Symbian OS
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Symbian OS(しんびあんおーえす)はシンビアンによる携帯機器向けオペレーティングシステムであり、関連するライブラリ、ユーザインタフェースフレームワーク、一般的なツールの参照実装が含まれる。
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[編集] 採用例
Symbian OSを使用したユーザインタフェースにはUIQやノキアのS60(旧称Series 60)/Series 80 /Series 90、NTTドコモのMOAPなどがある。ユーザインタフェースの高い適応性によりSymbian OSをさまざまなフォームファクターのデバイス(クラムシェル型やタブレット型、キー入力式やペン入力式、PDAや携帯電話など)で使用することが可能となっている。
海外では、UIQはソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズやモトローラのペン型スマートフォンに、S60はキーパッド型スマートフォンに、Series 80はコミュニケータと呼ばれるフルキーボード型スマートフォンに、Series 90はノキアのペン型スマートフォンにそれぞれ採用されている。
日本では富士通(F)と三菱電機(D)、シャープ(SH)とソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(SO)がNTTドコモ向けFOMA携帯電話に使用している。ただしこれらFOMAのSymbian端末は「MOAP」と呼ばれるクローズドなユーザインタフェースを採用しており、サードパーティが自由にソフト開発を行うことができない。モトローラ製M1000は例外で、UIQインタフェースを採用しており、サードパーティ向けにAPIが公開されている。ボーダフォンからは、S60ユーザインタフェースを採用したノキア製702NK、702NK IIと804NKが発売されている。
[編集] プログラミング上の特徴
Symbian OSの最大の利点は数ヶ月から数年にわたって稼動しつづける可能性のあるリソースの少ない携帯機器のために設計されているという事実である。メモリを節約することが強調されており、ディスクリプタやクリーンアップスタックなどのSymbian OS固有のプログラミングイディオムが使用されている。他の技法と組み合わせることによってメモリの使用量を低く保ち、メモリリークの発生を抑える。またディスクスペースを節約するための同様の技法も存在している(実際にはSymbian機器の記憶装置はディスクではなくフラッシュメモリであることが多い)。
さらに、全てのSymbian OSプログラミングはイベント駆動方式であり、アプリケーションが直接イベントを処理していないときにはCPUはオフにされる。これはアクティブオブジェクトと呼ばれるプログラミングイディオムによって達成されている。こうした技法が正しく使われなければ、アプリケーションが携帯電話のバッテリーを数時間で消費してしまうこともある。正しく使えば、バッテリーの持続時間は飛躍的に向上する。
このような特徴により、Symbian OSのC++コードは非常に特殊化したものとなっており、プログラムすることはかなり難しい。ただし、Symbian OS機器はOPL、Python、Visual Basic、Simkin、Perl、さらにJavaのJ2ME環境やPersonal Java環境でプログラムすることも可能である。
[編集] ウイルス問題
2004年にはSymbian OS S60を使用した携帯電話を対象にした最初の携帯電話ウイルス(ワーム)「Cabir」 が登場した。このワームはBluetoothを使用して近くの携帯電話に伝播する。 ただし、Symbian OSであれば何でも感染するわけではなく、S60を採用したものに限られる。