スプラウト
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スプラウトとは、植物の新芽の総称。英語 sprout が語源。日本では主にブロッコリーやマスタード、クレス、芽キャベツなどの発芽野菜の新芽を指す。昔から食べられているかいわれ大根やモヤシもスプラウトの一種といえる。
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[編集] 歴史
スプラウトは目新しい野菜のように思われがちだが、古くは5000年前の古代中国で マメ科のスプラウトであるモヤシが栽培されていたといわれている。 そのほか、18世紀後半に南太平洋などをエンデバー号で航海したキャプテン・クックは、船上で大麦のスプラウトをつくり、船乗りたちの栄養補助源としたといわれている。 また、19世紀英国ビクトリア朝時代にメアリー・ジューリーという料理研究家によってマスタードやクレスのスプラウトを使った料理本が残されていたり、日本の平安貴族たちの食膳にかいわれ大根がのぼっていたとも伝えられ、古くから世界各地で食べられていた。 かいわれ大根は1970年代に水耕栽培が普及するまでは高級食材であった。
[編集] 分類
育て方や食べる時期によって大きく4つに分類できる。
1. もやし型 (暗室のみで育て、緑化させないもの。緑豆もやし、大豆もやし、アルファルファなど)
2. かいわれ型 (茎が伸びるまで暗室で育て、その後たっぷり光をあてて緑化させたもの。 大根、ブロッコリー、レッドキャベツ、マスタード、クレス、豆苗、そばなど)
3. その中間型 (暗室で発芽後、緑化させたもの。主にブロッコリーが用いられている。)
4. 発芽したてのもの (発芽後すぐに種ごと食べるもの。発芽玄米など)
[編集] スプラウトの栄養
種子は水や温度など発芽に必要な条件がそろうと、発芽を始める。その際、種の中では生長に必要な植物ホルモンの合成とともに新陳代謝を促すたくさんの酵素が生成される。また、発芽に伴う代謝の中で、種のときには存在しなかった栄養成分が新たに合成される。それゆえ、スプラウトには生長に必要なビタミン、ミネラル、ファイトケミカルなどあらゆる栄養素が凝縮してつめこまれており、「天然のサプリメント」と表現されることもある。 最近では、機能性野菜として野菜・果物には含まれないビタミン「ビタミンB12」を含むスプラウト(マルチビタミンB12かいわれ)も発売されている。
[編集] 有効成分
1994年アメリカのジョンズ・ホプキンス医科大学のポール・タラレーらによって、ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンが強いがん予防効果を持つことが明らかにされた。 この研究発表を受けてブロッコリースプラウトがアメリカでブームになった。 日本では、1999年に村上農園がブロッコリー、マスタード、クレス、レッドキャベツの発芽野菜を「スプラウト」として初めて発売を始めた。その後、2001年にブロッコリースプラウトのがん予防効果がテレビ番組「発掘!あるある大事典」で取り上げられた。 また、スルフォラファンにはグルタチオンの合成を促進する効果があることや、胃病の発生の原因となるピロリ菌の除菌効果があることなどが「ためしてガッテン」や「はなまるマーケット」などのテレビ番組で紹介された。
[編集] その他
スプラウトは生きた状態のものをすぐに食べることができることや成熟野菜よりも多くの栄養素や酵素を含んでいることなどから、リビングフードやローフードで推奨される重要な食べ物とされている。
[編集] 関連項目
[編集] 関連書籍
- 河出書房新社 「食べてガンを防ぐ スプラウト健康法」
- 河出書房新社 「ガンを防ぐ野菜の王様 ブロッコリー・スプラウトおいしい健康レシピ」
- 辰巳出版 「レイズカフェ 菊川怜のカラダがよくなるレシピ50」
- 素朴社 「カラダにおいしいスプラウト」