明不足の感も否めなかった。さらに、近年の心霊の分野では、幽体離脱と物質化現象の結果という説もあるが、これは、従来の科学的な検証はできない。ある例として、「脳腫瘍を患ったことによる、ある種の脳障害により、自己の肉体と外環境の境界が不明瞭になり、自己の姿を外界に投影視する」症状などが挙げられていた。しかし、これはある意味、「自分の客観的姿を、自分自身で見かけた場合の、自らの死期が近いこと」の一つの説明にはなるが、「ある人物のドッペルゲンガーを、離れた場所で第三者によって、目撃される現象」の説明とはならない。
また、似たような現象で、バイロケーションというものもある。
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[編集] ポピュラー・カルチャーの中のドッペルゲンガー
ドッペルゲンガーは、サイエンス・フィクションやファンタジー小説などにもよく登場する。そこでは、不埒な目的のために、特定の人や生き物になりすますシェイプシフターとして描かれている。
[編集] 文学
- ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』
- ウラジミール・ナボコフの『ロリータ』
- フョードル・ドストエフスキーの『分身』
- メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』
- エドガー・アラン・ポーの『ウィリアム・ウィルソン』
- ロバート・ルイス・スティーヴンソンの『ジキル博士とハイド氏』
- オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』
- J・R・R・トールキンの『指輪物語』
- スティーヴン・キングの『ダーク・ハーフ』
- ポール・オースターの『ニューヨーク三部作』
- チャック・パラニュークの『ファイト・クラブ』
- H・H・エーヴェルスの『プラークの大学生』
[編集] 映画
- アルフレッド・ヒッチコックの『見知らぬ乗客』
- デヴィッド・クローネンバーグの『戦慄の絆』
- スタンリー・キューブリックの『シャイニング』、『アイズ・ワイド・シャット』
- クシシュトフ・キェシロフスキの『ふたりのベロニカ』
- ブライアン・デ・パルマの『ボディ・ダブル』、『スネーク・アイズ』
- スティーブン・ソダーバーグの『ソラリス』
- デヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』
- 黒沢清の『ドッペルゲンガー』
- アヴィ・ネッシャーの『ドッペルゲンガー/憎悪の化身』
[編集] テレビドラマ
- 擬態能力を持つ地球外生命体「ワーム」が登場する。
[編集] ゲーム
- コナミの『悪魔城伝説』