AIM-120
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AIM-120 アムラーム (AMRAAM:Advanced Medium-Range Air-to-Air Missile) は、アメリカ合衆国のヒューズ社が開発した中距離空対空ミサイル。誘導方式はアクティブレーダーホーミング。
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[編集] 開発経緯
AMRAAMはAIM-7 スパローの後継として1975年から開発が開始される。1979年2月、アメリカ空軍は概念開発段階に提案していた5社のうちからヒューズエアクラフト社のヒューズ・ミサイル・システムズとレイセオン社を選定、概念実証段階に進んだ。概念実証段階では1981年12月までに両社は試作ミサイルを3発ずつ発射、その結果からヒューズエアクラフト社製のものが優れているとされ、1982年に全規模開発契約(FSD)を結んだ。
この契約により、ヒューズエアクラフト社は100発弱の試験用AMRAAMを製造。1987年には低率初期生産(LRIP)が認められ、1991年に空軍が初期作戦能力(IOC)を獲得。1992年にフル生産が開始、1993年にはアメリカ海軍も初期作戦能力を獲得した。
1994年には誘導装置に改良がなされたAIM-120Bが、1996年にはF-22などのウェポンベイに収まるようAIM-120Bの前方のフィンを小型化したAIM-120Cが開発された。AIM-120Cはフィンを小型化した以外はAIM-120Bと同様であり、本来ではF-15やF-16などの非ステルス機にはAIM-120Bが使用され、F-22やF-35などのステルス機にはAIM-120Cが使用される予定であったが、ステルス機の配備・開発の遅れもあり、現在では非ステルス機でもAIM-120Cが使用されている。また、改良型のAIM-120Dが開発され、実射試験を行っている。
AMRAAMの改良型については、2基のラムジェットエンジンを取り付けられているFMRAAM(Future Medium Range Air-to-Air Missile)が開発中である。FMRAAMは最大射程が100kmを越えると言われており、AMRAAMの倍近くとなっているものの、ラムジェットエンジンが搭載された以外は変更点は無いので、AMRAAMが搭載可能な機種であれば、改修を行わなくても搭載が可能となる。
他には、地対空ミサイルバージョンのSLAMRAAM(Surface Launched AMRAAM)なども開発中である。
なお、ヒューズ・ミサイル・システムズはレイセオン社に吸収合併されたため、現在AMRAAMはレイセオン社が生産を行っている。
[編集] 特徴
AMRAAMの大きな特徴として
- 発射後すぐに回避行動をとることができる、いわゆる撃ちっ放し能力(fire and forget)
- 同時多目標攻撃
があげられる。
- 撃ちっぱなし・同時多目標攻撃能力
従来の中距離空対空ミサイルの主役であったスパローは、セミアクティブホーミング(ミサイル発射後、発射母機が最初から最後まで敵機をロックオンしておく必要があるシステム。途中でロックオンを外すと命中しない)だったため、発射母機はスパローが命中するか外れるまでは回避行動が出来ず、攻撃に対して無防備な状態となってしまっていた。また、ミサイルの誘導も1発ずつしか出来なかった。
これに対してAMRAAMの誘導方式は、中間誘導が慣性誘導と発射母機からなどのアップデートで、最終誘導がミサイル自身の搭載レーダーによる誘導となっている(中間誘導の際の誘導データのアップデートは、FCSレーダー波を用いて行う)。比較的短距離から発射する場合は発射前からレーダーを起動させておくことも可能で、射程距離は短いものの、発射後すぐに回避行動が取れるという利点は大きい。
敵から攻撃を受けた場合などは中間誘導を止め回避行動を取ることも可能である。その場合AMRAAMは慣性誘導により敵機がいるであろう方向へ誘導され最終誘導段階でレーダーが起動し、目標機にロックオンする。そして、FCSにもよるが同時に複数目標に対する攻撃を行うこともできる。
以上のようにAMRAAMとスパローの能力には雲泥の差があり、スパローを使用する航空自衛隊とAMRAAMを使用する在日米軍が模擬戦闘訓練を行う場合、航空自衛隊は練度の面で優れていながらも一方的にやられているといわれる。
- その他の特徴
また、AMRAAMはECCM能力(対電子妨害対抗能力)にも優れており、仮に発射後ジャミング(電波妨害)を受けた場合、その電波の発信源へと誘導されるようになっている。またチャフによる妨害にも強いとされる。
他には、AMRAAMはスパローとほぼ同等の射程を持ちながら、サイズは一回り小型となっている。そのため
- 機種によってはスパロー1発しか装備できなかったところに2発装備することが可能となり、ミサイルの搭載数が増える。
- 従来はサイズの関係で短距離空対空ミサイルであるAIM-9 サイドワインダーしか搭載できなかった場所にも搭載できるようになった。
特に後者については、これまでは対地攻撃などを行う際の自衛用のミサイルは短距離用のものしかなく頼りなかったのに対して、中距離ミサイルを装備できるようになり生存性を高めることとなった。
[編集] 実戦での使用
AMRAAMの初の実戦は、1992年12月でイラク軍のMiG-25が2機飛行禁止空域を越え南下してきたのに対して、F-16がAWACSの支援を受けAIM-120Aを発射、MiG-25 1機を撃墜した。
[編集] 輸出
AMRAAMは、当初からヨーロッパ諸国での仕様も考慮されており、アメリカ製の戦闘機以外にもイギリス・ドイツ・スペイン・イタリアで共同開発されたユーロファイター・タイフーンや、スウェーデンで開発されたJAS39などにも搭載が可能である。
航空自衛隊については、飛行教導隊に44発のAIM-120Bが試験的に導入されたが本格的な導入はされず、AIM-7F/Mの後継としては国産の99式空対空誘導弾(AAM-4)) が使用される。
[編集] スペック
- 全長:3.66m
- 直径:0.176m
- 翼幅:0.525m
- 翼幅(C型):0.482m
- 重量:150.75kg
- 射程(公表値):32km以上
- 最大射程(予測値):50km以上