XP-60 (航空機)
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XP-60は、アメリカ合衆国の名門戦闘機メーカーのカーチスが、自社のP-40の後継戦闘機を開発しようとして製作した試作戦闘機群である。さまざまなエンジンを搭載した試作機が製作されたが、 P-47、P-51 に性能がおよぶことはなく、量産には至らなかった。
[編集] 概要と開発経緯
1941年10月、P-40 の後継機として層流翼と倒立水冷エンジン、コンチネンタル XIV-1430 を搭載する XP-53 の試作が発注されたが、その6週間後、ロールス・ロイス マーリンエンジンを搭載する戦闘機の試作に変更され、あらたに XP-60 の名称が与えられた。
XP-60 はマーリン V-1560 エンジン (1,300 HP) を積んで1941年9月に初飛行し、611 km/h の最高速度を示した。マーリンは P-51 に優先的に供給されることになった。そのため、P-60 の量産にはターボチャージャー付のアリソン製エンジンを使うこととし、1941年10月に量産の契約が結ばれたが、アリソン製エンジンの非力さは明白だった。そこでアメリカ陸軍はカーチスにリパブリック社の P-47 の生産を請け負うことを提案した。1942年1月、カーチスはP-47を2,400機、P-40を1,400機、P-62を100機生産する契約を結んだ。さらに何種類かの XP-60 が開発されることになった。
- XP-60A:1942年11月に初飛行。アリソン製エンジンで最高速度 676 km/h。
- XP-60C:1943年1月に初飛行。空冷のP&W R-2800 (2,000 HP)で666 km/hをだした。2重反転プロペラが採用された。
- XP-60E:1943年5月初飛行。2,100 HPのR-2800で660 km/hをだした。試験途中で事故をおこしたため、XP-60C の機体にエンジンを載せ変えて試験を継続した。
すでに実用化されていた P-47D の最高速度692 km/h、P-51D の 708 km/h という性能に比べるといずれも魅力に乏しいのは明白で、2機の追加試作機YP-60のみが発注され、開発はキャンセルされた。