Share (ソフトウェア)
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Share(シェア)とは、Windows2000/XP上で動作するファイル共有ソフトである。しばしば「洒落(しゃれ)」とも呼ばれる。
開発元: | 村長 (ファイル倉庫NT56s0tGbv) |
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最新版: | Ver1.0 EX2 / 2006年4月1日 |
対応OS: | Windows |
種別: | ピア・ツー・ピア |
ライセンス: | フリーウェア |
公式サイト: | Freenet上のみ |
目次 |
[編集] 概要
ネットワークの仕組みはピュアP2Pであり、Winnyを意識して作られている為、Winnyと同様乃至酷似している部分が多い。一方Winnyとの相違点としては、拡散アップロード機能や、クラスタの簡易切り替え機能、ポート0での使用は不可能、ファイル転送は中継しない、などの点が挙げられる。
また、Shareには専用のプラグインを追加できる機能も備わっており、SharePDKと呼ばれるプラグイン開発キットもあることから、多数のプラグインが開発されている。
2005年2月23日には、TCPではなくUDPを使ったShare UDPが公開された。 バージョンに「Net Test」、又はその略である「NT」と入ったものがそれに当たる。 TCP版とUDP版はネットワークの互換性がない事を除けば同じである。又、TCP版とUDP版の設定ファイルは共用出来ない。
基本的に最新版はShareネットワーク内でのみ公開されるが、Winny等の他のP2Pネットワークにも存在し、また一部インターネット上に多くミラーされているバージョンもあるので、それを用いてネットワークに参加し、最新版を入手することもできる。
Share | Winny | LimeWire | ||
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バージョン | 1.0 ex2 (2006/4/1) |
2.0 β7.1 (2003/11/11) |
4.12.6 (2006/12/15) |
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動作プラットフォーム | Windows2000/XP | Windows95 以降 | Java が動作するシステム | |
シェア [1] | 11.8% | 33.3% | 19.8% | |
最大ファイルサイズ | 32GiB | 2GiB | 4GiB? | |
NAT, Firewall越え | 難 (要ポート開放設定) | 楽 (ポート0モード) | 楽 | |
開発 | 作者 | (村長) | 金子 勇(47氏) | Lime Wire LLC |
開発開始 | 2003/11/28 | 2002/4/1 | 2001/1 以前 | |
ネットワーク | プロトコル | 独自 | 独自 | Gnutella |
概要 | ファイル検索用接続とファイル転送用接続に分かれている。 検索用接続は常時、転送用接続は必要に応じて行われる。 |
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トポロジー | メッシュ | 階層付メッシュ | メッシュ | |
繋ぎ換え頻度 | 頻繁 | 時々 | ? | |
クラスタ構築 | キーワード(最大5つ) ノード優先度 |
キーワード(最大3つ) ノード優先度 |
無し | |
検索 | ファイル情報の収集・拡散 | 隣接ノードと交換・選別 | 上流ノードに集約 | 何もしない。 |
ファイル情報の検索 | 自身のノード内から検索 | 上流ノードにクエリを送信 | 周辺ノードにクエリを送信 |
[編集] 開発の経緯と現状
2004年1月5日に公開され、Winnyユーザーに逮捕者が出たことがきっかけで、WinnyからShareに乗り換えるユーザーの増加に拍車が掛かった。
Share作者は、著作権法に抵触する利用は控えるようにと言っている。だが、違法な利用者が大半を占めているのが現状である。アイコンは攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEXの笑い男を模倣している。
[編集] 安全性の確保
Shareの通信において、暗号化アルゴリズムはRC6を使用している。他にもRC4を使用している部分がある。Shareの暗号通信は安全と思われていたが、ネットエージェントのOnePointWall等により解析可能になったため、暗号化に関してWinny同様に疑問が生じた。
ただしWinnyと同様に、通信路の暗号化は大して重要ではない。Shareでは一次配布ノードがファイルをアップロードする際、そのファイルを要求するノードと直接通信するのではなく、他のノードに断片を撒き散らす拡散アップロードという手法が使われるため、一次配布ノードの特定はWinnyより難しいと考えられる。
ファイルのハッシュ値やID(トリップキー)はSHA-1により生成される。
[編集] ダウンロード速度
Winny等と同様に、需要のあるファイルは求めて群がるノードの数が膨大なものとなり、結果としてキャッシュが大量にコピーされ、ダウンロード速度が上昇し素早く流通する。
Shareは、Winnyと比較して一次配布開始から流通するのが早い傾向に有る。これは、他のノードとキーを交換する際に、Winnyは常にランダムに選んだキーを交換するのに対して、Shareはランダムに選びつつも新しいファイルのキーを優先的に交換・保持する性質があるからである。
一方で、一次配布開始から時間が経ったファイルは次第に歯抜け状態になり、ダウンロードしにくくなる傾向に有る。この現象はキャッシュを保持するノードの数が加速度的に少なくなっていき、ついには完全な状態のキャッシュがネットワーク上に存在しなくなる状況が頻繁に発生することによる。
[編集] Share発祥のウイルスについて
Winnyにおけるウイルスは社会現象にまで発展したが、Shareにおいても情報流出に結びつく恐れのあるウイルスが確認されている。
- 「Shareドクロ」というウイルスが確認された。これに感染するとShareのダウンロードリストにドクロの記号が追加される他、Share終了時にキャッシュが削除される、Share起動中はデスクトップのスクリーンショットが一定周期ごとに公開されるといった症状を引き起こす。
- 2006年2月下旬からは、感染者のパソコンをサーバ化してハードディスクの中身やデスクトップの画面を常時画像キャプチャし全てを公開、さらに感染者同士を相互にリンクする「山田オルタナティブ」というウィルスが発見された。
- 2006年4月頃にもShare上で動作する暴露ウイルスが確認されている。これで重要情報が流出した事例もある。
[編集] ウイルス対策
まず、Shareの利用を控えるべきである。
多くの感染方法が初歩的な手口であるのに関らず多くの感染者が居る点は注目に値する。 感染は自分のみならず他の多くの人にも迷惑がかかる場合が多いので、「自分は大丈夫」と思わずにShareの利用を控えるべきである。
どうしても利用するのであれば、ウイルス対策を必ず行うこと。 個人情報の流出が後を絶たないため以下に傾向と対策を示す。
WinnyやShareで流通している主なウイルスには以下の特徴や感染手口がある。
- 国産のウイルスが多い。ウイルス対策ソフトの対応が遅れる傾向にあり、より危険性が高くなっている。
- セキュリティホールを狙ったものが多い一般のウイルスと異なり、不注意によって実行させようとするものが多い。
- 長いファイル名の後半の表示が省略されることを利用して、危険な拡張子を隠して安全な拡張子への偽装を図るものが多い。
- isoイメージファイル等にウイルスを混ぜておき、DaemonTools等の仮想CDドライブソフトでマウントしたときにWindowsのオートラン機能によってウイルスが実行されるように仕掛けられたファイルも存在する。
- 一次配布者の特定が難しい性質はウイルス配布者にとっても都合が良く、Webとは比べ物にならないほど積極的に配布され流通している。
- Web上でウイルスの配布を行い、それらをShareネットワーク上に再配布するよう促している者も居る。
以下に考えられる対策を挙げる。
- 過信はできないがウイルス対策ソフトを導入・調整しておくことで危険性を少しでも減らすことができる。
- 「フォルダオプション」→「表示」→「登録されているファイルの拡張子は表示しない」のチェックを外す。
- 上記の設定を行ってもなお表示されない拡張子があるので、以下のレジストリを削除して対策する。再起動後に効果が出る。「スタート」→「ファイル名を指定して実行...」→「regedit」でレジストリエディタを起動できる。
- HKEY_CLASSES_ROOT\piffile\NeverShowExt
- HKEY_CLASSES_ROOT\ShellScrap\NeverShowExt
- HKEY_CLASSES_ROOT\SHCmdFile\NeverShowExt
- ダウンロードフォルダ及び、ダウンロードしたファイルの解凍先として使うフォルダについて、以下の手順でバイナリ・プログラムの実行を禁止する設定を施しておくことで、万が一誤って偽装されたウイルスを開いてしまっても感染を防ぐことができる。但し、スクリプトウイルスには効果は無い。
- 設定を施すフォルダの「プロパティ」を開き、「セキュリティ」タブ内の「詳細(V)...」を押して「アクセス制御の設定」を開く。
- 「アクセス許可」タブ内の「追加(D)...」を押して「ユーザーまたはグループの選択」を開き、"Everyone"を選択して"OK"を押す。
- 「アクセス許可のエントリ」が開くので「適用先(O)」を「ファイルのみ」に変更し、「フォルダのスキャン/ファイルの実行」の「拒否」にチェックを入れて"OK"を押す。
- 「アクセス制御の設定」でも"OK"を押すと、拒否エントリが優先される旨の忠告が表示されるが構わず「はい」を選ぶ。
- 最後に「プロパティ」で"OK"を押すと設定完了。フォルダの中に安全なプログラムを入れて実行を試し、拒否されることを確認しておくと良い。
- アイコンを偽装する手口も多いので、システムで利用しているアイコンを標準のものから変更する。
[編集] 関連項目
[編集] 出典
- ↑ ACCSニュースリリース 「ファイル交換ソフト、現在利用は3.5%に」、 財団法人コンピュータソフトウェア著作権協会、 2006年7月25日