XF-92 (戦闘機)
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XF-92は、アメリカ合衆国のコンヴェア社が開発していた戦闘機。デルタ翼のジェット機である。開発途中で実験機扱いとなり、制式採用はされなかった。
[編集] 概要
第二次世界大戦おいて、ドイツが敗北するとそこで研究されていた優秀な航空技術がアメリカへ流入することとなった。その中には、アレキサンダー・リピッシュ博士が研究を行っていたデルタ翼機の資料もあった。
アメリカ陸軍航空隊から1945年9月に超音速迎撃機の要求を受けていたコンヴェア社は、後退翼機の開発案を検討していた。その後、リピッシュ博士の資料を入手し、デルタ翼機のアイデアを基にしたものを提案した。この提案は陸軍航空隊の受けるところとなり、XP-92として1946年5月から開発が開始された。
XP-92の当初開発案では、ターボジェット・ラムジェット・ロケットの三種類の複合動力機とする案もあったが、軍が本機を実験機扱いすると決定したために、機体は当初予定より小型になり、動力はターボジェットのみとなった。なお、この際に名称もXP-92Aに変更された。
機体の概要は、機首にインテイクを持つデルタ翼機であり、垂直尾翼も三角形をしている。機首は胴体中央部よりもやや細く絞り込まれている。後退角は風洞実験などの結果、60度となり、主翼配置も中翼配置であった。
XP-82Aの機体は、1947年に完成したが、エンジンが決定しなかったために、初飛行は1948年4月1日であった。エンジンは当初アリソンJ33-A21(推力 2,087kg)であったが、1951年にはアフターバーナー付のJ33-A-29(推力 3,720kg)に更新された。なお、名称も1948年6月にXF-92Aに変更されている。
テストパイロットとしては、チャック・イェーガーやアルバート・スコット・クロスフィールドが搭乗している。
本機は、音速突破が降下中の一回しかなく飛行特性も良くないなど、問題点は多く出たものの、デルタ翼機の特性研究には有効であり、その後、アメリカ空軍はF-102、F-106、B-58などの開発に貢献したといえる。
[編集] 要目
- 全長:12.92m
- 全幅:9.52m
- 全高:5.38m
- 空虚重量:4.1t
- エンジン:J33-A-29(推力 3,720kg)1基
- 乗員:1名
- 武装:なし