オダギリジョー
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オダギリ ジョー(本名:小田切 譲(おだぎり じょう)、1976年2月16日 - )は、鈍牛倶楽部所属の俳優。 岡山県津山市出身。血液型O型。身長176cm。
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[編集] 受賞歴
- 日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞(2003年)『アカルイミライ』
- エランドール賞 新人賞(2004年)
- 日本アカデミー賞新人俳優賞(2004年)『あずみ』
- 高崎映画祭 最優秀主演男優賞(2004年)『アカルイミライ』
- 日刊スポーツ映画大賞 石原裕次郎新人賞(2004年)『血と骨』
- 東京スポーツ映画大賞 最優秀助演男優賞(2005年)『血と骨』
- 毎日映画コンクール 男優助演賞(2005年)『この世の外へ クラブ進駐軍』、『血と骨』
- キネマ旬報ベストテン 助演男優賞(2005年)『血と骨』
- ブルーリボン 助演男優賞(2005年)『この世の外へ クラブ進駐軍』、『血と骨』
- 日本アカデミー賞 最優秀助演男優賞(2005年)『血と骨』
- ヨコハマ映画祭 主演男優賞(2005年)『メゾン・ド・ヒミコ』、『スクラップ・ヘブン』、『忍 SHINOBI』、『オペレッタ狸御殿』
- キネマ旬報ベストテン 主演男優賞(2006年)『メゾン・ド・ヒミコ』、『オペレッタ狸御殿』、『忍 SHINOBI』など
- 日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞(2006年)『メゾン・ド・ヒミコ』、『スクラップ・ヘブン』
[編集] 来歴・概要
[編集] 俳優デビューまで
- 津山市立津山東小学校3年2組で次長課長の河本準一と同級生だった(河本が告白。ジョー、もっちと呼び合っていた仲らしい)。
- 作陽高等学校卒業後、高知大学理学部に合格するも辞退。ヒューマン国際大学機構大阪校で英語を学びアメリカに渡りカリフォルニア州立大学フレズノ校に入学。映画監督志望のオダギリであったが、入学願書の記入ミス(「drama」の文字を目にした時点で監督養成コースだと勘違いし、マークを付けてしまった)により不本意ながら俳優養成コースを受講。2年で大学を休学し帰国後、日本の俳優養成所を経て1999年、舞台『DREAM OF PASSION』で俳優デビューを果たす。
- オダギリジョー自体は本名だが、漢字ではなくカタカナにしたのは、「譲」だと『ゆずる』と読まれてしまうこともあるため、と語っている。
[編集] イケメンヒーローから演技派俳優へ
- 2000年、テレビ朝日系列で放送された『仮面ライダークウガ』の主人公、五代雄介(ごだい ゆうすけ)役を好演。
- 以後、テレビドラマ、舞台、映画、テレビコマーシャルなど幅広い分野で活躍。映画初主演を果たした2003年公開の映画『アカルイミライ』が日本映画プロフェッショナル大賞で作品賞を受賞。オダギリ自身も主演男優賞を受賞し、一躍関係者からの注目を集めることとなった。
- 2004年公開の映画『血と骨』ではビートたけし演じる在日韓国人・金俊平の息子を名乗る男、朴武を演じた。出演シーンは極めて短かったが、ビートたけしとの過激な喧嘩シーンを中心に圧倒的な存在感を見せつけ同年度の国内の映画賞の助演男優賞を多数獲得した。また2005年公開の映画『オペレッタ狸御殿』ではチャン・ツィイーと競演。『メゾン・ド・ヒミコ』では柴咲コウ演じるヒロインの父親と同性愛の関係を持つゲイの青年という複雑な役柄を演じ切り昨年度に続き主演での男優賞を複数個獲得。イケメンヒーローから演技派俳優への着実な転身を遂げている。
- 先に記したようにアメリカでの滞在歴があるオダギリは英会話に堪能で日常の会話は難なくこなせる。2006年公開の映画『BIG RIVER』では全編に亘って英語で台詞のやりとりをしている。
[編集] 映画監督として
- 俳優として成功を収め独自の地位を確立したオダギリだが先に記したとおり当初は映画監督としての志が強かったため機会があれば自らメガホンを取り短編映画などを製作している。しかし当の本人は、公開に前向きではない。
[編集] バラエティとオダギリ
- 『仮面ライダークウガ』出演時~出演後しばらくは、『秘密の爆笑大問題』のレギュラー出演者を務めるなど、バラエティー番組にも積極的に出演していた。『踊る!さんま御殿』では自らの過去の恋愛に纏わる話を(後年、別の番組で明石家さんまと共演した際、オダギリ本人はそのときのことを語っていたが、それによると、オダギリのトークを気に入ったさんまがその後何度もオダギリに話を振ってきたため「すごく怖くなった」そうである)、『ダウンタウンDX』ではアメリカでの学生生活におけるエピソードを披露していた。そのためそれらの番組の司会者(明石家さんまやダウンタウン)とは現在でも親交が深い。
- 2000年12月からの3年間、BSフジの情報バラエティー番組『週刊BSデジタルマガジン』でタレントの阿部美穂子と共にレギュラー司会者を担当。お笑い芸人として駆け出しの頃の青木さやかや松田大輔(東京ダイナマイト)とも共演。毎回奇抜な衣装で登場し、オダギリ自身も独特のギャグセンスを発揮。「俳優」としての枠を超越した表情を垣間見ることができた。
- 担当のヘアメイクアーティストに薦められ2006年1月11日放送のバラエティー番組『オーラの泉』にゲスト出演。番組で明らかになったオダギリの前世などを以下に記述する。
- 現在は俳優業に専念する意志が強く、バラエティー番組への出演機会は当初に比べて極端に減少している。先に記したような番組は現在、DVD化されるなど、家庭視聴向けの販売がされていない(販売される予定もない)ため一般の視聴者が目にする機会が皆無に近い貴重な映像となっている。
- お笑いコンビ次長課長の河本準一が在籍していた小学校にオダギリが転校してきたため、両者は同級生同士である。河本は自らが人気を獲得すると事あるごとにオダギリとの関係を強調。転校先の土地に不慣れなオダギリを河本が案内したと発言したがオダギリ曰く「そんなことはなかった」。交流が断絶していた時期もあったが決して不仲であったりお互いが存在を忘れていたりということではなく、河本・オダギリの両者がそれぞれの業界で頭角を現しメディアへの露出が頻繁になったことでお互いの存在を再認識し合い、現在では10日に1回はメールで近況の報告などをしている。
- 現在放送されているライフカードのCMがコメディータッチであることからもわかるとおり、映画やテレビドラマで演じることが多い「口数が少なく、つかみどころがない」役柄とは対照的に実生活のオダギリはトークも軽妙で雰囲気も柔和である。
[編集] ファッション
- 記者会見やインタビューなど、公共の場に姿を見せるときのオダギリのファッションは極めて大胆かつ個性的であり、現在でもファッション関連の雑誌で頻繁に表紙を飾る。ファッションに関連した有名なエピソードを以下に記述する。
- 2005年に開催された第28回日本アカデミー賞では、片側だけモヒカンスタイルという奇抜な髪型で登場。最優秀助演男優賞の受賞が華を添えた。翌年度の授賞式にプレゼンターとして再度登場。前年度にも増して奇抜なヘアスタイル(寝起きに近い乱雑な髪型)とファッションには登場時より、会場中から驚嘆とも苦笑とも表現しうる囁き声が聞かれた。最優秀助演男優賞を獲得した堤真一が堪えきれず「受賞の喜びよりもお前の頭、何や!?」と全出席者の心の声を代弁。会場全体が安堵にも似た大きな笑いに包まれ、2年連続でオダギリの奇抜なファッションが受賞者の喜びに華を添えた(堤とはテレビドラマ『ビギナー』で競演)。
- カンヌ映画祭ではタキシードを腕まくりしてレッドカーペットを歩き、関係者を驚かせた。本人いわく「本当は上着を脱ぎたかったんだけど、脱いだら会場に入れないのでこうした」とのことである。
[編集] オダギリと仮面ライダー
仮面ライダークウガで知名度を上げたことで若手俳優として台頭し、また事実上イケメンヒーローブームの立役者であるにもかかわらず、複数のメディアで「事務所の命令で、仕方なくクウガのオーディションを受けた」「変身して戦うヒーローは気持ち悪い」「クウガのオファーを受けた際は俳優を辞めるか死ぬか悩んだ」などと発言。多くのクウガファン・オダギリファンの議論を呼んだ。
「ライダーを演じる人間がライダー好きである必要は無い」「本人の思想はどうあれクウガは見事に演じきった」「自身をメジャーにしてくれたシリーズに対して失礼」「クウガファンの児童がオダギリの発言を知ったらどう思うんだ」等、賛否両論の意見がある。ヒーローの主役を演じた俳優は以降、「ライダー役を超える知名度を得られない」、「児童向け特撮番組に対するイメージから脱却したい」という傾向から、多かれ少なかれ役柄を否定するケースが見受けられる。オダギリの発言は多くのファンの望んだものでは無かったが、ファンも寛容な姿勢を示せば、無益な論争は回避できると考えられる。
なおオダギリは同時に「クウガのスタッフは尊敬している」とも語っており、プロデューサーだった髙寺成紀によれば、オダギリと髙寺らスタッフの交友は今でも続いている。また2005年に雑誌『ピクトアップ』のインタビューでクウガ出演のきっかけを問われたオダギリは、以下のような趣旨の回答をしている。
- 実はクウガの前年にもある特撮番組のオーディションを受けさせられた。しかし自分は変身ヒーローや特撮には嫌悪感が強く、審査員に「自分は本格的な演技がしたくて勉強しているからヒーロー番組には出たくない」等、特撮ヒーロー物を罵る発言を繰返したので、もうこんな話は来ないと思っていた。しかし事務所からの命令があり、クウガのオーディションに行った。
- 不承不承ながら命令に従った理由は、その前年のオーディションの際に会い、その才能に惚れ込んでこの人なら一緒に仕事をしたいと思ったという東映のプロデューサー(名指しはしていないが、内容からクウガのチーフ格であった髙寺を指しているものと思われる。髙寺は先の一件についても現場に居合わせており、オダギリの発言が事実であることを認めている)が参加していることを知らされていたから。
- オーディションの後、そのプロデューサーから一緒にこの番組を作りたい、と大変熱心な説得があったことが決め手になった。
- 自分は「この役を自分が演じたらどうなるだろう」と言う興味を持つ作品のオファーを受けるタイプだと思う。振り返ってみれば、クウガ/五代雄介というキャラクターにはそういう魅力を感じたのだろうし、自分の役者としての姿勢は当時から一貫していたんだな、と思うことがある。
オダギリは『子供向け特撮番組』が嫌いなのではなく、『子ども向け特撮番組』に執着する高年齢のファン、所謂特撮オタクが嫌いなのだ。上記の発言はそういった理由から述べたものだ。と主張するファンも存在する。この主張の根拠として「クウガ終了後に出演したNHKの某トーク番組でそういった旨の発言をしていた」と言うものがある。著作権の関係により原文を掲載する事は出来ないが、「(クウガ撮影中)スタッフは全員、良い物を作るんだ!と、真剣に作品と向かい合っていた」「でも、それを理解しない連中がいて、色々ちょっかいを出してきた」「それは凄く頭にきた」といった発言を某トーク番組でしていたことは事実である。また、クウガの作風を嫌う特撮ファン、俗に言うアンチクウガが行った心無い行動で、オダギリが抱く子供向け特撮番組へのイメージを最悪なものにしたという説も存在する。しかしこの説は(クウガの作風が賛否両論であったと言う事実はあるにせよ)確実な証拠は無く、またオダギリ自身の公式な発言とも矛盾するため、あくまでも噂レベルである事を追記しておく。
結局のところ、オダギリの特撮ヒーロー番組に対する否定的な感情、クウガオーディション参加に際しての「俳優辞めるか死ぬか悩んだ」という心情をもって「クウガ否定」と捉えることには無理がある。オダギリ自身は「クウガ」という作品も「五代雄介」という役も否定・非難する発言はしていない。
[編集] 出演
[編集] 映画
- 金融腐蝕列島 呪縛(2000年・原田眞人監督)
- プラトニック・セックス(2001年・松浦雅子監督)
- 目下の恋人(2002年・辻仁成監督)
- アカルイミライ(2003年・黒沢清監督/主演)
- 曖昧な未来、黒沢清(2003年・藤井謙二郎監督/主演)
- 監督感染(松岡俊介監督「payday」)(2003年)
- あずみ(2003年・北村龍平監督)
- HAZARD(2003年・園子温監督/主演)
- この世の外へ~クラブ進駐軍(2004年・阪本順治監督/主演)
- 血と骨(2004年・崔洋一監督)
- パッチギ!(2005年・井筒和幸監督)
- イン・ザ・プール(2005年・三木聡監督/主演)
- オペレッタ狸御殿(2005年・鈴木清順監督/主演)
- 夢の中へ(2005年・園子温監督)
- メゾン・ド・ヒミコ(2005年・犬童一心監督/主演)
- SHINOBI-HEART UNDER BLADE-(2005年・下山天監督/主演)
- SCRAP HEAVEN(スクラップ・ヘブン)(2005年・李相日監督/主演)
- THE 有頂天ホテル(2006年・三谷幸喜監督)
- BLACK KISS(2006年・手塚眞監督)
- BIG RIVER(2006年・舩橋淳監督/主演)
- ゆれる(2006年・西川美和監督/主演)
- パビリオン山椒魚(2006年・冨永昌敬監督/主演)
- 叫(2006年冬・黒澤清監督)
- 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~(2007年4月・松岡錠司監督/主演)
- 蟲師(2007年春・大友克洋監督/主演)
- SAD VACATION(仮題)(青山真治監督)
- 転々(2007年春・三木聡監督/主演)
- たみおのしあわせ(2007年夏・岩松了監督/主演)
[編集] テレビドラマ
- 仮面ライダークウガ(2000年主演、テレビ朝日系)
- OLビジュアル系 2nd Season(2001年、テレビ朝日系)
- 嫉妬の香り(2001年、テレビ朝日系)
- 夏の王様(2001年、NHK)
- 初体験(2002年、フジテレビ系)
- 愛の手前 恋のとなり(2002年、テレビ朝日系)
- サトラレ(2002年、テレビ朝日系)
- 天体観測(2002年、フジテレビ系)
- 顔(2003年、フジテレビ系)
- さとうきび畑の唄(2003年、TBS系)
- ぼくらはみんな生きている(2003年主演、テレビ朝日系)
- ビギナー(2003年、フジテレビ系)
- 新選組!(2004年、NHK大河ドラマ)斎藤一
- 海峡を渡るバイオリン(2004年、フジテレビ系)
- 不機嫌なジーン(2005年、フジテレビ系)
- 新選組!! 土方歳三 最期の一日(2006年、NHK正月時代劇)斎藤一
- 時効警察(2006年主演、テレビ朝日系)
[編集] OVA
- i -wish you were here-(2001年・ユウジ)
[編集] ナレーション
[編集] CM
- 任天堂ポケモンミニ(2001年)
- グンゼYG-X(2003年)
- キリンビバレッジ烏龍聞茶(2003年)
- ソニーMDウォークマン/サウンドゲート(2003年)
- パワードコムポイント(2003年)
- 宝酒造スキッシュ(2004年)
- ロート製薬の目薬・ロートZiシリーズ(2004年~2005年)
- アサヒ飲料若武者(2005年)
- ホーユーMen's Beauteen(2002年~)
- ライフカード(2004年4月~)
- 富士通F902i(2005年12月~)F902iS(2006年6月~)
- 森永製菓ウィダーinゼリー(2006年4月~)
- 旭化成サランラップ(2006年4月~)
[編集] 舞台
[編集] 音楽
[編集] シングル
- 『チェリー・ザ・ダストマン』(2006年8月23日発売)
- 勝手にしやがれ+オダギリジョー名義。「勝手にしやがれ」とのコラボレーション作。オダギリがボーカル&プロデュースを担当し、カップリング曲ではギターも披露している。
- 『“t”』(2000年11月18日発売)
- 「“t”」「空へ飛ぶ時」「空へ飛ぶ時(Remix:栃木“Cherry”哲也&小泉一郎) 「“t”(Plugged)」収録。
[編集] アルバム
[編集] その他
- 「母の教え給いし歌」『メゾン・ド・ヒミコ』(2005年8月24日)
- 公式サイトには、Mother's Song / Vocal: Joe Odagiri with chor of the "La Maison de Himiko”と記載されているが、CD収録曲ではオダギリの声はほとんど聞こえない。
- 「恋する炭酸水」「古今和歌」「霊峰・快羅須山のララバイ」『オペレッタ狸御殿 オリジナル・サウンドトラック』(2005年5月11日発売)
- 「恋する炭酸水」「古今和歌」はチャン・ツィイーとのデュエット。「霊峰・快羅須山のララバイ」はソロ。
- 「悲しくてやりきれない」『パッチギ!(サウンドトラック』(2005年1月19日)
- フルバージョンで収録。