黒正巌
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黒正 巌(こくしょう いわお、1895年1月2日 - 1949年9月3日)は経済学者。専門は経済史。岡山県出身。
大阪経済大学の創設者・初代学長。元京都帝国大学(現京都大学)教授。農業経済史の研究で有名。旧制第六高等学校(岡山大学の前身校)を経て、1920年京都帝国大学経済学部卒業。マックス・ヴェーバーの「社会経済史原論」を日本で初めて翻訳したことでも知られる。
また京都帝国大学の隣接地に日本経済史研究所を設立した。この研究所は現在は大阪経済大学の付属機関で、日本で有数の経済史の研究機関となっている。
戦後旧制第六高等学校校長時代、進駐軍が撤収して空き家となった岡山の陸軍第17師団跡地22万坪を旧制六高生250名を動員して確保したこでも有名。これは現在の岡山大学津島キャンパスとなっている。そのほかにも多くの功績を残し岡山大学の基礎を築く。
大阪経済大学は前身の浪華高等商業学校であった時代に学園紛争が起こり、当時の文部省がこれを憂い、大阪の政界、財界、学界の強い要請を受け、当時京都帝国大学の教授であった黒正巌が私財を投じて昭和高等商業学校として再建(1935年)し、昭和高商の初代校長に就任した。また昭和高商から改名した大阪経済専門学校が第二次世界大戦後、GHQ占領下の学制改革で、旧制専門学校から大学への昇格がなるかどうかの瀬戸際の中、黒正巌が当時の文部大臣を動かし大学昇格を勝ち取り、現在の大阪経済大学となる(1949年)。同年、大阪経済大学学長に就任するも直後の9月に逝去する。
大阪経済大学の北浜サテライトキャンパスでは黒正巌の名前を冠した社会人向け夜間講座『北浜黒正塾』も開講されている。同大学の大隅本部キャンパス内に黒正巌の銅像も設置されている。
また岡山大学でも毎年卒業する学生の中から、学業および人物の優れた者に授与される『黒正賞』という黒正巌の名前を冠した賞がある。