Fシリーズディーゼル機関車
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Fシリーズディーゼル機関車(- きかんしゃ)は、ゼネラルモーターズの機関車部門(Electro-Motive Division 略称GM-EMD)が1939年から1960年に製作したディーゼル機関車。アメリカ合衆国、カナダ、メキシコで使用された。
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[編集] 概要
FシリーズのFはfreightの頭文字を表している。この頭文字に示されているように、もともとは貨物用として設計されていたが、旅客用として使用されることも多かった。この系列の機関車の形式は全てFではじまる。Fシリーズの軸配置はB-B(2軸×2)で、ブロムバーグ社の2軸台車を2つ備え、全軸駆動であった。エンジンは、16シリンダーの567シリーズで、16-567から16-567Cまで数種類が存在する。車体はブリッジ-トラス式の一体構造で、大枠と骨組みで車体強度を確保し、外壁のパネル部分のみが非構造材であった。なお、Fシリーズの後継であるGPやSDシリーズは台枠で強度を確保し、車体は表面を被うだけのものになっている。 最終組み立てはイリノイ州ラグレーンジのGM-EMD工場で行われていた。販売された鉄道会社はアメリカ合衆国に加え、カナダからメキシコの広範囲にわたった。
Fシリーズはカバード・ワゴン(幌馬車)と呼ばれることがある。Fシリーズに牽引された列車は、ワゴン・トレインと呼ばれる。この呼称は鉄道ファンの間では未だに良く使われている。こう呼ばれるようになった理由は Fシリーズ機関車の屋根が西部開拓時代に用いられたコネストーガ馬車に良く似ているからである。
Fシリーズはアメリカの第一世代のディーゼル機関車としてはもっとも成功した機関車で、高い信頼性をもとに、貨物列車牽引の分野での蒸気機関車を次々に置き換えていった。
[編集] Fシリーズの各形式
- FT (1939-1945) 1,350馬力 Aユニット555両、Bユニット541両
最初のFシリーズ機関車。運転台付きのAユニットと運転台無しのBユニットの2両連結運転を基本として販売されたため、両ユニットの製造両数がほぼ同じ数となっている。GM-EMDはディーゼル機関車製造を専門とする機関車メーカーであったために、多くの既存の機関車メーカーのディーゼル機関車製造が禁じられた第二次世界大戦時も製作が続けられた。
- F2 (1946) 1,350馬力 Aユニット74両、Bユニット30両
出力はFTと同じだが、デザインは後のF3と同様という過渡期の車両。
- F3 (1946-1949) 1,500馬力 Aユニット1111両、Bユニット696両
出力が1500馬力に向上したFT、F2の後継車両。F7と同じ電動機を備えたものがあり、F5と称される事がある。
- F7 (1949-1953) 1,500馬力 Aユニット2366両、Bユニット1483両
出力はF3と同様だが、電気関連機器のグレードアップが図られたF3の後継車両。
- FP7 (1949-1953) 1,500馬力 Aユニット378両
F7のAユニットの車体を延長し、蒸気発生器用の水タンクを搭載した車両。
- F9 (1954-1957) 1,750馬力 Aユニット87両、Bユニット154両
567Cエンジンの使用により出力が1750馬力となった。
- FP9 (1954-1959) 1,750馬力 Aユニット79両
FP7と同様の旅客用F9
- FL9 (1956-1960) 1,750/1,800馬力 Aユニット60両
ディーゼル機関車が乗り入れられないマンハッタン島へ非電化区間から列車を直通させるために作られた、ディーゼル・電気併用の機関車。電化区間では第三軌条からの集電で走行する事ができる。ニューへブン鉄道向けに製作された。
[編集] 旅客列車の牽引
Fシリーズはその名称由来の通り、貨物列車の牽引用に製作された機関車であるが、かなりの両数が旅客列車の牽引にも使用された。最初のFTは旅客列車の暖房用の蒸気発生器を持たなかったが、Bユニットの後部には空きスペースがあり、いくつかの鉄道会社ではここに蒸気発生器を設置した。この事例を参考に、GM-EMDはF3の販売時に、蒸気発生器をオプションで取り付け可能とした。これらの蒸気発生器は車体後部に設置され、車体後部の排気口と安全弁で見分ける事ができる。
Fシリーズの旅客運用は山岳地帯でよく見られた(EMDも山岳地帯での使用を推奨していた)。Eシリーズ(旅客用、1800馬力)の3連とFシリーズの4連は同じ5400馬力であったが、動力モーターが前者の12に対し、後者は16と多く、高負荷に耐えやすいという特徴を持っていた。また、モーターを持たない車軸を持つEシリーズに対し、Fシリーズは全軸駆動であったために牽引力も大きかった。
長距離列車の牽引に加えて、通勤列車や短距離列車での使用も盛んであった。これらの任務では特にF7が多用された。
[編集] 追加機器
Fシリーズには鉄道会社のニーズに合わせて追加される以下のような機器があった。
[編集] ダイナミックブレーキ
急勾配が存在する路線の運行や山岳地帯の鉄道会社で取り付けられた。
[編集] スカート
旅客用のスカートと貨物用のスカートを選択できた。旅客用のスカートはEシリーズのものと同様で、ノーズのカーブに合わせたスムーズな形状になっていて、ヘッドライトからスカートの先まで一体感のあるデザインを構成していた。連結器の収納スペースも設けられ、機関車が先頭に立つ場合、そこに連結器を隠すことができた。
貨物用のスカートは、ノーズよりも内側に設けられた。連結器やブレーキホースは剥き出しの構造になっていた。
[編集] 文献資料(英語)
References
- Marre, Louis A. (1995). Diesel Locomotives: The First 50 Years. Kalmbach Publishing Co. ISBN 0-89024-258-5.
- Pinkepank, Jerry A. (1973). The Second Diesel Spotter’s Guide. Kalmbach Books. Library of Congress Catalog Card No. 66-22894.
- Solomon, Brian (2000). The American Diesel Locomotive. MCI Publishing Company. ISBN 0-7603-0666-4.
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