WiLL
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WiLL(ウィル)は、1999年8月2日より開始された日本の異業種による合同プロジェクト名である。商品の全てが「WiLL」のブランド名とオレンジ色のロゴで統一された。
このプロジェクトは花王、トヨタ自動車、アサヒビール、松下電器産業、近畿日本ツーリストの5社で開始され、その後江崎グリコ、コクヨが参入した。
2004年7月にプロジェクトの公式サイトは閉鎖され、大多数の企業はプロジェクトを中止した。しかし、その後もコクヨや近畿日本ツーリストは引き続き同ブランド名を用いた商品またはサービスを提供していく意向を表明している。
[編集] プロジェクトの内容
プロジェクトの特徴は、20代から30代を中心とする「ニュージェネレーション層」をそのターゲットとしたことである。この購買層は「自分らしさ」「こだわり」を意識し、他の世代とは異なった消費行動を示すと想定され、それに合わせた商品開発、およびマーケティング手法の模索から生まれたのがWiLLであった。いわば、マーケティングの合同実験である。
WiLLという名称には生産者(企業)から明確な主張(意志=will)を発信し、それを生活者と共感することによって新たな市場、生活・消費の様式を生み出していくという意味が込められている。このことを”遊びゴコロと本物感”というフレーズにより表現していた。
具体的には、個性を尊重するためのカスタマイズサービス(例えば、自分の好きな色を選べる電化製品など)や、白を基調として清潔感をアピールした商品が開発され、特にデザインの面において従来品とは一線を画す画期的な発想を見せた。しかしその反面、奇抜すぎるデザインが実用性に欠けるという指摘もあった。
[編集] 結末
WiLLによる効果は参加企業の間でも様々で、売上増に結びつかなかった企業もあれば、新たな市場開拓に成功した企業もある。これら参加企業間の温度差が、2004年のプロジェクトの事実上の瓦解につながったといえる。
いわゆる強者連合(勝ち組連合)による企画でも、必ずしも成功するわけではない、というマーケティング上の教訓を残したプロジェクトと言えよう。
消費者は「ブランド」で購入するとマーケッターは思いがちだが、実際の消費者は商品実物を手にとっての判断を行うということが、改めて再認識されたマーケットの事件であったともいえよう。
[編集] 主な商品
- アサヒビール
- WiLL スムースビア
- WiLL スウィート ブラウン ビール
- 江崎グリコ
- WiLL アイスフォーリラックス
- WiLL オンタイムチョコレート
- WiLL リラックスタブレット
- WiLL 黒豆のど飴
- 花王
- WiLL クリアミスト
- WiLL 空気を洗うミスト
- WiLL OneWeekアロマ
- 近畿日本ツーリスト
- WiLL TOUR CITY & RESORT
- WiLL TOUR 北海道
- WiLL TOUR 九州
- WiLL TOUR 沖縄
- WiLL TOUR SPORT
- トヨタ自動車
- 松下電器-Panasonic
- パーソナルファクス(子機1台付き) KX-PW110CL 及び同付属子機KX-FKN110
- パーソナルノンフロン冷蔵庫「WiLL FRIDGE mini」 NR-B162R
- 液晶デスクトップパソコン WiLL PC