XP-83 (戦闘機)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
XP-83はベルエアクラフト社がアメリカ陸軍航空隊向けに開発していたジェット戦闘機。1945年に初飛行したが、2機の試作のみで制式採用はされなかった。
[編集] 概要
第二次世界大戦中において、アメリカはジェット戦闘機の開発を行っていた。ベルエアクラフト社は、アメリカ初のジェット戦闘機P-59(初飛行1942年)を開発していたが、初期のジェットエンジンの欠点である燃費の悪さにより、航続距離は380kmと短いものであった。アメリカ陸軍航空隊は、爆撃機の護衛が可能な長距離戦闘機を求めており、1944年3月にベルエアクラフト社に打診を行い、7月31日に2機の試作機を発注した。
機体の概要は、P-59を踏襲しており、葉巻型の胴体に直線翼・中翼配置の主翼である。エンジンは、主翼付け根・胴体下部に左右一基づつ搭載している。エンジンの燃費が悪いものの、大きな燃料タンクを搭載することにより、航続距離を得るようになっている。このため、胴体は太いものとなっており、機内タンクは4,350リットル、さらに増槽は950リットルの容量があった。最大航続距離は3,500kmにおよぶ。また、コックピットは与圧され、水滴型となっている。武装は1号機は12.7mm機銃、2号機は15.7mm機銃を機首に横一列に装備している。
試作初号機は1945年2月25日に初飛行している。2号機は10月19日に初飛行しているが、飛行性能が予想を下回り、また第二次世界大戦が終結したために、開発は中止された。
1946年に初号機はラムジェットの試験機として使用されたが、9月14日にエンジン火災で失われた。2号機は1947年にスクラップにされている。
[編集] 要目
- 全長:13.67m
- 全幅:16.15m
- 全高:4.65m
- エンジン:J33-GE-5ターボジェットエンジン(推力:1,700kg)1基
- 乗員:1名
- 最大速度:840km/h
- 最大航続距離:3,500km
- 武装:12.7mm機銃 6門