S-LCD
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S-LCD(エス・エルシーディー、S-LCD Corporation、에스-엘시디)は、
ソニーとサムスン電子が合弁(サムスン電子に自社パネル開発を諦めたソニーが出資をした形)で設立した。
液晶パネル生産会社である。資本金は2兆1000億ウォンで、サムスン電子が全株式の50%+1株、ソニーが50%-1株を出資する。
元々サムスン電子の工場があった韓国忠清南道牙山市湯井(タンジョン)にあり、
生産設備は第7世代基板を生産し、6万枚/月(基板サイズは1870mm×2200mm)の生産能力を有する。
敷地面積61万坪。東京ドーム43個分。まさに要塞である。
工場の第7ラインは2つに分かれていて、S-LCD用のものは「7-1ライン」と呼ばれている。
「7-2ライン」がその横に並び、こちらはサムスン専用。7-1ラインだけでも
第7世代とよばれる1870mmx2200mmのガラス基板に対応した生産設備が導入され、
このラインだけで月産6万枚の能力がある。その東側には250mx126m、地上7階建てのモジュール(最終組み立て)棟がある。
さらに、第7ラインの西側には第8ライン、北側には第9ラインと第10ラインの敷地が確保されていている。
フル稼働すれば、湯井だけで月産50万枚程度。
仮にすべて第7世代パネルで歩度まり70%とすれば、32インチの液晶テレビ用パネルを1カ月400万枚も生産できる能力を持つことになる。
1年間では5000万近い。現在のブラウン管テレビの年間出荷台数が1億数千万台。将来、ブラウン管が液晶やプラズマに置き換わった時に、
何と、その半分近くを湯井工場だけで賄ってしまおうという壮大な計画である。
国内に目を向けると、シャープが、三重県亀山に液晶パネルを含む工場をがあるがその規模は、
湯井工場の5分の1以下、しかも液晶パネル専門工場ではない。
現在、湯井団地内にある第7世代ディスプレイパネル製造ラインの横、57,985平方メートルの敷地に、
2007年までに合計19億米ドル(約2,220億円)を投資して第8世代の製造ライン工場を設立している。
ここで投資される19億米ドルは、サムスン電子とソニーが折半して出し合うこととなる。
こうして完成する予定の第8世代工場の生産能力は、ガラス基盤ベースで5万枚/月が予定されている。本格稼動は2007年の秋頃。
[編集] 沿革
[編集] 代表取締役
- 代表取締役社長 CEO 張元基(チャン・ウォンギ、장원기)
- 代表取締役 CFO 中沢啓二(なかざわ けいじ)
[編集] S-LCDとソニーパネル
ソニーの液晶テレビ「BRAVIA」のカタログには「ソニーパネル」を使用している旨の記載がある。だが実際、液晶パネルはソニーではなくS-LCDが生産している。よってカタログやWebなどの「ソニーパネル」という単語には脚注がついており「ソニーパネルはS-LCD社製です」、もしくは「S-LCD商標を付したソニー仕様パネルです」と記載されている。しかしながら、このような名称が消費者に誤解を与えている、という指摘もなされている。
ちなみに、液晶プロジェクションテレビ用の液晶パネルはソニーが製造しているため「ソニーパネル」という単語には脚注がついていない。