PDPシリーズ
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PDPシリーズ(ピーディーピー・シリーズ)は、デジタル・イクイップメント・コーポレーション(DEC)社のコンピュータシリーズである。PDPは Programmed Data Processor の略である。PDPシリーズが登場した当時、コンピュータは大きくて高価な機械であると思われていた。PDPは、そのような大きなコンピュータが入り込めない市場を切り開いた。
PDPマシンは基本的にワード長によってファミリに分けられる。例外は 16ビットのPDP-11で、アーキテクチャ的には最も複雑な 36ビットのPDP-6やPDP-10に類似している。
[編集] PDPシリーズの詳細
PDPシリーズは、以下の通りである。
- 18ビット(PDP-1)ファミリ
- PDP-1: 最初のPDP(1960年)。初期のタイムシェアリング オペレーティングシステムが動作する。初期のハッカー文化の源でもある。世界初のコンピュータゲームのひとつ スペースウォー!はこのマシン上で開発された。
- PDP-3: DECの設計としては初の 36ビットマシンだが、製品としては販売されなかった。ある特定の顧客向けに1960年に製造されたものである。アーキテクチャ的には PDP-1 を 36ビット幅に引き伸ばしただけのものである。
- PDP-4: PDP-1の低価格版として開発されたが、性能が低く商業的には成功しなかった。後のPDPの18ビットマシンはこの命令セットに基づいている。
- PDP-7: PDP-4 の後継機。DEC初のワイヤーラップ機。最初のUNIXが開発されたマシンでもある。
- PDP-9: PDP-7の後継機。DEC初のマイクロプログラム方式マシンである。
- PDP-15: DEC最後の 18ビット機。18ビット機としては唯一のTTL 集積回路 を使って作られたマシンである。これ以降のバージョンは "XVM"ファミリと呼ばれる。
- 12ビット(PDP-5)ファミリ
- PDP-5: DEC初の 12ビットマシン。その命令セットは後の PDP-8 でも使われた。コストを削減するため、メモリの 0 番地をプログラムカウンタとして使用しており、ハードウェアによる独立したレジスタを設けなかった。
- PDP-8: PDP-5から受け継いだ小さな命令セットの 12ビットマシン。DECとしては商業的に成功した最初のコンピュータである。学校、大学、研究所などが購入した。後のモデルは DECmate ワードプロセッサと VT-78 ワークステーションと組み合わせて使われた。
- LINC-8: LINCとPDP-8を結合したコンピュータであり、ふたつの命令セットを持つ。PDP-12の元となった。
- PDP-12: LINC-8の後継機
- PDP-14: 工業機械制御向けのマシン
- 36ビット(PDP-6)ファミリ
- PDP-16: レジスタ・トランスファ・モジュールを使った半組み立て式のコンピュータ。PDP-14より高機能な工業機械制御向けマシン。PDP-16/Mが標準バージョンとして販売されている。
[編集] 関連するコンピュータ
- LINC(Laboratory Instrument Computer)は、マサチューセッツ工科大学 (MIT) の Lincoln Laboratory で設計され、いくつかはDECが製造した。PDPファミリではないが、PDP-12の元になったコンピュータとして重要である。
LINC と PDP-8 は世界初のミニコンピュータと考えられる。また、同時に世界初のパーソナルコンピュータと言うこともできる。PDP-8 と PDP-11 は PDP シリーズの中では最も広く使われた。
DEC は噂された PDP-20 を作ることはなかったが、TOPS-20 を搭載した PDP-10 をそのように呼ぶことがある。
- DVK パーソナルコンピュータは、ソビエト連邦 で 1970 年代に開発された PDP のクローンである。
- エレクトロニカ60も、ソビエト連邦 で 開発された PDP-11 のクローンである。また有名なコンピュータゲーム「テトリス」は、このエレクトロニカ60でアレクセイ・パジトノフが作ったものが始まりである。
[編集] 外部リンク
いずれも英文。
- Mark Crispin's 1986 list of PDP's(英語版はここから転載している部分がある)
- DEC's PDP-6 was the worlds first commercial time-sharing system スミソニアンでの Gordon Bell のインタビュー